【令和4年2月11日】5階の窓から(ねりま区報2月11日号掲載)
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ページ番号:133-636-031
更新日:2022年2月11日
練馬区長 前川 燿男
石原慎太郎元都知事が逝去されました。首都東京の歴史に大きな足跡を残した巨人の死は、パンデミックの最中にあっても、波紋を広げました。私は、都の幹部として、5年の永きにわたり仕事を共にしました。終生忘れ得ぬ方です。
知事に就任された当日の朝一番に執務室で、ご自身の給与削減を決裁して貰ったのが仕事始めでした。都は、空前絶後の財政難の只中にあったのです。知事は一期目に、永く手付かずだった多くの重要課題に、全力で取り組まれました。
環境、都市インフラ、福祉と多面的に新しい政策が展開されました。忙しい中、都が敗訴した大気汚染公害訴訟について、知事から電話がありました。「前川さん、僕は控訴したくない」と仰るのです。我が意を得たりでした。行政が敗訴すると、必ず控訴して被害者救済を先送りする、悪しき慣習を苦々しく思っていたからです。「そうしましょう、知事」と即答し、庁内の強力な抵抗を抑え込んで、早期解決を実現できました。嬉しい限りでした。
認証保育所を創設した時は、従来のバラ撒き福祉の是正には積極的だった知事が、新たな福祉展開には半信半疑で、納得して貰うのが大変でした。ただ一旦理解して貰うと、後は一瀉千里で進みました。
障害児の性教育について、忘れられない思い出があります。人体の模型を使用して子どもに教える事への批判が沸騰したことがありました。私が、障害児を持った親の、子を案じる心情を説明すると、「そうなのか」と素直に分かってくれました。ただ、その後、政治的な力学が働き、反対する立場になったのは、今でも残念でなりません。
派手で豪快な直言家というイメージとは異なり、細心にして率直、根本は真面目な方だったと思います。東京から日本を変えると、本気で都政の構造的な転換を目指した、傑出した知事でした。一期目の頑張りが、今日の東京と日本の発展の基盤を築いたと考えています。
あの含羞んだ笑顔が目に浮かびます。石原さんの御霊安かれと、心から祈念申し上げたいと思います。
法人番号:3000020131202
練馬区 法人番号:3000020131202