【平成29年7月21日】5階の窓から（ねりま区報7月21日号掲載）

　映画が好きです。学生時代は名画座を巡礼していました。ジョン・フォードが、緑溢れる故郷アイルランドへの想いを詩情豊かな映像で綴（つづ）った「わが谷は緑なりき」や「静かなる男」には、若い心が吸い込まれました。「山は青き故郷（ふるさと）」を愛おしむ気持ちは、人間の本性だと思います。
　練馬区は23区で最も緑被率が高いまちです。公園や緑地、街路樹、農地、宅地の緑。これと一体で営まれる、心豊かな暮らしと都市景観。「みどりの風吹くまち」こそ、「後世への最大遺物」だと信じています。
　しかし、現状はどうか。公園や街路の樹木が強剪定された無惨な姿には心が痛みます。住民に無断で樹木が伐採されたり、区のミスで植栽を枯らしたこともあります。緑の四分の三は民有地であり、減少を続けています。
　これを何とかしなければ、就任以来考え続けて来ましたが、今はこう思っています。緑は現状維持では守れません。緑を創出し更新して行くには、「良い管理」が不可欠なのです。目先の個別処理ではなく、長期的総合的な管理へと舵（かじ）を切らなければなりません。何より区民の皆様と一体で取り組む必要があります。今、「みどりの区民会議」で、抜本的な議論を始めました。
　練馬区が誕生して70年。「我がまち練馬は緑なり」、誰もが胸を張れるまちを目指して、皆様とともに一歩ずつ前へ進みたいと思います。