平成30年11月 第四回定例会 区長所信表明
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更新日:2018年11月30日
はじめに
前川区長所信表明の様子
平成30年第四回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと思います。
23日から3日間、世界都市農業サミット・プレイベントを開催しました。ニューヨーク、ロンドンの代表者をお迎えして、現地視察や意見交換を行いました。私も両市の4人の皆様と直接お話しして、練馬の都市農業について「市街地の只中に生きた農業が営まれているのは、世界でも練馬しかない」「農の学校や直売所には感心した」などという感想を伺いました。
ねりマルシェ、みんなde農トークショー、ワールドマーケット、JAZZサミットなど、数多くのイベントには、想定した以上に、区内外から多数の皆様が訪れました。農業者・関係団体をはじめ、ご協力を頂いた皆様方に、心から感謝を申し上げます。
来年の本番は、この2都市に、ジャカルタ、ソウル、トロントを加えた5都市をお招きします。各都市の状況を紹介して頂き、都市農業のあり方をともに考え、その魅力を世界に発信していきたいと思います。
みどりの基本計画の改定
次に、「練馬区みどりの基本計画」の改定についてです。
みどりのまちづくりの取組みは、「第38回緑の都市賞」で国土交通大臣賞を受賞するなど高い評価を得ています。これまで区では、公園や街路樹の整備など、みどりの創出や保全を進め、公共のみどりを増やし続けてきましたが、全体の4分の3を占める、農地や樹林地など民有のみどりは一貫して減少しています。
来月、みどりの区民会議の提案、練馬区緑化委員会の答申に基づき、新しい視点に立った、「練馬区みどりの総合計画」の素案を公表します。みどりの豊かさを実感出来る区民が増加することを目指して、区民の満足度80パーセントを目標に、これを実現するための基本方針を定めました。みどりを守り増やす、樹林地や都市農地の保全、公園や都市計画道路の整備、また、地域のみどりへの関わりを深め育てる、区民協働によるムーブメントを広げる取組みを位置付けています。
今後、区議会並びに区民の皆様からご意見を頂いたうえで、年度内に成案とします。
緊急災害対策
次に、緊急災害対策についてです。
今年は、全国的に大きな災害が続き、練馬区でもゲリラ豪雨などに襲われました。区は直ちに緊急災害対策に取り組んできましたが、この度、更に新たな対策に着手することとしました。
避難者の通信環境を改善するため、今年度中に全避難拠点に公衆無線LANを整備するとともに、避難拠点や帰宅支援ステーションにおける携帯電話充電機能の確保を検討してまいります。この夏の猛暑は災害級とも言われました。国や都の補助金を最大限活用することにより、計画を前倒しして、避難拠点である小中学校体育館の空調機設置を進めます。区内では約10万人にのぼる帰宅困難者の発生が想定されています。7箇所の帰宅支援ステーションで万全の対応が出来るよう、食料・飲料水の備蓄を増やすとともに、一時滞在施設の指定を促進します。
第2次みどりの風吹くまちビジョン
次に、「第2次みどりの風吹くまちビジョン」についてです。
グランドデザイン構想の実現を目指して、区政改革計画を取り込み一体化した、新たな総合計画「第2次みどりの風吹くまちビジョン」の素案を取りまとめました。
これまでの施策の一貫性・継続性を大切にしながら、新たな取組みを盛り込んでいます。
第2次ビジョンは、グランドデザイン構想実現への道筋を示す基本計画、具体的な実行計画であるアクションプランの2部から成ります。基本計画では、基本理念と施策の柱、アクションプランでは、21の戦略計画、年度別取組計画と財政フレームをお示しします。
基本計画(素案)を来月公表し、区議会並びに区民の皆様のご意見を頂いたうえで、年度内に成案とします。戦略計画(素案)は、同時にお示しし、年度別取組計画と財政フレームは、2月に素案を公表します。
次に、基本計画の「6つの施策の柱」に沿って、特徴的な取組みを申し上げます。
子どもたちの笑顔輝くまち
第1の柱は、「子どもたちの笑顔輝くまち」です。
区はこれまで、「保育所待機児童ゼロ作戦」を展開するとともに、「練馬こども園」を創設するなど、全国トップレベルとなる5千人以上の保育所定員増を実現しました。しかし、地域における需要と供給のミスマッチなどにより、待機児童が依然発生しています。更に来年10月から実施される幼児教育・保育の無償化により、保育需要の更なる増加が見込まれています。保育所等の整備や練馬こども園の充実など、保育サービスの拡充により、待機児童解消を目指します。一方で、区の児童人口は、将来、確実に減少していきます。これからの教育・保育サービスはどうあるべきか、長期的な視点に立って検討していきます。
民間カフェと協働し、子どもが学び・遊ぶ機会や、保護者が交流したりリラックス出来る環境を提供し、教育サービスや子育て講座を実施するため、「(仮称)練馬こどもcafe」を創設します。
妊娠期から子育て期までの切れ目ないサポートを実現するため、「(仮称)母子健康電子システム」を構築します。保護者などが、妊婦健診や乳幼児健診の情報等を閲覧出来るようにして、どの保健相談所でも健診・相談を受けられるようにします。
児童相談所行政は、基本的に広域行政であり、仮に区に児童相談所を設置しても、区単位では問題を解決出来ません。区による地域に根差したきめ細かい支援と東京都の広域的・専門的な支援を適切に組み合わせた新たな仕組みが必要です。子どもたちの福祉の向上のため、都と実務的な協議を重ね、新しい児童相談体制「練馬モデル」を構築します。
高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち
第2の柱は、「高齢者が住みなれた地域で暮らせるまち」です。
団塊の世代の全てが後期高齢者となる平成37年までに、介護が必要になっても住みなれた地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される地域包括ケアシステムを確立しなければなりません。
これまで区は、介護保険施設等の整備を進めてきました。特別養護老人ホーム、ショートステイ、都市型軽費老人ホームの施設数は、都内最多です。平成37年に向けて、在宅での生活が困難な方全てが希望する時期に入所出来るよう、特別養護老人ホームの整備を促進します。
地域包括ケアシステムの中核を担う地域包括支援センターは、区立施設等への移転や増設、担当区域の見直し等を行い、より身近で利用しやすい窓口とします。
区内に多数の店舗があるコンビニや薬局と連携して、イートインスペースや待合室を活用した、新たなスタイルの「街かどケアカフェ」を実施します。また、コンビニの従業員等を対象として、カードゲーム形式による研修プログラム「ニンプロ」を実施し、認知症の方の見守り体制を強化します。
高齢者の約8割は、いわゆる「元気高齢者」です。働く意欲のある高齢者を対象に、「シニア職場体験事業」や起業・創業のためのセミナーを実施します。また、趣味や特技を地域活動で活かせるよう「はつらつシニア活躍応援塾」を開始します。
安心を支える福祉と医療のまち
第3の柱は、「安心を支える福祉と医療のまち」です。
障害者の高齢化・重度化、家族の高齢化が進み、障害特性やライフステージに応じたサービスの提供がますます重要となっています。特に需要が高い重度障害者グループホームを、公有地等の活用により整備します。障害者の方々による農作物の収穫や加工・販売作業を拡充するとともに、福祉連携農園の検討を進めます。
「ひとり親家庭自立応援プロジェクト」を充実します。離婚や養育費等の専門的なアドバイスを充実するため、相談窓口に弁護士を配置します。小さな子どもを抱えて相談に来ることが難しい家庭を対象に、出張相談を開始します。
生活保護受給世帯の子どもの学習環境や生活習慣を改善するため、家庭訪問を行う子ども支援員を増員します。また、生活保護受給世帯の増加に対応し、きめ細やかなサポートを行うため、今後も適正なケースワーカーの人員を確保します。
順天堂練馬病院の増床、練馬光が丘病院の移転・改築、高野台新病院の整備を着実に進めてまいります。また、練馬区医療施策検討委員会からの提言を踏まえ、区内における病院の配置状況を考慮しながら、今後の医療需要等を見据えて、新たな病院誘致を目指します。
安全・快適、みどりあふれるまち
第4の柱は、「安全・快適、みどりあふれるまち」です。
都市化が急激に進んだため著しく立ち遅れている、道路・鉄道など、都市インフラの整備が急務となっています。豊かで美しい都市空間を創る都市計画道路の整備を促進します。大江戸線の延伸、西武新宿線の連続立体交差化の早期実現に向けて、東京都との協議を更に進めていきます。
石神井公園駅周辺では、駅・商店街・石神井公園が連続した魅力あふれるまちづくりを目指し、駅南口西地区の市街地再開発事業について、都市計画の決定、事業化に向けて取り組んでいきます。
みどりに恵まれた環境を未来につなぐため、公園や緑地を整備し、みどりのネットワークの形成を推進します。武蔵野の面影をテーマに稲荷山公園を、水辺空間の創出をテーマに大泉
地域の災害リスクに応じた「攻めの防災」を進めます。「地域別防災マップ」を住民と協働で作成し、これを活用した訓練を実施します。老朽木造住宅が密集し、建物の倒壊や延焼の危険性が高い地区で、引き続き密集住宅市街地整備促進事業を進めます。これに次ぐ危険性が懸念される地区を、区独自に「(仮称)防災まちづくり推進地区」と位置付け、狭あい道路の拡幅、ブロック塀の撤去、老朽木造住宅の建替え促進などを集中的に進めていきます。
いきいきと心豊かに暮らせるまち
第5の柱は、「いきいきと心豊かに暮らせるまち」です。
みどり豊かな住宅都市という特性を活かし、区民が暮らしに潤いや幸せを感じる、魅力あふれるまちを目指してまいります。
区立美術館は、新しく就任した秋元
春の「こぶしハーフマラソン」、「真夏の音楽会」と「花火フェスタ」、秋の石神井の森を借景とした「みどりの風 練馬薪能」、冬の「ユニバーサルコンサート」・「ユニバーサルスポーツフェスティバル」。四季を感じ、誰もが楽しめる年中行事として発展、定着させてまいります。
区内に映画撮影所が立地し、日本アニメーション発祥の地でもある、練馬の歴史を活かし、映像文化をテーマとした、ソフト・ハードが一体となった夢のあるまちづくりに取り組みます。これを具体化するため、「映像文化のまち構想」の策定を進めます。
都市農業の魅力と可能性を世界に発信するため、来年11月29日から12月1日の3日間、世界都市農業サミットを開催します。ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロント、各都市から農業者や研究者、行政関係者を招聘します。区民の皆様の関心を高めるため、ワールドマルシェなど、多彩なイベントを計画しています。
住宅と農地が共存する良好な環境を将来にわたって維持・保全するため、区は、農地制度や税制度の改善を国に要望してきました。都市農業振興基本法の制定と基本計画の策定に加え、生産緑地指定下限面積の緩和、特定生産緑地制度や生産緑地貸借制度などの創設は、この活動が実ったものです。これらの新たな仕組みを積極的に活用するほか、田園住居地域の指定に向けた検討を進めます。また、地区計画等の都市計画制度を活用した、新たな農地保全制度を研究し、国および都との調整を進めてまいります。
区民とともに区政を進める
第6の柱は「区民とともに区政を進める」です。
地域の現場が抱える課題は多様化・複雑化しており、新たなニーズは、行政だけで対応出来るものではありません。区と区民や団体などが適切な役割分担の下で協働していかなければなりません。
防災や一人暮らし高齢者の見守りなど、様々な地域活動を行っている町会・自治会の加入促進や組織の活性化に向けて、取り組んでいきます。
「パワーアップカレッジねりま」をリニューアルし、地域活動に参加したいという区民の背中を後押しします。また、地域おこしプロジェクトの実施団体を増やします。
区民の皆様と直接対応する窓口は、区役所の顔というべき存在です。窓口サービスの向上から区役所を変えていきます。来庁しなくても手続きが出来るサービスの拡充、来庁前に混雑状況が分かる仕組み、来庁された区民への正確な案内、複数の申請書の一括作成、事務処理ミスの防止など、目に見える形で具体的な課題に着実に取り組んでいきます。
新たな自治の創造への芽生え
第2次ビジョンでは、基本理念の一つとして「区民協働による住民自治」を掲げています。練馬区を育てていく主役は区民の皆様です。ビジョンの最後に、地域の課題をわが事として考え、自主的に取り組まれている事例の一部を紹介しています。
おわりに
4月の区長選挙では、目指すべき区の将来像をグランドデザイン構想としてお示ししました。「第2次みどりの風吹くまちビジョン」は、グランドデザイン構想実現への道程を明らかにするものであり、区長就任以来の取組みを更に発展・深化させたものであります。これを着実に実行し、区民の皆様にお約束した「改革ねりま第Ⅱ章」の実現に全力を尽くしてまいります。
なお、本定例会には、指定管理者の指定など36件の議案を提出しております。よろしくご審議のほど、お願いいたします。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
お問い合わせ
区長室 秘書課 秘書担当係
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