【平成29年10月21日】5階の窓から（ねりま区報10月21日号掲載）

　毎朝起きて居間のソファーに座ると、左手の窓に、区立公園の樹々が見えます。30年余り、出勤前に緑を胸に吸い込み、余暇には団地の森を走る。これを、無上の楽しみとしてきました。練馬区に移り住んだのも、今の住まいを選んだのも、緑の豊かさに心惹かれたからです。
　愛着する光景が、何年かに一度、一変します。突然、住民に説明も無く、樹々が無残に剪定され、窓から緑の影が消えるのです。私は永年、血の通わない行政を苦々しく思ってきました。
　緑を伐るのは一瞬ですが、回復するには永い永い時間が必要です。縁あって区長になった以上、緑の管理を抜本的に見直したいと考えました。この3年半、職員の皆さんと一体で、積極的に改善を進めてきました。
　ところが先日、朝起きて仰天しました。目の前に、無残に剪定された光景が広がっていたのです。正直、落胆しました。
　緑には誰しも様々な思いを抱いています。適切な管理は容易ではありません。行政は、漫然と従来のやり方を踏襲せず、現場主義を貫くことが必要です。職員には、見識と気概を持って、時には住民の皆さんと徹底的に意見交換しながら、最善の管理手法を見出して欲しい。息の長い実践の積み重ねになります。区民の皆様と一体で取り組む態勢の構築が不可欠です。今進めている「みどりの区民会議」を、永続させねばと考えています。