第79号 アニサキスによる食中毒予防【冷やし込み!?練馬区で実験しました!】
ページ番号:380-349-940
更新日:2023年3月8日
近年発生している食中毒の病因物質のうち、一番多いものは何かご存じですか。「アニサキス(外部サイト)」という寄生虫なんです!
都内では令和3年、アニサキスが食中毒病因物質件数の第1位(42件、50.6パーセント)となっています。アニサキスについて正しく学び、食中毒を予防しましょう!
食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」
アニサキスは、魚介類や海洋ほ乳類(イルカ、クジラなど)の体内にいる寄生虫です。アニサキスの幼虫が寄生した魚介類を生で食べても、通常はふん便とともに排泄されます。しかし、まれに胃や腸壁に侵入して、激しい腹痛、吐き気、おう吐等の食中毒症状を引き起こします。
タラの内臓に寄生したアニサキスの幼虫
色 | 半透明白色 |
---|---|
大きさ | 長さ2センチメートルから3センチメートル(魚に寄生しているアニサキスは幼虫) |
寄生場所 | サバ、アジ、イワシ、イカ等に寄生。主に内臓表面だが、筋肉にもいる可能性あり。 |
特徴 | 渦巻き状になっていることが多く、半透明粘膜の袋に入っているものもある。 |
区内事業者(魚屋)が行っている「冷やし込み」?
近年、練馬区内複数の事業者(魚屋)において、サバやカツオなどの魚介類を冊に加工後、冷蔵庫で一定時間置いておくことにより、身にいるアニサキスを外側に出し、目で見て取り除くという対策を行っていることが分かりました(以下この工程を「冷やし込み」といいます。)。
しかし、練馬区保健所でこの対策について文献等で調べましたが、詳細な情報を確認できませんでした。
「冷やし込み」によるアニサキス食中毒対策についての検証
区内の事業者(魚屋)が行っている冷やし込みについて、調査を行いました。
この結果をふまえ、条件を設定して実験したところ、以下のことがわかりました。
検証方法
- マサバを三枚おろしにし、身4つと内臓で分ける。
- 表面のアニサキスを数える。
- 冷蔵庫(4度、30分間)で冷やし込み
- 表面のアニサキスを数える。
- マサバを人工消化液で溶かす。(アニサキスが残る。)
- アニサキスを数える。
マサバ三枚おろし
人工消化液で溶かす。
結果
- 冷やし込みでは、三枚おろしにしたマサバの表面にアニサキスは出てこなかった。
- 表面には見つからなくても、マサバの内部にアニサキスが寄生しているものが多かった。
部位別のアニサキス寄生率
背側は46検体中11検体(24パーセント)、腹側は46検体中44検体(96パーセント)アニサキスを検出しました。
今回の実験では、寄生率が低いと言われている背側からもアニサキスが見つかりました。
魚を生で食べる際、腹側だけでなく、背側を使用する際も冷凍処理を行わないとアニサキスによる食中毒を完全に防ぐことはできません。
本調査の結論
冷やし込みの効果は確認できませんでした。
温度が下がるとアニサキスの動きが悪くなり、アニサキスが表面に出てこなかったと考えられます。
目で見ただけでは、魚の身の中のアニサキスを見つけて、取り除くことは難しいため、刺身など生で食べる際には、中心部まで十分な冷凍を行うことが大切です。
練馬区保健所で勧める予防策
- 加熱する
中心部まで60度で1分以上
- 冷凍する
中心部までマイナス20度で24時間以上
(注釈)以下の方法では、食中毒を予防できないので注意しましょう。
- しめ鯖のように酢や塩に漬ける。
- しょうゆやワサビをつける。
ねりま食品衛生だより第79号アニサキスによる食中毒予防(PDF:568KB)
PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader DC(旧Adobe Reader)が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Adobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ
お問い合わせ
健康部 生活衛生課 食品衛生担当係
組織詳細へ
電話:03-5984-4675(直通)
ファクス:03-5984-1211
この担当課にメールを送る
このページを見ている人はこんなページも見ています
法人番号:3000020131202
練馬区 法人番号:3000020131202