【平成30年2月1日】5階の窓から(ねりま区報2月1日号掲載)
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ページ番号:779-592-671
更新日:2018年2月1日
練馬区長 前川 燿男
二葉亭四迷が明治40年末に朝日新聞に連載した小説「平凡」は、若い日に読んで、不思議に忘れ難い。39歳の主人公が、〈老境〉を目前に半生を振り返る。なかでも、少年時代の愛犬ポチの逸話は、秀逸で心に沁みる。
雨の夜に迷い込んだ子犬を、少年が愛着して放さず、慈しみ育てて、肉親以上の分身となる。「犬に違いないポチが、私に対(むか)うと・・・犬でなくなる。それとも私が人間でなくなるのか。渾然として一如となる」 そのポチが犬殺しに殺された時の絶対的な喪失感は胸を衝く。
そうだった、私が子どもの頃は野良犬・野良猫が町に溢れ、犬殺しの噂が巷に蔓延していた。そんな野良を何匹も飼った。子犬は先ず、玄関の箱に置いて夜鳴きが止むのを待った。犬とは共に走り回り、猫は布団に入れて抱いて寝た。二葉亭の気持ちは他人事ではない。犬や猫の瞳を覗き込むと分かる。私は間違いなく彼等にも魂があると思う。
昔も今も、犬や猫を兄弟のようにして育つ子どもは多い。現在では、高齢者やひとり暮らしの方にとっても、掛け替えのない人生のパートナーとなっている。
彼等にとってペットが家族の一員であるのは紛れもないが、残念ながらペットをめぐるトラブルは少なくない。ペットを飼う人も飼わない人も共生できるコミュニティ。そのルール創りが求められていると思う。皆さんはどうお考えであろうか?
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