【平成29年10月1日】5階の窓から(ねりま区報10月1日号掲載)
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更新日:2017年10月1日
練馬区長 前川 燿男
一人息子が生まれた時、顔を見た途端に可愛くて堪らなくなりました。不思議ですね、この子と出会う為に生きてきたんだとさえ思いました。逆に子どもにとっては、親が絶対的無条件に自分を愛してくれているという確信が不可欠だと痛感しました。ところが、それを奪われた子ども達がいるのです。両親を失い、家庭が崩壊し、甚だしきは虐待されと、この世で最も不幸な存在というしかありません。
永く都庁で働きましたが、20代の頃、児童相談所の一時保護所や児童養護施設に泊って、子ども達と遊んだものでした。私にまとわりついて離れなかった子ども達の、人恋しげな瞳、か細い肩の感触を忘れる事が出来ません。この子達の為になしうる事は全てしようと、家庭型の施設養護を開始し、日本初の本格的な里親制度を創設しました。
今、特別区に児童相談所の設置を求める方々がいますが、それが何故、子ども達を救う事になるのか、説明はありません。養護施設入所児は都内で3千人未満、保育所入所児の27 万人とは桁違いに少なく、施設は少数で都の内外に分散しています。処遇にも専門性が必要で、広域行政の性格が強いのです。
私は、児童相談には、区によるきめ細かな対応と、都による広域的専門的な処遇の、緊密な連携が必要と考えています。既に練馬区は今年度から、都の児童相談所と協力して、具体的な取組みを開始しました。
無力で不幸な子ども達を利用した「政治的」パフォーマンスを絶対に許してはならない。若い日に出会った子ども達の笑顔を思い浮かべては、心に誓っています。
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