【令和4年3月11日】5階の窓から(ねりま区報3月11日号掲載)
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ページ番号:392-842-527
更新日:2022年3月11日
練馬区長 前川 燿男
子どもの頃から最大の楽しみは映画と読書でした。
感受性豊かな小学生時代、鹿児島の田舎で学びました。道端の木に小屋掛けして住む友、畳の無い床板の上で暮らす友、蒸かし芋1本が弁当だった友。共に学んだ同級生達を良く覚えています。
父親が警察官だった我が家も大差は無く、転勤で引っ越す時、荷物は布団袋2つと雑貨だけ。国民の大多数が平等に貧しかったのです。
だからといって、文化など要らないとはならなかった。誰もが文化に飢えていました。我々子どもも、何より映画を見たかった、本を読みたかったのです。
映画は学校が見せてくれました。街の映画館へクラス全員で出かけたり、校庭や講堂で映写会が開催されました。ディズニーやキングコングを初めて見たのも、その時でした。いや、楽しかった!心躍りを今も覚えています。因みに当時は、貸本屋が全盛でした。
大学に入り上京した頃には世間が少し豊かになっていて、貧しかった私も、安い小さな名画座の探訪と神田古書街の梯子を趣味に出来るようになりました。銀座並木座、池袋の文芸坐・文芸坐地下、人生坐、早稲田松竹など、劇場の匂いまで克明に覚えています。
小津の東京物語、黒沢の七人の侍、成瀬の浮雲、溝口の雨月物語、小林の切腹、ジョンフォードの荒野の決闘、オーソンウェルズの市民ケーン、エリアカザンの波止場など、人生観まで影響を受けました。
「人の生くるはパンのみによるにあらず」キリストの言葉です。私は確信しています。文化芸術なくして人は生きられない。人間存在を根源で支えるものなのです。
練馬区は、美術館の全面改築と映像文化のまちづくりを進める方針です。それより福祉医療を優先すべきとする意見があります。しかし、二者択一を迫るのは間違いです。両方とも必要なのです。
だからこそ、就任以来、全国を先導する数々の福祉医療サービス練馬区モデルを構築するとともに、合わせて文化芸術の振興にも力を尽くしてきました。区民の皆さんと力を合わせ、「みどりの風吹くなか誰もが優れた文化芸術を楽しめるまち」を創りたい。私は心から念願しています。
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