平成27年2月 第一回定例会 区長所信表明
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更新日:2015年2月6日
はじめに
前川区長所信表明の様子
平成27年第一回練馬区議会定例会の開会にあたり、区政運営について所信を申し上げ、区議会並びに区民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。
先般、中東地域において湯川遥菜さんと後藤健二さんが殺害されたと見られる報道がなされました。このような卑劣な行為は許しがたい暴挙であり、強い憤りを覚えます。お二人には、心から哀悼の意を表します。
昨年12月14日に衆議院議員総選挙が行われ、1月26日には、通常国会が開会されました。先に成立した政府の今年度補正予算には、消費喚起策としてプレミアム商品券の発行など、また、平成27年度当初予算案には、子ども・子育て支援新制度、介護保険制度の改正、地方創生交付金等が盛り込まれています。いずれも区の施策に大きな影響をもたらすものであり、今後の動向を注視してまいります。
区政運営の新しいビジョン
次に、「区政運営の新しいビジョン」について申し上げます。
昨年12月、素案を発表しました。作成にあたっては、私自身が出席する「練馬の未来を語る会」を7回開催し、子育て、介護、農業の各分野で活躍されている方々、無作為抽出による若者や子育て世代の方々などと率直に意見を交換しました。また、並行して、各種事業者団体や地域団体の方々との話し合いも重ねました。素案発表後は、自由参加による「練馬の未来を語る会」を4回開催し、区民の皆さまと共に考え、議論を深めてまいりました。さらに、パブリックコメントを実施したほか、所管部を通じて関係する団体の皆さまからご意見を伺いました。
今後、議会でのご議論を踏まえ、年度内に「区政運営の新しいビジョン」を策定いたします。
現在、アクションプランの取りまとめを進めています。戦略計画および主要事業の、来年度から3か年の具体的な取り組みと事業費を示すものであり、今月中に素案を公表し、6月を目途に確定いたします。
平成27年度は、区政運営の新しいビジョンを羅針盤とする「改革ねりま」の本格的な出発点となります。
平成27年度当初予算案
次に、平成27年度当初予算案について申し上げます。
区財政を取り巻く状況
1月の月例経済報告では、景気は緩やかな回復基調にあるものの、消費者マインドの弱さや海外景気の下振れなど、下押しするリスクもあるとしており、景気の先行きは予断を許さず、区財政は、引き続き厳しい運営を強いられると予測されます。
法人住民税の一部国税化等により、区の基幹的歳入である特別区財政調整交付金は、今後、大きな影響を受けることが避けられません。景気の動向や税制改正などを、十分注視していく必要があります。
予算案の概要
平成27年度当初予算案の編成にあたっては、戦略計画を着実に推進するため、直ちに着手すべき事業は、すべて予算化しました。中長期的に取り組む事業は、調査・研究などに必要な経費を計上しました。
一方で、マイナスシーリングを引き続き実施し、国・都の交付金や起債の活用などを行い、全体として持続可能な財政運営を堅持できたと考えています。
一般会計予算額は2,446億円、前年度比約55億円、2.3パーセントの増であります。
歳入では、景気回復や女性、高齢者の就業の増加などにより、特別区税を前年度比約11億円の増と見込みました。加えて、地方消費税交付金、特別区交付金の増などにより、一般財源の総額は、前年度比約96億円増の1,624億円と見積もりました。
特定財源は、特別区債を前年度比約35億円の減としたことなどにより、前年度比約42億円減の822億円としました。
歳出では、戦略計画に基づく新規事業などに約133億円を計上いたしました。
義務的経費は、私立保育所運営経費、自立支援給付費など扶助費の増や、満期一括償還に伴う公債費の増などにより、前年度比約83億円増の1,337億円となっております。
投資的経費は、大泉学園駅北口地区再開発事業の完了や、密集住宅市街地整備促進事業の進捗により、前年度比約64億円減の191億円といたしました。
戦略計画のうち予算化した主な事業
次に、平成27年度当初予算案に計上した戦略計画の新規事業等を、計画の柱に沿って申し上げます。
すでに、昨年の第四回定例会で主な取り組みをご説明申し上げましたので、今回は簡潔にお話しいたします。
第一に、「子どもの成長と子育ての総合的な支援」では、約37億3千万円を計上しました。
家庭での子育てを応援するため、子ども家庭支援センターの相談機能を強化し、乳幼児一時預かりの定員を1万人拡大します。大空のもと、親子が、公園等で外遊びを行うひろば事業を開始します。
練馬区版の新たな幼保一元化に向け、幼稚園の預かり保育を充実した、「練馬こども園」制度を発足させ、20園の認定をめざします。
スクールソーシャルワーカーを新たに配置し、支援が必要な子どもへのサポートを充実します。
すべての小学生を対象とする放課後の居場所、(仮称)ねりっこクラブの平成28年度からの実施に向けて、準備に必要な経費を計上しました。
第二に、「安心して生活できる福祉・医療の充実」には、約7億4千万円を計上しました。
地域包括ケアシステムの確立に向けて、高齢者相談センターへの医療・介護連携推進員の配置、介護予防のためのリハビリ専門職の派遣を行います。また、特別養護老人ホーム等の整備、「街かどケアカフェ」の開設準備などを進めます。
障害者の地域生活を支援するため、重症心身障害児(者)の家族支援事業、地域精神保健相談員の配置、就労の促進に取り組みます。
地域医療の充実に向けて、順天堂練馬病院の増築増床用地を確保するため、石神井東中学校の体育施設移設に着手します。練馬光が丘病院の改築を進めるため、旧光が丘第七小学校用地を活用した基本構想を策定いたします。
また、災害時に要援護者を受け入れる福祉避難所を、2か所新たに指定します。
第三に、「安全・快適な都市の実現に向けた基盤整備」では、約71億3千万円を計上しました。
大江戸線の延伸に向けて、基金の積立額を5億円に増額します。外環の2などの都市計画道路の整備を促進し、あわせて沿道地区や駅周辺のまちづくりに取り組みます。
特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化を進め、歩道の狭い既存道路での無電柱化モデル事業に着手します。
また、住宅都市にふさわしい自立分散型エネルギー社会に向け、(仮称)練馬区エネルギービジョンを策定します。
第四に、「練馬区の魅力を楽しめるまちづくり」では、約16億8千万円を計上しました。
中小企業の活性化と商店街の魅力づくりをめざし、創業を支援する、女性向けセミナーの開催や新たな融資貸付の実施、「産業見本市」の開催、「まちゼミ」の支援などを行います。
都市農業を振興するため、経営の支え手を育成する「農の学校」を開校し、様々な農産物や加工品の即売会「ねりマルシェ」を試行実施します。
みどりあふれるまちづくりをさらに進めるため、民有樹林地の調査、特色ある公園の整備、森と水のビジターセンターの開設準備などに取り組みます。
風を感じながら巡るみどりのまちをめざし、「まち歩き」「ポタリング」のコース設定、シェアサイクル導入に向けた検討に着手します。
第五に、「新たな区政の創造」では、区政改革推進会議を設置し、改革に向けた計画を策定いたします。
教育行政の新たな取り組み
ここで、現在直面している5つの案件について、ご説明申し上げます。
まず、総合教育会議についてです。
昨年6月の法改正を受け、区の教育行政における責任体制の明確化、区長である私と教育委員会との連携強化を目的として、本年4月に「総合教育会議」を設置します。
4月中に、初めての「総合教育会議」を招集します。新たな教育行政を展開するため、教育を行うための諸条件の整備や、総合的な施策の大綱など、積極的に協議・調整してまいります。
大綱は、民意を代表する立場から、自治体の長が定めるものであり、「総合教育会議」において、教育委員会と十分に協議してまいります。
なお、本定例会には、教育委員会制度の改正に伴う条例改正を提案しております。
都市農地の保全
次に、都市農地の保全についてです。
この度、都市農地保全推進自治体協議会の会長である私に、東京都知事から「国家戦略特別区域を活用した東京における都市農業の推進」に対する協力依頼がありました。
かねてより区は独自に、市街化区域内都市農地の保全に向け、国家戦略特別区域の活用を提案しておりました。また、同協議会の会長として、関係省庁に、都市農業に関する基本法の制定をはじめ、生産緑地制度や農地制度、相続税制度などの改善を強く要望してまいりました。
今回の都知事からの協力依頼は、こうした両面にわたる取り組みに応えるものであります。直ちに同協議会に加盟する都内37自治体に周知し、賛同を求めました。
今後練馬区長として、また同協議会の会長として、都と連携し、早期に国家戦略特別区域の指定が実現するよう、全力を傾注してまいります。
まちづくり
次に、まちづくりについてです。
先月末、鉄道立体化の早期実現と、沿線地域のまちづくりを推進するため、地域の力を結集して「西武新宿線立体化促進協議会」の結成大会を開催しました。区民、区議会、区が一体となって、東京都に対する要請活動も行いました。今後も、上石神井駅周辺地区を始め、外環の2など南北道路の整備にあわせた沿線地域のまちづくりを推進し、鉄道立体化の早期実現を都に働きかけていきます。
大江戸線の延伸は、平成27年度中に予定されている国の交通政策審議会答申で、整備に向けた明確な位置づけを得ることが必要です。昨年11月に都に要望した区と関係当局との実務的な協議を、早速開始いたしました。今後、東京都との連携をさらに深め、事業化を促進してまいります。
大泉学園駅北口地区では、市街地再開発事業が本年3月に完了します。駅前広場やペデストリアンデッキを整備することで、鉄道やバスなどの交通手段を結節する機能が拡充し、南北の一体化がさらに進みます。再開発ビル内には、区の施設として大泉区民事務所や自転車駐車場などを開設します。デッキ上にアニメモニュメントを設置し、大泉学園駅周辺の商店街と連携して賑わいづくりを進めます。
なお、本定例会には、大泉区民事務所、自転車駐車場の移転に伴う条例改正を提案しております。
練馬区立美術館
次に、練馬区立美術館についてです。
区立美術館は、本年、開館30周年を迎えます。4月には、美術館の前庭である美術の森緑地をリニューアルオープンします。園内を芝生化し、みどりあふれる中で個性的な動物彫刻と触れ合える、いざないと憩いの場として装いを新たにします。
開館30周年を記念し、没後100年を迎える最後の浮世絵師、小林清親の展覧会を皮切りに、初の印象派展となるアルフレッド・シスレー展など、斬新な企画展を開催します。
美術館の運営は、4月から練馬区文化振興協会を指定管理者とします。現館長が、引き続き館長の職を務めることで、より一層柔軟で自由度の高い運営が展開され、美術館の魅力がさらに高まることを期待しています。
練馬こぶしハーフマラソン
次に、練馬こぶしハーフマラソンについてです。
「走ることで練馬を元気に」・「練馬の魅力の発見と発信」の2つを大会コンセプトとして、3月29日に練馬こぶしハーフマラソン2015を開催します。
昨年11月にランナーを募集したところ、区民先行枠1,000名、一般枠4,000名ともに即日定員に達しました。区の内外から大きな期待が寄せられており、満開のこぶしと桜のもと、新しい区政の本格スタートを象徴する大会としたいと考えています。
当日は、コース周辺で大規模な交通規制を実施するため、事前周知に万全を期してまいります。また、1,500人を超える区民の方々にボランティアとして参加していただきます。区民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
おわりに
区長に就任し、初めて当初予算案を編成しました。基礎的自治体は、住民一人ひとりに向き合い、共に安全・安心で豊かな地域社会を実現するという重要な役割を担っています。区政の隅々に目を配り、貴重な税金を活用して、予算を編成することの重さと責任を改めて痛感しました。
将来の区民に恥じることのないよう、先人が苦労して築いた資産である我がまち練馬を、さらに豊かで快適な都市に育てることが私の責務であると考えております。区民の皆さまと力を合わせながら、行政の責任を果たしてまいります。
なお、本定例会には、「平成27年度一般会計歳入歳出予算案」など、これまで述べたものを含め39件の議案を提出しております。よろしくご審議のほどお願いいたします。
以上をもって、私の発言を終わります。
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