平成27年6月 第二回定例会 区長所信表明
ページ番号:935-951-680
更新日:2015年9月4日
所信に先立って、本日の区役所爆破予告への対応について申し上げます。
昨日の予告以来、職員による区役所内の安全点検と、警備員を増員した徹底的な安全確保に努めております。また、警察による警備もお願いしております。
このような卑劣な行為は許しがたい暴挙であり、強い憤りを覚えます。
来庁者の皆さまの安全を第一にしながら、毅然と対応してまいります。
はじめに
前川区長所信表明の様子
平成27年第二回練馬区議会定例会にあたり、区政運営について所信を申し上げ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。
4月26日に執行された練馬区議会議員選挙において、区民の信任を得、当選を果たされた皆さま方に、改めて心からお祝いを申し上げます。私は、区議会とこれまで以上の緊密な連携のもとに、71万区民の福祉増進と練馬区発展に、全力を傾注してまいる覚悟であります。皆さま方のご協力をお願い申し上げます。
先般、ネパール連邦民主共和国で発生した大地震により、犠牲となられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
区長に就任して2年目を迎えました。これまで、区政の懸案事項を整理しながら、「改革ねりま」を現実のものとするため、全力で取り組んでまいりました。区民の皆さまとの話し合いや議会での議論を重ね、当面の集大成として、3月、新しい区政運営の羅針盤となる「みどりの風吹くまちビジョン」を策定いたしました。3か年の実施計画であるアクションプランは、2月に素案をお示ししましたが、今後、議会での議論を踏まえ、今月末に成案といたします。
私は、長らく大都市行政に携わってきましたが、区長の職を経験して、自治というものに対する認識が格段に深まったと実感をしております。区民福祉を確保するためには、基礎的自治体である区の役割が極めて重要であり、住民の皆さまとの協働が欠かせないと確信するに至りました。また、改めて、現在の特別区制度を見ると、様々な課題を抱えている、と感じたところでもあります。
私は、この練馬で広範な区民の皆さまに、区政や地域社会への関心を高めていただき、区議会の皆さまと共に、大都市における新しい自治の在り方を探っていきたいと思います。
区政改革の推進
次に、区政改革の推進についてです。
区政は、区民全体の利益を実現することを使命としており、クールな頭で客観的な判断を下すことが必要です。同時に、政策が志向する区民お一人おひとりの心情への共感を欠いてはなりません。
行政改革と言うと、コストや人員の削減だけが強調されがちです。私が進める区政改革は、そうしたイメージを脱却し、区民サービスの向上を根幹に据えて、区政を根本から見直し、職員の意識を住民本位に変革して、区の面目を一新しようとするものであります。
今月末には、区民、学識経験者、企業経営者などで構成する区政改革推進会議を発足させ、従来の枠組みにとらわれない多様な切り口から提案をしていただきます。まず、主要な施策を中心として、現状と将来見通しをデータ等で具体的にお示しします。その上で、今後の人口構成の変化を見据えた区民サービスの在り方、受益と負担の方向性、行政と民間の役割分担などを検討していただきます。区議会での議論を基本に、幅広く区民の皆さまの参加を求めながら進めてまいります。
本年12月を目途に素案をまとめ、今年度中に計画を策定する予定です。区政改革を原動力として、夢のある練馬の未来につなげていきたいと思います。
なお、早期に取り組むべきものは、平成28年度当初予算案に、その内容を反映いたします。
次に、区政の主要課題について申し上げます。
子育て施策
まず、子どもの保育についてです。
保育施策の根本的な課題は、多様なライフスタイルや働き方に応じて、家庭での育児を含め、様々なサービスを選択できるようにすることでありますが、まずは、直面している保育所待機児童を解消する必要があります。
この1年間で都内最大級となる1,300名を超える定員増を実現いたしました。この定員増は、大きな効果があったものと考えますが、1歳児を中心に予想を超える需要の伸びがありました。本年4月1日現在の保育所待機児童数は、これまでの区の算定基準によると、昨年より112名減って、375名となりました。待機児童の解消に向けて、当面、即効性のある対策として、需要が高い0歳から2歳児に重点を置いた保育施設の拡大を行います。また、「練馬こども園」の認定を急ぎ、3歳以降の受け入れ体制を整備します。
すべての小学生を対象とした放課後等の居場所づくりを進めるため、練馬型放課後児童対策事業「ねりっこクラブ」の平成28年度からの実施に向け、開設校を決定して具体的な準備に入ります。
本定例会には、「ねりっこクラブ」の実施などに伴う条例案を提案しております。
高齢者施策
次に、高齢者施策についてです。
4月には、高齢者が自立した生活を継続できるよう、元気高齢者から要支援者まで、介護予防と日常生活への支援を切れ目なく提供できる「介護予防・日常生活支援総合事業」を23区で最初にスタートさせました。
特別養護老人ホームの整備は、これまでも着実に進めてまいりました。現在、施設数は、23区で最も多くなっています。しかしながら、長期的に見ると、高齢者人口の増大に対応して、さらに拡充する必要があります。
特別養護老人ホームの整備には、用地の特定と運営事業者の確保という、具体的、現実的な取り組みが必要であり、時間がかかります。土地活用セミナーの開催や補助制度の充実など、全力を挙げて、様々な努力を積み重ねてまいります。
高齢者が安心して地域で暮らしていくためには、医療と介護の連携、在宅療養の推進など地域包括ケアシステムの確立が必要です。
大泉学園町に、平成29年度、新病院を開設する医療法人との間で、協定を締結し、その一翼を担っていただくこととしました。
障害者施策
次に、障害者施策についてです。
医療的ケアを要する重症心身障害児(者)の家族を支援するため、看護師が自宅に出向く「在宅レスパイト事業」を来月から開始します。
障害者の就労機会の開拓と仕事の共同受注につなげるため、今年度から就労支援員が個別に区内事業者を訪問しています。企業の業務や要望に合わせて、雇用および実習、体験のプログラムを提案するなどの働きかけにより、就労の機会の拡充を進めます。
民間の計画相談支援事業所に対する指導や助言を充実するため、4月から、4か所の障害者地域生活支援センターに相談支援員を一名ずつ増員しました。
障害者や家族の皆さまによる自主的で活発な活動と、区による積極的な支援は、練馬の誇るべき伝統であり、今後とも施策の充実に努めてまいります。
地域医療の充実
次に、地域医療の充実についてです。
練馬光が丘病院の改築に向け、地域の皆さまや学識経験者等による懇談会を設け、昨年度の基礎調査を踏まえ、検討を進めます。懇談会でいただいた意見をもとに、医療機能や施設規模などを内容とする基本構想を今年度中に策定します。
病床の確保と医療機能の拡充を目指して、新たに病院支援制度を創設し、同一医療圏からの病院誘致の促進と区内既存病院の増・改築等への支援に努めます。これにより、回復期・慢性期病院を拡充し、200床以上の急性期病院の医療機能を充実します。
都市インフラの整備
次に、都市インフラの整備についてです。
策定後10年以上が経過した「都市計画マスタープラン」の改定を進めています。ビジョンの策定に合わせ、まちづくりの大きな方向性を区民にわかりやすく示すものとなるよう、内容を見直しました。3月末に策定した原案を縦覧し、説明会を開催するなど、区民の皆さまからご意見を伺ってまいりました。いただいたご意見や議会での議論を踏まえて、11月を目途に改定いたします。
本年3月、東京都は、国の交通政策審議会が平成27年度に取りまとめる新たな答申に向けて、広域交通ネットワーク計画の中間まとめを発表いたしました。中間まとめでは、大江戸線の延伸が、整備効果が高い路線と位置付けられました。一方で、沿線まちづくりの具体化や既存の補助制度以上の資金を確保することが課題とされており、区としても積極的に取り組む必要があります。都との実務的な協議をさらに進め、延伸実現を目指します。
次に、都市計画道路の整備方針についてです。
都と特別区は、平成28年度以降の「東京における都市計画道路の整備方針」の策定に向け、連携して取り組んでいます。先月末には「中間のまとめ」を、公表しました。広く都民の意見を聴きながら、今年度末には、新たな整備方針を策定する予定です。都市計画道路は、まちの活力を強化し、環境を向上させ、安全で快適な空間を創出する、極めて重要な都市インフラです。練馬区は整備率が、23区の平均値を大きく下回っているだけではなく、狭隘な道路が多く、住民の皆さまの協力を得ながら、整備を推進してまいります。
次に、無電柱化の推進についてです。
無電柱化は、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出など多様な意義を持っています。まず、区道の無電柱化を進めるための基本的な方針を今年度中に策定します。都市計画道路や生活幹線道路の整備にあわせて、無電柱化を進めてまいります。これまで整備が難しかった歩道幅員の狭い道路についても、国や都と連携してモデル事業に取り組みます。
安全なまちづくり
次に、安全なまちづくりについてです。
まず、震災対策についてです。
災害時の情報発信を強化するため、臨時災害FM放送の実施に向けて必要な準備を進めます。発災時に、速やかに開設できるよう、震災総合訓練や練馬まつりでの試験放送に取り組みます。
東京ガスが設置している区内77か所の高性能地震計から震度情報の提供を受け、発災時の地域それぞれの状況に応じた対策に活用します。
また、被災者に必要な物資を確実に提供するため、備蓄物資を拡充し、備蓄倉庫2か所を新たに整備します。
次に、水害対策についてです。
河川沿いの地区などを対象に、雨水貯留浸透施設の増設を進めます。水位観測カメラや、水位情報の区民向けメール配信などを拡充し、水害対策を強化します。
次に、空き家対策についてです。
適切な管理が行われていない空き家は、防災、衛生、景観などに悪影響を及ぼしています。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」が、先月末に全面施行されました。区は、空き家対策を総合的に進めるため、今年度、住居系建物の実態調査を行います。来年度は、調査結果をもとに実効性のある対策をまとめ、条例案の作成に取り組みます。
昨年、都内で患者が発生したデング熱については、今年度すでに、区報やポスターにより、区民の皆さまに予防への協力を呼びかけています。区としても、保健所で蚊のウイルス検査を実施することとしました。新たに区内事業者と協定を結び、デング熱が発生した場合、迅速に蚊の駆除などができる体制を整えました。
また、小型無人機、いわゆるドローンについては、区民の安全を守るため、区立公園・緑地や児童遊園等での使用を禁止し、看板の掲示などにより周知しました。国による規制の動向を注視しながら、今後とも安全確保に努めてまいります。
都市農地の保全
次に、都市農地の保全についてです。
本年4月16日、都市農業振興基本法が成立し、新鮮な農産物の供給、防災空間の確保、良好な景観の形成など、区がこれまで主張してきた、都市農業・農地の多面的な役割が認知されました。
都心に近い練馬区に230ヘクタールもの農地が残されているのは、奇跡とも言えると考えています。この農地と農業を守り、発展させていくことは、練馬区政の使命であります。
従来から区は、市街化区域内農地制度の規制緩和を提唱し、昨年は、国家戦略特別区域の活用を提案しました。これを受けて、都知事から協力依頼があり、都市農地保全推進自治体協議会の加盟全自治体から賛同を得ることができました。すでに、都は3月、内閣府に対し都市農業特区を提案しております。
基本法の成立を受けて、税制の改善等を内容とした関係法令が制定されるよう、関係省庁に強く働きかけてまいります。
練馬こぶしハーフマラソン
次に、練馬こぶしハーフマラソンについてです。
3月29日に第一回大会を開催しました。私は、スターターという栄誉ある役割を担わせていただきましたが、4,500人を超えるランナーが一斉にスタートする光景は、真に感動的なものでありました。満開のこぶしと桜が咲き誇る光が丘公園とコース沿道に、95,000人もの方々にお越しいただきました。
ランナーや応援の皆さまをはじめ、関係者からは、大会運営の手際の良さに高い評価をいただきました。
初めての試みであり、改善すべき点もありましたが、全体として大きな成果を挙げることができたと考えています。
ご協力いただいた、関係団体、ボランティア、沿道の区民の皆さまに改めて感謝を申し上げます。
この大会を練馬の春のシンボルとして、育てていきたいと考えており、来年は、3月27日に開催いたします。今後とも区民および関係者の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
本定例会には、教育委員会委員長と教育長を一本化する新たな教育長に関連する条例など、これまで述べたものを含め26件の議案を提出しております。
よろしくご審議のほどお願いいたします。
なお、今月13日をもって、琴尾隆明さんが副区長を退任しました。琴尾さんは、昨年の区長不在時、区長職務代理者として、立派にその任を果たされました。さらに、私が区長に就任してからも副区長として、尽力をいただきました。昭和52年に練馬区に入区以来、38年間にわたり区政へご貢献いただいたことに感謝申し上げるとともに、益々のご健康とご活躍を祈念申し上げます。
以上をもって、私の発言を終わります。
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区長室 秘書課 秘書担当係
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