【令和5年3月11日】5階の窓から(ねりま区報3月11日号掲載)
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更新日:2023年3月11日
練馬区長 前川 燿男
名誉区民の松本零士さんが逝去されました。私の零士さんは銀河鉄道999です。若い私にはメーテルが眩しく見えました。御霊安かれと心からお祈りいたします。
日本の漫画は芸術の域に達しています。私の学生時代が転機でした。大学の寮には創刊ほやほやの漫画週刊誌が散乱し、水木しげる、ちばてつや、白土三平、西岸良平と読み漁りました。当時、「学生なのに漫画ばかり読んで」と批判されましたが、「読みもしないで的外れの事を」と友と笑ったものです。一方であの頃の私は吉本隆明に夢中になっていました。
漫画もそうですが、芸術には出会いがあります。田舎の小学校を転々としていた頃は、手塚治虫の鉄腕アトムが精一杯でした。鹿児島市の中学に入ると直ぐ、図書室でマネの「笛を吹く少年」に遭遇しました。目が釘付けになりました。アングル「泉」の裸体の乙女も同時に見た筈ですが、多感な少年の記憶に、不思議な事にマネだけが刻まれています。
フェルメール「デルフトの眺望」は、初めて新聞で見た瞬間、息をのみました。初夏の朝、陽が差し始め、聡明な大気に包まれた市街と水面が醸し出す静謐に魂を揺さぶられました。以来私は、フェルメールに呪縛されたままです。
長谷川等伯「松林図」は美術展で見ました。深い霧に静まる縹渺たる松林は、江戸期以前の日本絵画の頂点、神品です。
ピカソのゲルニカ、渡辺崋山「鷹見泉石」、青木繁「海の幸」や高島野十郎「蝋燭」も衝撃的でした。久隅守景「納涼図」は、写真をデスク上に置いています。
区立美術館を全面改築します。生の芸術との出会いは、人生を変え世界を変えます。子ども達が幼い時から身近で芸術に親しみ、高齢者が人生の収穫期を楽しむ、練馬区ならではの美術館を区民の皆さんとともに創ろう。心に誓っています。
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