令和3年 第二回定例会 区長所信表明
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更新日:2021年6月7日
はじめに
前川区長所信表明の様子
令和3年第二回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の区内感染者は昨日までに7,038人にのぼり、68人の方がお亡くなりになっています。改めて、深く哀悼の意を表し、現在も療養されている皆様の1日も早い回復を祈念申し上げます。
政府は、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県を対象に4月25日から5月11日までを期間とする緊急事態宣言を発出し、都は、人流の抑制を基本とする緊急事態措置を発表しました。その後、政府は、北海道ほか5県を対象に追加し、宣言を延長しました。
この間、東京では、流行の主体が感染力の強い変異株に置き換わり、通常の医療が大きく制限されています。区民の皆様には、医療機関への通院、生活必需品の買い物などを除き、不要不急の外出は控えて頂き、やむを得ず外出する際には、マスクの着用、手洗いや消毒、「密閉」「密集」「密接」の回避など、基本的な感染防止対策の一層の徹底をお願いいたします。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで、あと46日となりました。来月17日には聖火リレーが行われます。デンマークのオリンピック射撃選手団、エクアドルのパラリンピック陸上・水泳選手団が安心して競技に臨めるよう、万全の準備を整えてまいります。
新型コロナウイルス感染症対策
補正予算案
次に、令和3年度6月補正予算案についてです。
ワクチン接種体制の強化、生活困窮者への支援など、緊急対策をとりまとめ編成しました。特別会計を含めた補正予算額は約19億8,000万円となっています。
今回の補正予算案に計上した事業を含め、新型コロナウイルス感染症に対する区の取組みについて申し上げます。
感染拡大の防止と医療提供体制の充実
感染拡大の防止と医療提供体制の充実についてです。
都は、国の基本的対処方針を受け、高齢者や障害者の入所施設等を対象に、週1回、PCR検査を今月末まで集中的に実施しています。区は、対象となっていない介護・障害福祉サービス事業所504か所の利用者及び従事者約2万人を対象に、独自に検査を実施しています。
保健所の業務負荷を軽減するため、今月から、施設などで感染者が発生した際の検体採取業務を民間へ委託し、併せて変異株スクリーニングを開始しました。
都は、飲食店等での感染を抑え込むため、「徹底点検TOKYOサポート」を実施しています。区はこれに協力して、先月6日と7日、都の職員とともに、練馬、中村橋、江古田駅周辺の店舗を個別訪問し、感染症対策の点検・アドバイスを行いました。今後も引き続き協力する方針です。
自宅療養者の体調悪化時に、地域の医師が電話や訪問による診療を行うため、練馬区医師会と協議を進めており、直ちに入院が必要と判断された際には、区内病院で受け入れる体制を整えています。
高齢者や障害者を自宅で介護している家族が新型コロナウイルスに感染し、入院等による療養が必要となる場合があります。高齢者や障害者の生活を支えるため、一時宿泊先を新たに確保するとともに、自宅へのヘルパー派遣事業を充実します。
困窮する区民・事業者への支援
次に、困窮する区民・事業者への支援についてです。
児童扶養手当を受給しているひとり親世帯に対し、先月、児童1人あたり5万円の国の特別給付金を支給しました。これに続き、住民税非課税の子育て世帯等に対する支給手続きを順次進めます。
子どもを産み育てる家庭を応援・後押しするため、本年1月1日から5年3月31日までに出生した子どもについて、都が導入した、1人当たり10万円分の育児用品や子育て支援サービスを提供します。
コロナ禍における緊急支援として、本年4月から、防災備蓄物資の生理用品を配布しています。これに続き7月からは、区内企業からの寄付を活用して、福祉事務所、保健相談所、男女共同参画センターえーる等で配布し、併せて各種相談を受け付けます。
生活相談コールセンターは、これまでに約1万9,100件の相談に応じています。住居確保給付金は約5,400件支給していますが、支給期間の延長や再支給を行うため、予算を増額します。
緊急事態宣言の延長に伴い、国が新たに行う生活困窮者への追加支援について、円滑に支給出来るよう準備を進めます。
昨年3月から、事業者の資金繰りを支援するため、区独自の特別貸付を実施しています。返済時期を迎え、新たな資金需要と返済計画の組み直しに対応する借り換え特別貸付を先月から開始しました。
深刻な影響を受けている区内商店街の活性化策として、昨年度に引き続き30パーセントのプレミアム付商品券事業を支援するとともに、商店会の感染予防に要する経費を補助します。
子育て施策
次に、子育て施策についてです。
保育所「3歳の壁」対策
区長就任以来、幼保一元化施設である「練馬こども園」の創設、「待機児童ゼロ作戦」の展開などにより、全国トップクラスとなる7,000人以上の定員増を実現し、本年4月1日、待機児童ゼロを達成しました。引き続きゼロを継続出来るよう努力していきます。
残された課題は、いわゆる「3歳の壁」の解消です。2歳児までの保育施設を終了した3歳児を、優先的に認可保育所で受け入れる新たな方式を導入します。本定例会に、関係条例の改正案を提出しています。
区立高野台保育園の民営化
区立高野台保育園は、平成23年度に民間委託し、現在まで安定的かつ継続的に良好な運営が行われていることから、公共施設等総合管理計画に基づき民営化することとします。十分な周知期間を確保するため、9年度を目途とします。
学童クラブ待機児童対策
学童クラブの定員は、本年4月に6,551人となり、この5年間で1,500人以上の増となりました。更に、区独自の「ねりっこプラス」の開始により、待機児童数は、275人に減少しました。待機児童の解消に向け、来年4月の「ねりっこクラブ」8校開設など、定員拡大を着実に進めます。
児童相談体制「練馬区モデル」
児童虐待が複雑化、深刻化しているなか、子どもや子育て家庭が地域で安心して暮らし続けられるよう、児童相談体制の「練馬区モデル」を更に充実・強化します。
昨年7月、区と都が合同で設置した虐待対応拠点は、着実に成果を上げています。今年度から、都区の連携を更に進め、職員が一体となって初期対応の振り分けを行います。都は今年度、2か所目の虐待対応拠点を設置する予定であり、「練馬区モデル」は着実に拡がり始めています。
来年度、子ども家庭支援センターの組織体制を強化します。練馬区立子ども家庭支援センターの統括のもと、5か所の地域子ども家庭支援センターが、新たに、一時保護解除後の家庭復帰ケースなどへの訪問を実施し、再発防止等を支援します。本定例会に、関係条例の改正案を提出しています。
高齢者施策
次に、高齢者施策についてです。
高齢者施設の整備
先月、特別養護老人ホーム、都市型軽費老人ホーム、看護小規模多機能型居宅介護事業所をそれぞれ1施設開設し、いずれも都内最多となっています。団塊世代の全ての方が後期高齢者となる7年に向けて、引き続き整備を促進します。
医療・介護複合施設の整備
練馬光が丘病院の跡施設を活用し、医療・介護複合施設の7年4月開設を目指します。
医療分野では、区内初となる緩和ケア病床に加え、地域包括ケア病床を有する157床の病院、在宅医療を担う診療所を整備します。介護分野では、区内初の介護医療院に加え、介護福祉士養成施設、都内初となる障害福祉サービスも提供する看護小規模多機能型居宅介護事業所を整備します。移転後の新練馬光が丘病院と連携し、急性期から在宅生活に至るまで切れ目のない医療・介護サービスを提供します。
災害対策とまちづくり
次に、災害対策とまちづくりについてです。
災害対策
コロナ禍にあっても、災害対策は一刻も疎かにすることが出来ません。
避難所の感染症予防対策を強化するため、マスクや消毒液、避難所用テントなどの備蓄を増やしています。
保育所やごみ収集など施設・事業の継続可否、避難指示の発令時期等を定めた、行政タイムラインに基づく全庁を挙げた訓練も実施しています。来月には避難所開設など水災害対応訓練を予定しています。
実践的な訓練を積み重ね、災害への備えを強化してまいります。
用途地域の一括変更
目指すべき都市像を実現するため、都市計画では地域ごとに用途地域を定め、適切な土地利用を誘導しています。
特別区においては、連坦する市街地を広域的に調整するため、東京都が用途地域の指定を行っています。
平成16年の一斉見直し以降、道路整備の進展などにより、指定区域の境界の不明瞭化や、指定用途と実際の土地利用の乖離が生じており、都は5年度を目途に、特別区の用途地域を一括して変更することとしました。
区は、都の方針に基づき、低容積地域の改善など区特有の状況を踏まえた用途地域の変更素案を作成しました。今後、区議会からご意見を伺うとともに、来月以降、説明会を順次開催し、区民の皆様から広くご意見を伺ったうえで区案としてとりまとめ、今年度末、都に提出する予定です。
ビジョン・アクションプラン等の見直し
次に、ビジョン・アクションプラン等の見直しについてです。
今年度、「第2次みどりの風吹くまちビジョン」の新たな年度別取組計画を策定し、合わせて公共施設等総合管理計画の実施計画を改定します。コロナ禍の影響による課題等を整理しながら検討を進め、4年度・5年度の2か年の具体的な取組みを明らかにします。年内に素案を公表し、年度内の成案化を目指します。
ワクチン接種「練馬区モデル」
新型コロナウイルスの感染者は、世界全体で1億7,000万人を超え、372万人の方が亡くなられています。特に昨年末から変異株が猛威を振るい、インドやブラジルでは、感染者が爆発的に増加していますが、アメリカやイギリスでは、ワクチン接種の効果により減少傾向にあります。
新型コロナウイルス感染症を抑え込み、1日も早く日常を取り戻すためには、ワクチン接種を着実に実行しなければなりません。そのため、私自身が先頭に立って国と連携し、練馬区医師会の協力を得て「ワクチン接種体制 練馬区モデル」を構築しました。
1月末に厚生労働省が先進事例として全国に紹介して以来、多くの自治体で採用されています。2月には衆議院予算委員会に参考人として招かれ、「練馬区モデル」の説明を行い、接種を担う自治体を代表して、必要量の確実な配布と、今後のスケジュールの早急な明示を国に要望しました。
「練馬区モデル」の眼目である個別接種を行う診療所数は、約350か所となっています。円滑に接種が進むよう、区独自に各診療所のワクチン管理に要する経費を負担します。車いすを利用する高齢者や障害者の方などの接種会場への移動を支援するため、リフト付きタクシーによる送迎費用助成も実施します。
4月21日に特別養護老人ホーム入所者の接種を開始し、引き続き、75歳以上の方、65歳から74歳の方へと順次進めています。
今月から診療所での個別接種が始まり、「練馬区モデル」が本格的に動き始めています。集団接種と合わせて、国の目標水準を上回る毎週4万6,000回の接種が可能となり、7月中旬には、高齢者への2回目の接種が終了する見通しです。そこで、スケジュールを前倒しして、接種を加速させます。基礎疾患のある方、高齢者施設の従事者、60歳から64歳の方の接種券を今月22日に送付します。子どもたちをコロナウイルスから守るため、練馬区独自の対応として保育所、幼稚園、小中学校、学童クラブ、児童館などの従事者をこれに加えます。
続いて、6月29日には40歳から59歳の方、7月6日には12歳から39歳の方へ接種券を発送する予定です。
練馬区医師会、練馬区薬剤師会などの皆さんと力を合わせ、「練馬区モデル」により全国を先導して、希望する全区民への接種を早期に実現したいと考えています。現在のペースで進むと、遅くとも10月中旬には、練馬区モデルで想定した、希望者65パーセントへの接種が終了する見通しです。
おわりに
グローバル化の進展に伴い、他国で発生した事象が、瞬時に私たちの地域社会に直接影響を及ぼすようになっています。今回のパンデミックは、グローバル化の様々な側面を如実に示しました。
将来を見通すことが極めて難しい時代にあって、先見性がいかに大切か、身に沁みて感じています。事態が日々刻々と変化するなか、私は住民に最も身近な基礎的自治体の長として、たとえ数歩であっても、常に先を見据えて対応するよう努めてきました。区民の皆様、現場の声を真摯に受け止め、課題の実相を見極めて、目先目先ではなく、将来につながる施策を重点的・機動的に実施してきたつもりです。今後もこの姿勢は変わることはありません。これまで、児童相談体制、ワクチン接種にとどまらず、様々な行政分野で、いわゆる「練馬区モデル」を構築してきましたが、今後更に拡大・充実して行きたいと考えています。区議会の皆様、区民の皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。
なお、本定例会には、これまで述べたものを含め24件の議案を提出しております。宜しくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
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区長室 秘書課 秘書担当係
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