令和5年 第二回定例会 区長所信表明
ページ番号:737-817-861
更新日:2023年6月12日
- はじめに
- 令和5年度6月補正予算案
- 新型コロナウイルス感染症対策
- 子ども施策
- 高齢者施策
- 福祉・医療施策
- まちづくり、環境施策
- 経済、都市農業施策
- 「行かない・書かない」デジタル区役所の実現
- おわりに
はじめに
所信表明の様子
令和5年第二回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
去る2月13日、名誉区民の松本零士さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
4月23日に執行された練馬区議会議員選挙において、区民の皆様の信任を得、当選された皆様に、心からお祝いを申し上げます。
令和5年度6月補正予算案
まず、令和5年度6月補正予算案についてです。
国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」等を活用し、コロナ禍と物価上昇の影響を受けている区民や事業者への支援を充実するため、今年度2度目の補正予算を編成しました。子育て世帯生活支援特別給付金、住民税非課税世帯等への給付金などのほか、自転車ヘルメット購入費助成に要する経費を計上し、補正予算額は35億1,692万円となっています。
新型コロナウイルス感染症対策
次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
新型コロナウイルス感染症の5類移行
国は、5月8日から新型コロナウイルス感染症を季節性インフルエンザと同じ「5類」に位置付け、これに伴って区は、対策本部を廃止し、練馬区方針は役割を終えました。
陽性者数等の全数把握は週1回の定点把握に移行し、感染症法に基づく入院勧告等も廃止されました。入院調整は、医療機関の間で行いますが、保健所は、透析患者や妊婦等の入院に関与するため、9月末まで土日祝日の勤務を続け、コールセンターも継続します。診療・検査・薬などは原則保険診療となりましたが、今年度中のワクチン接種は無料となっています。
5類移行後初の大規模イベントとなった先月の照姫まつりは、飲食も含め従前の形で実施し、多くの来場者で賑わいました。教育活動では、学校行事や宿泊を伴う校外学習などを実施しており、イプスウィッチ市への中学生海外派遣を4年ぶりに再開します。
ワクチン接種
5月8日から、65歳以上の高齢者などを対象に、ワクチン接種を開始しました。9月からはオミクロン株対応ワクチンを接種した5歳以上の方全員を対象に接種を行います。「練馬区モデル」により実施していきます。
区民・事業者の支援
電力・ガス・食料品等の物価上昇による負担軽減のため、国の住民税非課税世帯への給付金は、区独自に児童扶養手当受給世帯等を加え、一世帯あたり3万円を来月下旬から給付します。更に、区独自に、エアコン未設置等の生活困窮世帯への購入費助成、こども食堂等に対する食材料費等の物価上昇分助成を行うとともに、区内公衆浴場の燃料費助成金を増額します。
事業者に対する借換え特別貸付は、先月末までに414件、58億円の融資を実行しました。資金繰りを支援するため昨年10月に開始した支援特別貸付は、先月末までに529件、39億円の融資を実行しています。両者とも9月末まで受付期間を延長しています。
これまでのコロナ対策
令和2年1月30日に対策本部会議を開催して以来、区は感染拡大の防止と医療提供体制の充実、区民・事業者の支援、社会インフラの維持の3分野で、全国に先駆けて様々な施策に取り組みました。
ワクチン接種体制練馬区モデルの構築、PCR検査検体採取センターの開設、かかりつけ医による健康観察、在宅療養支援、酸素・医療提供ステーションの3つの柱による自宅療養者の支援、病院・診療所の検査体制の拡充や医療従事者への補助など、区民の健康、医療の確保に力を注いできました。
生活相談コールセンターの設置、生活再建支援給付金の支給、ひとり親家庭臨時特別給付金の支給、新型コロナウイルス感染症対応特別貸付など、区民・事業者の支援を続けてきました。
保育所や介護・障害者施設の運営を継続し、従事者への特別奨励金給付、入所施設の法人枠を超えた職員相互派遣体制の構築などにより、緊急事態宣言中もエッセンシャルワーカーが業務を継続できる環境を実現しました。
今後に備えて
区民の皆様の努力とこれまでの取組により、かつての日常生活を取り戻しつつあります。しかし、完全に終息したわけではありません。新たな感染症に襲われる可能性もあります。本年3月、「練馬区新型インフルエンザ等感染症対策ネットワーク会議」を設置しました。医師会、病院、福祉施設や学校など幅広い関係機関と連携し、今後起こり得る新興・再興感染症に備え、的確な対応が取れる体制を整えていきます。また危機管理の観点から、全庁を挙げてこれまでの取組の成果と課題を取りまとめ、今後の対応に活かします。
子ども施策
次に、子ども施策についてです。
子育て世帯生活支援特別給付金の支給
先月、国の生活支援特別給付金、児童一人当たり5万円を、物価上昇の影響を特に受ける低所得の子育て世帯6,742世帯に支給しました。
保育サービスの拡充
区独自の幼保一元化施設である「練馬こども園」の創設、「待機児童ゼロ作戦」の展開などにより、9年間で全国トップクラスとなる8,500人以上の保育定員増を実現し、3年連続で保育所待機児童ゼロを達成しました。来年4月、谷原5丁目の区有地に私立認可保育所1園を開設し、延長保育とゼロ歳児保育を行い、障害児を3名受け入れます。更に、練馬こども園を年度内に1園認定します。
「ねりっこクラブ」の拡充
4月に区立小学校7校で「ねりっこクラブ」を開設し、7年間で学童クラブの定員は2,000人以上拡大しました。来年度は、全校実施に向け7校で開設します。区独自の「ねりっこプラス」は35校で実施しています。本定例会に、「練馬区ねりっこクラブ条例」および「練馬区立学童クラブ条例」の改正案を提出しています。
高齢者施策
次に、高齢者施策についてです。
地域包括支援センター
4月に「中村かしわ地域包括支援センター」、「やすらぎシティ地域包括支援センター」を開設し、27か所体制が整いました。今後も、より身近で利用しやすい窓口で支援できるよう区立施設等への移転を進めるとともに、高齢者人口の将来推計や地域の人口バランスを考慮して増設を検討します。
高齢者みんな健康プロジェクトの充実
高齢者みんな健康プロジェクトでは、今年度から、個別訪問の対象を、80歳以上で健康診断未受診などの方に拡大しました。今月中旬から訪問を始め、医療機関受診等に繋げます。
街かどケアカフェの増設
常設型の「街かどケアカフェかしわ」を4月に開設しました。地域サロン型は、今年度3か所増設する予定です。団体と順次協定を締結し、開設を進めます。
もの忘れ検診対象者の拡大
「もの忘れ検診」を、今年度から70歳以上の希望者にも拡大しました。5月末時点で受診券を26件発送しており、今後も周知に取り組みます。
福祉・医療施策
次に、福祉・医療施策についてです。
障害者の意思疎通支援の充実
昨年10月に、26か所の窓口で開始した遠隔手話通訳は、障害者地域生活支援センターなど39か所に拡大しました。情報支援機器の給付対象に知的障害者等を加え、障害者ICT相談窓口で、イラストで会話を補助する機器など、体験機材を充実しました。また今月から、失語症の方の団体に意思疎通支援者を派遣します。
生活困窮者対策
4月から社協の「練馬ボランティア・地域福祉推進センター」で、ひきこもりや8050問題などの相談事業を実施し、適切な支援に繋げています。
訪問服薬健康相談事業の充実
練馬区薬剤師会と連携し、全国初の訪問服薬健康相談事業を行います。国民健康保険加入者のうち、受診記録や処方薬が多数ある方を対象に、来月から、訪問による服薬相談と健康相談を実施します。
まちづくり、環境施策
次に、まちづくり、環境施策についてです。
大江戸線の延伸
都は、大江戸線延伸について、3月、副知事をトップとする庁内検討プロジェクトチームを設置し、スピード感を持って検討を進めています。区は、旅客需要の増加に繋がる沿線まちづくりの推進や基金の効果的な活用検討を進め、早期事業着手に向けて都とともに取り組みます。
鉄道駅のバリアフリー化
先月、西武鉄道は、ホームドアを石神井公園駅から新桜台駅間の5駅で、今年度から順次整備に着手する計画を公表しました。区は、都と協調した補助制度を充実し、整備を促進していきます。
また、光が丘駅南側出入口のエレベーター設置が、令和6年度供用開始に向け、着手する運びとなりました。整備中のエスカレーターと合わせ、光が丘駅のバリアフリー化が大きく前進します。
無電柱化事業
無電柱化推進計画で優先的に整備する道路に選定した24路線のうち、現在、3路線で事業が完了し、12路線で事業中です。今年度、新たに2路線に着手し、着実に事業を進めます。
みどりの拠点づくり
長期プロジェクトである稲荷山公園の整備に向けて、夏頃を目途に「(仮称)専門家委員会」を設置し、自然環境の保全方法なども含め、段階的な整備のロードマップを検討します。
2月に白子川沿いの用地約1.2ヘクタールを取得しました。都の河川整備計画との整合をとりつつ、公園整備に向けた検討を行います。稲荷山公園、大泉井頭公園とあわせて白子川を軸としたみどりのネットワーク形成を進めます。
また、今年度は、(仮称)南高松の森緑地の新設や、北原公園、大泉町もみじやま公園の拡張工事に着手し、6年4月の開園を目指します。
脱炭素社会実現に向けた新たな環境基本計画の策定
現行の環境基本計画に、エネルギービジョンと環境管理実行計画を組み入れ、脱炭素社会実現に向けた施策を体系化した環境基本計画2023を策定し、温室効果ガス削減目標を26%から46%削減に見直します。住宅等の消費エネルギー削減、環境に配慮したライフスタイルの推進、区の率先行動を軸に、区民・事業者と協働して一歩一歩脱炭素を推進していきます。近く素案を公表し、区議会並びに区民の皆様のご意見を頂き、9月に成案化する予定です。
経済、都市農業施策
次に、経済、都市農業施策についてです。
商店街振興
練馬区商店街連合会のプレミアム付商品券の募集には、約2.9倍の申込みがありました。来月5日から利用できます。昨年度に引き続き、キャッシュレス決済ポイント還元事業を、今月と来月実施します。デジタル化推進アドバイザーの商店街への派遣準備を進めており、練馬区商店街連合会とともにスマート商店街プロジェクトに取り組んでいきます。
全国都市農業フェスティバル
11月の全国都市農業フェスティバル開催に向け、招聘都市とともに準備を進めています。招聘都市以外のブース出店は、これまでに20自治体が決定しました。121名の農業者の皆様にご協力頂き、顔写真入りのポスターを作成します。今月から、区内の全直売所にポスターやのぼり旗を設置します。引き続き、農業者の皆様やJA東京あおば、参加自治体と連携して取り組んでいきます。
「行かない・書かない」デジタル区役所の実現
次に、「行かない・書かない」デジタル区役所の実現についてです。
場所や時間を選ばずスマホやパソコンから手続・相談が出来るデジタル区役所の実現に向け、申請等のオンライン化やキャッシュレス決済を更に推進します。
3月から、国民健康保険のオンラインによる脱退手続きを可能にしました。8月から、住民票や戸籍証明、税証明などの請求手続きに拡大し、チャットボットを引っ越しやお悔やみの手続き、妊娠中の健康相談やメンタルヘルスなどの問い合わせに活用します。7月から、子ども家庭支援センターとこども発達支援センターで、一時預かり事業などの利用料を、クレジットカードや電子マネー等で支払えるようにします。
おわりに
区長に就任して10年目を迎えました。この間、全国自治体を先導する多数の政策を実行してきました。福祉・医療は飛躍的に充実しました。これに加え、大江戸線の延伸は、私が小池都知事と膝詰めで談判し、実現に向けて本格的に動き出しました。西武新宿線の高架化、東京都練馬児童相談所の開設など、区が推し進めてきた重要な事業が実現に向かっています。
更に、全国都市農業フェスティバルの開催が間近に迫り、区立美術館のリニューアル、稲荷山公園をはじめとするみどりのネットワークの拠点づくりも始動しています。
4月にスタートした名誉区民、牧野富太郎博士がモデルのNHK朝ドラで、練馬区に居住していた時代がどう描かれるのか、期待が膨らむばかりです。今週16日には、練馬区の世界デビューと言っても過言ではない、ハリー・ポッターのスタジオツアー東京がオープンします。リニューアルされた豊島園駅と練馬城址公園の豊かな緑が、魔法の世界へと誘う空間を実現しています。
今まさに、練馬区は新たな発展期を迎えているのです。
世界情勢は不安定の度を加え、我が国は、少子化対策や社会保障費の増加など国の将来を左右する大きな課題を前にして、経済活力の低下と物価上昇の最中にあります。私たちが取り組んできた政策は、こうした時代と社会の分岐点にあっても、後世の評価に堪える普遍性を有していると信じています。これまでの取組を着実に継続・発展させながら、その上に立って、みどり、文化、スポーツ、都市インフラなど、区民生活をより豊かにする施策に更に力を入れていく考えです。
今年度、「(仮称)第3次みどりの風吹くまちビジョン」を策定します。これまでの施策を検証するとともに、社会状況の変化を踏まえ、今後の政策展開を明らかにします。年内に素案を公表し、年度内の成案化を目指します。
区民の皆様にお約束した「改革ねりま第Ⅲ章」を必ず成し遂げる。変わることのない私の固い決意です。皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
本定例会には、これまで述べたものを含め33件の議案を提出しております。宜しくご審議のほど、お願いいたします。
なお、今月14日をもって、小西將雄副区長の任期が満了となります。小西さんは、総務部長、議会事務局長など、区の要職を歴任されました。私が区長に就任してからも、持ち前の優れた行政センス、政治手腕を発揮し、副区長として力を尽くして頂きました。昭和56年に練馬区に入区以来、42年間にわたり区政に貢献して頂いたことに心から感謝を申し上げるとともに、今後も区政にお力添えを頂きますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
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区長室 秘書課 秘書担当係
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