平成28年2月 第一回定例会 区長所信表明
ページ番号:598-880-429
更新日:2016年2月5日
はじめに
前川区長所信表明の様子
平成28年第一回練馬区議会定例会の開会に当たり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。
本年4月で、区長就任3年目を迎えます。私はこれまで、「みどりの風吹くまちビジョン」の策定や本格的な区政改革への着手など、「改革ねりま」の実現に全力を傾注してきました。練馬区は、大都市東京の都心近くに立地しながら、みどりの環境に恵まれ、しかも、なお人口が増え続けているという、極めて稀な可能性豊かなまちであると痛感しています。区民の皆さまと力を合わせて、この豊かな可能性を最大限に花開かせ、未来の世代に誇れるまちを築くことが私の責務であります。
平成28年度当初予算案
まず、平成28年度当初予算案についてです。
区財政を取り巻く状況
当面の区財政の見通しは、歳入面では、区税および地方消費税交付金で一定の伸びが期待できるものの、我が国の景気の先行きは予断を許しません。特別区財政調整交付金は、法人住民税の国税化拡大により、引き続きマイナス傾向となることが予測されます。これに対し歳出面では、扶助費をはじめとした社会保障関係経費の増大、公共施設の改修・改築経費の増加などが見込まれ、区財政を取り巻く状況は厳しくなると考えられます。
予算案の概要
平成28年度当初予算案の編成に当たっては、こうした財政状況を踏まえ、持続可能な財政運営を堅持しつつ、区民サービスを充実することを基本としました。「みどりの風吹くまちビジョン」を着実に実現するため、子ども、高齢者、医療などの分野で、新規事業の経費も積極的に計上しました。
一般会計予算額は、約2,600億円、前年度比約153億円、6.3パーセントの増であります。
歳入では、特別区税、地方消費税交付金の増、特別区交付金の減などにより、一般財源総額は、前年度並みの1,623億円と見込みました。
特定財源は、前年度比約154億円増の976億円と見積もりましたが、これは国庫支出金や特別区債の増などによるものです。
歳出は、福祉・医療や子ども・教育に関する経費を1,700億円、予算総額全体の65パーセントとしました。みどりあふれるまちづくりなど都市基盤の整備には、220億円を見積もりました。そのうち道路整備の経費は、40億円、1.5パーセントであります。
また、病院の整備を促進するための医療環境整備基金や、文化芸術振興基金を新たに創設します。
子ども・子育て施策
次に、新年度における主要な事業について申し上げます。
まず、子ども・子育て施策についてです。
練馬の未来を拓く宝、子どもたちの健やかな成長を願い、子育て家庭のニーズに応じた施策を更に充実していきます。
妊娠期から出産、子育ての各段階において、一人ひとりの実情に応じて、きめ細かな支援を行います。
保健師の資格を持つ「妊娠・子育て相談員」が、全ての妊婦と話し合い、様々な相談に応じます。出産後、支援が必要な場合には、助産師がいる施設で産後ケアサービスを行います。妊娠・子育てのそれぞれの時期に合わせた、応援メールの配信も行ってまいります。
平成28年度は、保育所の定員を550名拡大し、待機児童が集中している0歳から2歳を対象とする私立保育所や小規模保育事業の整備を進めます。この2年間で1,300名の定員増は、23区で最大級となり、平成29年4月の待機児童解消を目指します。
ひとり親家庭は、相対的に貧困率が高くなっており、福祉事務所の母子・父子自立支援員やスクールソーシャルワーカーを増員し、支援体制を充実します。更に実態を把握し、効果的な支援策を検討するため、「ひとり親家庭等ニーズ調査」を実施します。
総合教育会議で協議してきた「練馬区教育・子育て大綱」を今月策定します。総合教育会議では、回を追うごとに、活発な議論が行われてきました。教育の質の向上に加え、家庭や地域との連携、支援が必要な子どもたちへの取組、保育サービスの充実など、大綱に掲げる重点施策を中心に、教育・子育て行政を着実に進めてまいります。
高齢者施策
次に、高齢者施策についてです。
住み慣れた地域で生涯暮らし続けるには、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される地域包括ケアシステムの確立が必要です。
中核である在宅療養に関しては、高齢者相談センターの担当区域ごとに、ネットワークの検討を進めてまいります。
平成29年4月、大泉学園町に開設される新病院および併設の介護老人保健施設は、在宅療養を進めるための貴重な拠点の第一歩となります。関係者や地域の皆さまとの話し合いを進め、医療と介護の連携を順次充実してまいります。
介護予防の取り組みとして、医療、介護、健康の相談および地域の高齢者等の交流の場となる「街かどケアカフェ こぶし」を、本年4月、谷原出張所内に開設します。近隣の高齢者相談センター支所を同出張所内に移転し、相談から支援まで一体的な運営を行ってまいります。介護家族の会や認知症サポーターなどによる、「認知症カフェ」の場としても活用します。
地域団体の取り組みを活かした介護予防事業、「はつらつシニアクラブ」を開始します。体力測定会を実施し、身体状況へのアドバイスを行い、高齢者と地域で活動している団体をつなぎます。
障害者施策
次に、障害者施策についてです。
私が、東京都に入都して初めて携わった仕事は、障害者福祉でありました。区政においても、区長になった当初から障害者福祉の充実を大きな課題と考えています。
まず何よりも、障害者が住み慣れた地域で暮らし続けられることが必要です。
親亡き後など困難な状況にあっても、地域で暮らしていけるようにするため、住まいに関するニーズ調査を行います。その結果を踏まえて、重度障害者グループホームなどの整備を進めてまいります。
また、障害者グループホームの安全性を向上させるため、平成28年度からの2か年で、スプリンクラーや自動火災報知機の設置を進め、未設置の施設を解消します。
障害のある方が、いきいきと生活するうえで、スポーツに関心をもち、気軽に楽しめることが大切です。障害の有無にかかわらず、誰もが参加できる「ユニバーサル・スポーツフェスティバル」を開催します。競技や運営には、幅広い区民や団体に参加して頂きます。今後、より大きな輪に広げ、将来は、区民体育大会とともに、二大総合スポーツイベントとすることを目指してまいります。
都市基盤の整備
次に、都市基盤の整備についてです。
道路など都市基盤の整備は、福祉や医療と並び、行政が担う最も重要な責務でありますが、練馬区では残念ながら大きく立ち遅れています。
道路は、発生が切迫している首都直下地震の死傷者の数を減らすためにも、平時における消防・救急活動を円滑に行うためにも、着実に整備を進めることが不可欠です。交通渋滞の解消、交通安全、みどりの充実、都市景観の形成など、生活の快適性を実現するうえでも欠かせません。平成27年度の区民意識意向調査においても、道路・鉄道など都市インフラの整備が施策への要望の第1位となっています。また、東京全体の交通ネットワークから練馬区が取り残されないようにすることも必要です。
東京都および関係区市町では、昨年12月、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」を公表しました。概ね10年間で優先的に整備すべき路線を示しており、全ての路線が完成すると、区内の整備率は約8割に向上します。外環の2や補助135号線、補助156号線など区西部地域の未整備路線や、防災拠点にアクセスする補助133号線などが、優先整備路線として位置付けられています。今後、区議会での議論や区民の皆さまから頂いたご意見などを踏まえて、今年度末には整備方針を策定します。
道路事業の一環である西武新宿線の連続立体交差化については、交差する都市計画道路の整備を促進するとともに、沿線3駅のまちづくりの検討を積極的に進めることにより、早期の実現を目指していきます。
また、無電柱化については、都市計画道路や生活幹線道路の整備に合わせて進めるとともに、既存道路でモデル事業を実施します。
大江戸線の延伸については、年度内に、交通政策審議会の答申が発表される予定です。大江戸線延伸推進基金に10億円を積み増し、総額26億円とします。新駅予定地周辺地区では、住民の皆さまとの話し合いを更に進め、交通広場など具体的なまちづくりを推進してまいります。
みどりあふれる公園の整備
次に、みどりあふれる公園の整備についてです。
みどりのネットワークの形成を進めるため、拠点となる特色ある公園を整備してまいります。
本年5月には、既存のバラ園と合わせた四季の香ローズガーデンを開園し、約220品種のバラの香りを楽しんで頂きます。このローズガーデンは環境省の企画コンテストで、「におい・かおり環境協会賞」を受賞いたしました。
23区で唯一のカタクリの群生地であり、「東京の名湧水57選」に選ばれた清水山憩いの森を、(仮称)清水山公園として整備し、来年3月に開園する予定です。地域住民の皆さまと力を合わせて、貴重な自然を守ってまいります。
現在、基本設計を進めている(仮称)練馬総合運動場公園では、日本陸上競技連盟公認の400メートルトラックに加え、サッカー、ラグビーなどが楽しめるフィールドを整備します。
私は区長就任以来、樹木の剪定や遊具の改修など公園の管理運営について、利用する住民の立場に立って、発想の転換を進めてまいりました。工事に当たっては、事前周知を行い、寄せられたご意見などを踏まえて工事内容を決定し、現場に掲示したうえで作業に着手するように改めました。来年度発足させる、スマートフォンで現場の状況を区に知らせて頂く仕組み、「ねりまちレポーター」も活用してまいります。
産業振興
次に、産業振興についてです。
「夢なき者に成功なし」という言葉がありますが、産業振興の主役は、理想を掲げて努力する事業者自身であります。また、事業者同士の連携や切磋琢磨により、魅力的な商品・サービスが生まれ、区内産業が活性化されます。
昨年初めて区主催の産業見本市を練馬まつりと併せて開催し、1万3,000人の方々が来場しました。次回に向けて、出展者数の増、出展内容の充実など、様々な工夫を行い、区内事業者を身近に感じ、理解を深める機会としていきます。
練馬区商店街連合会は、昨年、若手の事業者が中心となって「まちゼミ」を初めて実施し、好評を博しました。区民の皆さまに、個店の魅力をアピールし、商店街を活性化するうえで大きな効果があり、区としても広く周知してまいります。
商店街の核となる個店づくりを進め、商店街全体の魅力の向上・活性化につなげてまいります。意欲を持った個店が、連携して取り組む商品開発やイベント、また、魅力的な店舗改修を行う事業者を支援します。
昨年、初めて開催した「ねりマルシェ」では、採れたての新鮮野菜、練馬産農産物を使った商品を販売し、好評を頂きました。
区内では、ブルーベリーをはじめ季節の味覚を楽しめる多様な果樹が栽培されており、広く区民に親しまれています。こうした農園を「練馬果樹あるファーム」として位置付け、支援するための方策を検討してまいります。練馬の魅力である都市農業を活性化し、広くPRするために、農業者や関係者の皆さまと共に、様々な企画を工夫してまいります。
区民参加のイベント
次に、区民参加のイベントについてです。
私は、区政全般にわたって区民参加を重視して取り組んでまいりました。私自身が地域の集会などに積極的に参加するとともに、ねりまビッグバンや、「よりどりみどり練馬」による区のイメージアップなど、区民参加による新しい取組を工夫してきました。お祭りやイベントも区民の皆さまを主役に、練馬区独立70周年に向けて、更に活性化し、充実していきます。
薪能
10月10日に独立70周年のプレイベントとして、石神井松の風文化公園で薪能を開催します。公園のみどりと舞台・観客席が一体となった、練馬区ならではの会場で、日本を代表する演者による薪能の魅力を堪能して頂きたいと思います。地元の住民の皆さまによるお囃子やオーケストラ演奏など、区民参加によるイベントも開催する予定です。
練馬まつり、照姫まつり
練馬まつり、照姫まつりは、区の二大まつりとして定着し、区民に親しまれてきました。
練馬まつりは、現代を生きる72万区民のパワーを結集して、地域愛を育み、未来の発展につなげるイベントとしていきます。区民の多彩な活動を発表し交流する場として、また、都市農業やアニメなど区内産業や特色ある文化の魅力を体感できる場として、充実していきます。
照姫まつりは、石神井の地に伝わる照姫伝説を活かし、区民が歴史や伝統文化に親しみ、豊かな自然のなかで楽しめるイベントとしていきます。昨年に引き続き、友好都市であり、大河ドラマ「真田丸」の舞台である長野県上田市と連携した催しを行います。
よりどりみどり練馬
昨年初めて撮影した「よりどりみどり練馬」のCMでは、1,000人を超える区民の笑顔と、「練馬区を誇りに思う」という弾んだ声が強く記憶に残っています。引き続き区民参加によりCM映像を制作し、区内外の様々な場所で放映し、練馬の魅力を発信します。
練馬こぶしハーフマラソン
次に、練馬こぶしハーフマラソンについてです。
第2回大会となる「練馬こぶしハーフマラソン2016」を来月27日に開催します。満開のこぶしと桜が咲き誇る中、5,000人のランナーが区内を駆け抜けます。今回は、コースの一部を変更し、春の息吹を満喫できるようにしました。昨年に引き続き、沿道からの声援をはじめ、区民の皆さまによる温かいおもてなしをランナーの皆さまに体感していただけるものと期待しております。
大会の運営に当たっては、前回を上回る1,700人の区民の方にボランティアとして参加して頂きます。
区民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
区政改革
次に、区政改革についてです。
「みどりの風吹くまちビジョン」に掲げた政策を実現するための仕組みや態勢を区民の視点から見直し向上させる、区政改革の取組を進めています。
昨年12月には、区民の皆さまとともに区政改革を考えるため、区政の重要課題について、データに基づき現状と将来見通しを示した資料、「練馬区の『これから』を考える」を公表しました。先月、この資料をもとに、練馬の未来を語る会を区内6会場で開催し、多くの区民の皆さまにご参加頂きました。「保育料は所得に応じた見直しが必要」、「公園管理は地域住民の立場に立って」、「財政の持続可能性がキーポイント」といったご意見や、「高齢者が介護や見守りの担い手となる仕組みづくり」のアイデアなどを伺い、私自身の考えも述べ、率直に意見交換ができました。
区政改革に向けた資料は、区立施設で閲覧・配布するとともに、地域の集まりでも配布させて頂きました。また、インターネットで資料を説明する動画を配信するなど、様々な手法を使って、多くの区民の方々に関心をもって頂けるよう工夫しています。
今月8日までパブリックコメントを実施し、今後も地域に出向いて説明するなど、幅広い区民の皆さまからご意見を伺う考えです。
区民の皆さまの意見やアイデア、区議会での議論、更に3月末に区政改革推進会議から頂く提言を踏まえて検討し、(仮称)区政改革計画の素案を4月に取りまとめ、公表します。
区民参加の促進や執行体制の充実など早期に取り組むべき課題は、平成28年度当初から着手いたします。
おわりに
先日、区民の方からのお手紙で、「住民は、何気ない日常の仕事を通じて区政を実感してしまう」というご指摘を頂きました。職員の仕事への姿勢や行動、一挙手一投足は、そのまま区民の心に響き、区政への評価につながります。区民お一人おひとりの心情への共感を欠いてはなりません。「改革ねりま」の核心もここにあると考えています。
引き続き私自身が、先頭に立って、区議会の皆さまと密接に連携し、また、区民の皆さまとともに「改革ねりま」の実現を目指して全力で取り組んでまいります。
なお、本定例会には、平成28年度一般会計歳入歳出予算案など52件の議案を提出しております。よろしくご審議のほどお願いいたします。
以上をもって、私の発言を終わります。
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