日本大学保証金返還請求事件判決に係る記者発表
ページ番号:226-100-721
更新日:2014年9月22日
動画の概要 日本大学保証金返還請求事件判決に係る記者発表
日時
平成26年9月22日(月曜) 午後2時~午後3時
記者会見内容
【司会】それでは会見を始めさせていただきます。まず始めに前川区長より発言をいたします。
【区長】みなさん、こんにちは。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。冒頭に私から、結論とそれから、コメントについて説明させていただきます。ご存じのとおり、17日に、東京地裁の判決が、日大の保証金問題についてあったわけですが、それについて先に結論を申し上げれば、区としては、判決を受け入れて控訴をしないということにいたします。その理由は、お手元に、私のコメントが配ってありますので、それを見ていただきたいと思います。見ながら、お聞きいただければと思います。
簡単に読みますが、日本大学から預かった保証金について、区は返還時期が到来していないなどの理由から、請求には応じられないと主張しましたが、区の主張は認められない判決となりました。対応を慎重に検討しましたが、裁判の結果を真摯に受けとめ、判決を受け入れるとの結論に至りました。区は裁判の過程で主張を尽くしており、控訴審において判決を覆すことは難しいと判断いたしました。また、日本大学との係争が長期化することは、医療行政を進めるうえで望ましくないと考えます。控訴はせず、判決に従って保証金を返還するとともに、遅延損害金を支払うことといたします。現在、開会中の第三回練馬区議会定例会に、補正予算案を提出し、議決をいただいたうえで、速やかに手続きを進める考えです。財政負担を伴う結果となりましたことを重く受けとめ、区民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
誰もが安心して住み続けられる練馬区を実現することが私の使命であり、今後とも、地域医療の充実に全力を尽くしてまいる決意であります。区民の皆様には、今回の対応にぜひご理解を賜りますようお願い申し上げます。平成26年9月22日、練馬区長前川燿男、以上であります。
それでは、事務的な詳細について担当の部長から説明させていただきます。よろしくお願いします。
【地域医療担当部長】それでは、地域医療担当部長、新山から判決について申し上げます。お手元に、敷金返還請求事件(日本大学保証金返還請求事件)の判決についてという文書を配らせていただいてございます。
1、事件の内容でございます。(1)事件名および事件番号は敷金返還請求事件、東京地方裁判所、平成24年(ワ)第21378号、(2)訴訟提起日でございます。平成24年7月26日、訴状到達日、平成24年8月28日。(3)当事者、原告、学校法人日本大学、被告、練馬区。(4)請求の趣旨、(1)被告は、原告に対し、金50億円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え、(2)訴訟費用は被告の負担とする、との判決並びに仮執行宣言を求める。
2、訴訟の概要でございます。(1)経過。区と日本大学は、平成3年4月1日付けで「日本大学医学部付属練馬光が丘病院の設置運営に関する基本協定」、以下「基本協定」という、および区の所有する病院施設を30年間日本大学に賃貸する内容の「公有財産貸付契約」、以下「貸付契約」という、を締結した。日本大学は、基本協定第8条の規定に基づき、保証金50億円を区に差し入れ、日本大学医学部付属練馬光が丘病院を開設した。区は、日本大学が少なくとも30年間は病院運営を行うとの双方の認識に基づき、病院開設以降、日本大学の要請を受け賃料の減免等、総額88億円余の支援を行ってきた。平成22年2月、日本大学は、貸付契約は民法の規定により20年で終了するとして、病院運営からの撤退を区に申し入れた。日本大学は、平成24年3月末をもって病院運営を終了した。その後、日本大学は保証金の返還を求めた。区は日本大学が基本協定および貸付契約に基づく30年間の病院運営を履行していないとして保証金の返還に応じなかったため、日本大学は平成24年7月26日付けで本件訴えを提起した。(2)主な争点、(1)保証金の返還義務の発生時期、(2)原告の保証金の返還請求が信義則に反するか、(3)原告の債務不履行の有無。
3、判決の内容でございます。(1)判決主文、(1)被告は、原告に対し、50億円及びこれに対する平成24年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(2)原告のその余の請求を棄却する。(3)訴訟費用は被告の負担とする。(4)この判決の(1)は、本判決が被告に送達された日から14日を経過したときは、仮に執行することができる。(2)主な判決理由でございます。(1)本件保証金の返還義務の発生時期は、本件契約が平成24年3月31日をもって終了したことは争いがないことから、平成33年3月31日であるとの被告の主張は理由がない。(2)基本協定及び貸付契約が終了した以上、原告が本件保証金の返還を求めること自体が信義則に反するとまではいえない。(3)約定で30年と定めても、民法604条1項の定めにより、存続期間は20年に短縮される。基本協定と共に貸付契約が締結されたとしても民法604条の適用は排除されない。借地借家法29条2項には経過規定がなく、貸付契約の存続期間が30年という被告の主張は採用できない。(4)原被告間で本件保証金の返還について協議をしていた期間は弁済期が到来しないから、平成24年6月7日以降の遅延損害金を求める限度で原告の請求は理由がある。
※でございますが、こちらは法の規定でございます。※民法604条1項。賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。2つ目の※です。借地借家法29条2項。民法604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。(3)判決言渡し日、平成26年9月17日(水)。3ページ目をお願いいたします。
4、今後の対応でございます。(1)控訴について、弁護士を含む庁内対策委員会において、訴訟代理人等の意見も聴き、判決内容を精査し、検討した。その結果、区は裁判の過程で主張を尽くしており、控訴審で判決を覆すことは難しいとの結論に至った。また、日本大学との係争が長期化することは、区が医療行政を進めるうえで望ましくない。そこで、区は、判決を受け入れ、控訴は行わないこととする。(2)判決認容額の支払いについて。区は、日本大学が差し入れた保証金50億円を返還し、遅延損害金等を支払う。支払いについては、遅延損害金が日割りで加算されるため、できる限り速やかに手続きを行う。現在開会中の、練馬区議会第三回定例会に補正予算案を提出する予定である。
以下参考で、1つ目に、病院施設の概要、平成3年貸付時でございます。2つ目に病院施設の運営経過を記載してございますので、お目通しください。めくっていただきまして別添でございます。先ほど申し上げました庁内検討委員会の設置について、というものでございまして、1が設置、2検討事項として、判決に対する区の対応方針を決定すること。3は構成メンバーでございます。また、この際、6で意見聴取として、会長は、区の訴訟対応方針の決定に関し、専門的な見地から訴訟代理人等に意見を聞くことができる。といったものでございます。説明は以上でございます。なお、お手元には、本判決の写しを添付してございますので、後程お目通しいただけたらと思います。私からは以上でございます。
質疑応答
【記者】毎日新聞社の近藤です。本日は、特別委員会も聴取しておりましたけれども、責任をどうとるかということに尽きるのかなと個人的には考えておりまして。それは、区長としてというよりもですね、区として責任をどうとるのかという質問もやはり、複数の区議から出されまして、それに対して、一層の地域医療の充実を図ることで責任を取りたいとお答えになっていましたけれども、この遅延金だけで5億7900万円という巨大な額ですね、日割りにすると68万5000円という途方もない額が加算されて支払わなければいけない訳で、一層の地域医療の充実というだけで、これがはたして済む問題なのだろうかと思ったりもするのですが、そこについて、お答えをいただきたいということが一点と。それから、地域医療の充実ということですが、練馬区は病床数が23区で最も少ない。人口の割に非常に少ないわけでありまして、地域医療ネットワークというだけではなく、例えば震災が起きたときの対応ですとか、そういった、中央機能的な病院が絶対に必要ではないかという考えを個人的には持っておりまして。その、地域医療の充実といった場合にですね、そのあたりには今後どういう風に取り組んでいくのか。いろいろ策定しているものがありますけれども、それとも合わせて、お考えをお聞きしたいと思います。以上です。
【区長】最初の責任でありますが、おっしゃっている意味は応訴した事の責任だろうと思います。それは結果的に判決で負けてですね、こうなったことを前提にすれば、最初から払っておけばよかったと。そういう議論であろうかと思います。私はもちろんいなかったので当時の雰囲気自体は分かりませんが、今、客観的に見てですね、当時、契約期間につきましてはね、30年間ということは両者とも合意していたわけですよね。しかも、それを放っておけば特段の事情がない限り更新するんだと。つまり、事実上、無期限無利息だったことについてはですね、両者とも異論がなかったわけです。しかも、それを前提にして区として多額の支援を行った。総額で88億円にもなりますか。ただそれはその前提があったればこそですね。そしてまた、当時やみくもに応訴したんじゃなくて、専門家とも相談して、法的な論点としてですね、勝てる可能性があると。その辺りを総合的に判断したんだろうと思います。ですから、結果についてご批判いただくのは、これはもう当然仕方がないと、当然だろうと思いますけれども。応訴したこと自体についてはですね、私はこういう言い方をするとあれですが、やむを得なかったのかなと考えています。それが一点ですね。次にベット数の問題につきましては、私は選挙でもお約束をしましたが、地域医療の充実というのは私の公約の一番大きな柱の一つになっています。かねて申し上げていますが、今、これまでの区政を改革して、新しいビジョンを作ってそれに従ってやるということを申し上げております。そのビジョンを年内に作るつもりですけれども、その中でですね、当然のことながら、新しい病院の設置であったり、あるいは今の病院の充実であったり、そういったことについて方向を示していきたいと思います。具体的なことがもしあれであれば、部長にお答えさせますが、一応、そういう形です。
【記者】産経新聞の今中です。すみません、単純な質問で申し訳ないんですけど、50億円、返還されるということで、財源とかってどういったものでしょうか。
【地域医療担当部長】地域医療担当部長の新山です。50億円につきましては、この原資といたしましては、区で持っております財政調整基金、この基金の中から支出する予定でございます。
【記者】スケジュールとしては、一括で返金するということで。
【地域医療担当部長】お答えいたします。当然、議会の補正予算としてあげまして、それが議決されて、認められなければなりませんけれども、議決後はできるだけ早い時期に、一括して返還する予定でございます。
【記者】東京新聞の杉戸と申します。よろしくお願いします。今の質問と関連してなんですが、遅延損害金については、どこから捻出するんでしょうか、されるんでしょうか。
【地域医療担当部長】私からお答えします。遅延損害金につきましても、原資といたしましては、財政調整基金の中から支出する予定でございます。
【記者】支払時期などは、同じと考えてよろしいですか。
【地域医療担当部長】支払の時期も一緒にという風に考えてございます。
【記者】読売新聞の播磨と申します。実際に練馬区が支払う金額は50億円と遅延損害金と訴訟費用ということで、全体でいくらになるでしょうか。支払時期の見通しも含めてなんですけれども。
【地域医療担当部長】お答えいたします。遅延損害金につきましては、9月末をもって約5億7000万円余ということでございます。それ以降はもっと増えていきますけれども、できるだけ早い時期ということで考えてございます。ですから、トータルとしては55億7000万円余。訴訟費用でございますが、訴訟費用につきましては1000万円程度と見込んでおります。
【区長室長】ただいまの質問に関連してですけれども、区の方でお支払するものですが、お支払時期について、確認を部長お願いします。
【地域医療担当部長】裁判費用等に含めましても、実際に請求があれば、請求後ただちにお支払するということで考えてございます。
【区長室長】すみません。お支払いするのは一括でとお話があったのですが、裁判費用だけは、これは請求を頂戴してからということですので、入っておりませんということでご理解いただければと思います。
【記者】朝日新聞の橋田です。区長先ほど、よろしくお願いします、といって頭を下げられましたがどういう意味なんでしょうか。陳謝の意味合いなんでしょうか。
【区長】両方入っている。区民に、結果的にですけれども、財政上の負担をかけたということに対するお詫びと。それから、今回の処理についてご理解いただきたいと。その両方です。
【記者】あともう一つ。基金の残高って、直近でいくらぐらいあるんでしょうか。
【副区長】私からお答えいたします。25年度の決算剰余金を含めて、財政調整基金は310億円ほどございます。この中から、財源としてそれを使って支払うということでございます。
【記者】東京MXの鹿島と申します。その当時ですね、応訴することと、日大の撤退にあたる交渉をされたのは琴尾副区長だと思いますけれども、こういった結果を受けて、どのように当時の状況と比較して考えていらっしゃるか。
【副区長】それでは、私からお答えします。先ほど区長が申し上げたことと重なりますが、もう少し当時の状況を含めて申し上げますと、まずは平成3年に日大が病院運営を区と協定を結んでしていただくことになった時はですね、この50億円というのは、当時の医師会の債務を処理するために使うということでお互いに合意したものでした。ですから、いわゆる普通の賃貸借の契約金よりは、すごく高額な金額でした。それで、区としても少なくとも30年、それで基本的には契約は更新ということで永続的に運営をいただくということで、信頼関係のもとに、ご支援を申し上げて運営をお願いしてきました。ところが、今のお話にございましたが、実は平成21年当時ですけれども、日大の病院の赤字がかさむということで、様々な支援要請がございまして、区としても地域医療を守る観点から、様々な支援策を協議の上、まとめてまいりましたけれど、その過程で突然、民法の規定が20年だということで、撤退というお話がありまして。その間も、その後も1年以上ですね、協議をして何とか続けられないかということでしたが、結果的に撤退という意思は変わらず、区としてはやむを得ず、次の病院の経営主体を探さなければならないという事態になりました。その時に私どもとしてやっぱり一番何を大事にしなければいけないということは、やはり、地域医療の断絶、これがあってはならないということで、やむを得ず、次の後継主体を探してですね、選定して、引き継いでもらったわけです。その結果が、お互いにある意味合意の上で病院の運営を終了したということで、契約終了したということで、裁判上では判断されましたが、当時としてみると、私どもといたしましては、お互いの信頼関係のもとにやってきたことが、突然、ある意味裏切られたというところがございまして、これについてはその時点で、保証金をそのままお返しするわけにはいかないだろうという判断がございました。そして、区長からもお話申し上げましたが、当時、弁護士等とも相談しまして、争いの余地があるということでですね、提訴を受け入れて応訴してきたというところでございます。結果として、こういう結果になったことは大変申し訳ないと思っておりますが、当時の事情としては、私どもとしては、やむを得ない判断だったという風に思っているところでございます。
【記者】それで補足なんですけれども、裏切られたというお話もありましたけれども、日大のですね、考え方の変化というのは、かつてと、急にそういう撤退という話が出てきた時とですね、どういう風に、なぜこういう風に変化してしまったかと、お考えですか。
【副区長】よろしいですか。その辺りは、私どもとしても、なかなか、日大さんの本当のところは分かりません。当時も、病院の方々は何とか続けようというお考えもございましたし、一生懸命、区民の医療の充実に協力していただいたということもございますので、その辺りは、区として申し上げるべきことではございませんが。いずれにしても、21年間ではありますけれども、地域医療の充実に御尽力いただいたことには感謝しておりますし、区長が申し上げましたように、今後は、日大板橋病院との連携ということも、地域医療の充実には必要なことでございます。なおかつ、江古田には芸術学部もございますので、今後、日大との良好な連携関係をさらに築いていきたいと考えているところでございます。
【記者】毎日新聞社の近藤です。財調の残高のことなんですけれども、副区長も直近で310億円と、これは私も理解しているんですけれども。まだ上程されていないわけですが、補正予算でおそらく増額になると考えていますが、仮に補正予算案がですね、そのまま可決されますと、この50億円を含めないでですけれども、財調の残高というのは、いくらになりますでしょうか。
【副区長】よろしいでしょうか。実はこの財政調整基金、当初予算等でいわゆる一般財源のたらずまいを補てんする意味で、繰り入れの予算を組んでおりますけれども、そういったものも含めて、26年度末の現在高、今回のこれから提案する補正予算が通った場合には、財政調整基金としては、240億円の残高があるということになります。
【記者】産経新聞の牛田と申します。よろしくお願いします。一点お伺いしたいのですが、今回のこの問題というのは、50億円を日大は貸したものだと思っていて、区はもらったものだと思っていたというところから、齟齬が生じているかと思うのですが、結局これは借りたものだったのでしょうか、それとももらったものだったのでしょうか。
【区長】技術的なこともありますが、これはいうまでもなく保証金ですから、貸す借りるという問題ではなくて、保証金として差し入れたということです。ですから当然返還すべき性質である。ただし、当然ながら日大も区の当局も、私の理解するところではどちらも同じ認識をしていた。先ほど申し上げましたけれども、これは事実上、無期限無利息であってですね、特段の事情がなければ更新されるべきものである、契約自体は。だから保証金の返済期限は当分来ないと思っていた。区が一方的に思っていたのではなくて、日大もそう思っていた。それは裁判所も認定しているわけですよね、事実上、判決の中で。そこをぜひ誤解のないようにお願いします。
【記者】今、返還すべき性質のものであったという区長のお答えがあったのですが、そうしますと判決文の6ページの上から6行目に、区が保証金を返還する意思を有していたものとはいえないと事実認定されているのですが、ここのところはどうお考えでしょうか。
【区長室長】申し訳ありません。もう一度みなさんにもページを教えていただけますか。
【記者】申し訳ありません。判決文の6ページの6行目です。今区長のお言葉では返還すべき性質のものということですけれども、判決では、被告が原告主張の期間満了時に本件保証金を返還する意思を有していたものとはいえない。と東京地裁で事実認定されているのですが、その差というのはどういうことでしょうか。
【地域医療担当部長】それでは私の方からお答えいたします。まずこれは被告の主張でございまして、裁判所の方で主張をまとめたものでございますけれども、要は一番上の方から読んでいただきますと、本件保証金は、平成3年4月1日から少なくとも30年経過後、期間満了時に原告に返還されるべきものとして非流動負債。要するにですね、日大が撤退する前は、30年後には返すべきものとして、非流動負債として、記載しておりました。しかし、平成24年3月31日ということで、原告が主張しているわけでございますけれども、原告が途中で撤退してしまった。そういったことから言うと、これはですね、我々としては30年後に返すべきもの、ただ途中で撤退したということによって訴訟にもなったということから、いわゆる流動負債としての預り金ではなくて、これは期間終了時、満了時には、財務書類からは、いわゆる偶発債務という形での処理をさせていただきまして、判決が出た後に支払うべきものという位置づけに変えたといったようなことでございます。
【副区長】補足させていただいてよろしいでしょうか。6ページのところの6行目のところをよく、もう一度読んでいただきたいんですけれども、この5行目の後ろからですね。被告、これは区ですよね。区が、原告である日大が主張する期間満了時、これは平成24年3月31日。区としては日大が主張する平成24年3月31日にこの保証金を返還する意思を有していたものとは言えないと。こういうことでございます。これについては先ほど、部長からも申し上げましたが、この4ページからは被告の主張を整理したものですので、被告としてこういう主張をしたということを裁判所が整理したものでございます。
【記者】分かっております。区も主張したけれども裁判の判決は原告の主張を全面的に受け入れたということですね。区の主張は認められなかったということですね。理解いたしました。それから、返還すべき性質のものであるということを前提にちょっと教えてください。それならば50億円が差し入れられた時に、区の財務上の歳出歳入を見た中で、ここに50億円があるという形にすれば、日大から見て、ここに50億円があるということで、不安になることはなかったと思うのですけれども、その辺りの会計処理については、どのようにお考えでしょうか。
【地域医療担当部長】当時、平成3年でございますが、第一回定例会におきまして日大の債務処理等を含めてですね、現光が丘病院の建物を、いわゆる医師会から区が買い取るといった金額、これを補正計上してございますけれども、その原資としてその当時充てたのが、日大の保証金50億円、この50億円のうち、建物45億円プラス当時の消費税3パーセント、46億3千5百万円、残りの部分については、いわゆる医師会に対する債務処理としての補助金ということで、明確に議会の方に予算案を提出いたしまして、議会の議決を経たうえで、きちっとやっております。
【記者】分かりました。では、その50億円が財務上に出てきたのが、平成20年だったというのは、どうとらえたらいいでしょうか。
【地域医療担当部長】もともとですね、要するに公会計については、単式簿記といったことで、いわゆる民間の複式簿記とは違います。そういったことから、決算上の処理というのは法で決められておりますけれども、いわゆる財務書類等の話が出てまいりましたのは、もともと公会計を、一般の民間会計に従ったような内容でもっと分かりやすくしようというものでございます。この話がもともとあったのは平成12年頃から、決算統計という、そういった書類をもとに作ってきたわけでございますが、現在のように国の方の基準でもってやりはじめたというのが、平成20年頃からでございますので、その頃からの位置づけということでございます。
【記者】一般的な会計処理の話は分かるのですけれども、練馬区が50億円を受け入れた後にどう会計処理をしたかということについてお尋ね申し上げます。練馬区の会計規則によると保証金というのは、きちんと雑部金の中に、ここに置くという規則があるのに、なぜそこに入れてそこから支出する形にしないで、直接一般財源に入れたのでしょうか。
【地域医療担当部長】いわゆるこの保証金につきましては、単なる敷金ではない、要するにいわゆる日大の方からも、医師会の債務処理に充てても構わないという、そういう話でございました。そうなりますと、歳計外現金という話になりますと、このお金は要するにそういった形では使えないわけでございます。そういったことから、一般会計に歳入として入れまして、それを支出したということで、このことにつきましては、債務の担保として徴収するものを、その性格に即して歳入として取り扱うことができるという行政実例等もございますので、そういった内容に従ったものでございます。
【記者】その行政実例というのは、どこかの公営住宅の敷金の一件の小さなお話だと思うのですけれども、このような50億円の病院が、日本初の大学病院が撤退するかしないかというものとそぐわないと思うのですが、他に行政実例があるのでしょうか。
【地域医療担当部長】その他の行政実例については、ちょっと未知でございますけれども、もともとこの保証金そのものが、いわゆる単なる敷金ではない、それは日大の方も認めております。いわゆる病院運営を保証するものと含めて、それから話の中では、医師会側のですね、債務処理を行っても構わない、そういう話でございます。それは合意のもとでございますので、単なる敷金とかそういったものではない、そういった話は最初からあったということです。
【記者】単なる敷金ではないというのは、すごく分かりにくかった。練馬区と日大とのすれ違いの部分だったところなんですけれども、区長にお尋ねいたします。公金というのは1円たりとも曖昧なものはないと、他の区の区長さんたちも、この件についてはすごく不思議に見ているようなんですけれども。平成3年から、ずっと20年、撤退へという流れの中で、どういう性格のものか分からない財務処理ということについて、それが撤退する結果を招いてしまって、さらにそれが東京地裁によってどちらが勝ちでどちらが負けかという全面敗訴を招いたという、曖昧な財務処理ということについては元公務員としてどのようにお受け取りになりますでしょうか。
【区長】現在でも公務員ですが。おっしゃる意味が分からないのですが、財務処理がおかしいから日大が撤退したというのは、どういうことでしょうか。私はこれは、公金というのは1円たりともゆるがせにしてはいけないというのは、当然であると思います。従って、先ほどから部長が縷々説明しておりますように、これは一般的な敷金ではなくて、日大の側も、これについては医師会の債務費消で使うことについては合意していた。それを前提に歳入したわけですから、しかもそれを前提にした会計処理についてはきちんと適正に行われていると私は考えております。
【記者】長いこと50億円という隠れ借金があるということが、平成3年からずっと言われていて、これは都議会の議事録にもやりとりが載っている中で、平成20年に区が財務上に載せてきたと、ただずっと日大側から見て50億円というのが、どこにキャッシュがあるのか分からないという状態があって、一般財源に繰り入れてそこから出ていったので、お金には色がついていないから、そのお金はどこにあるか分からないということが、ずっと日大の理事たち幹部が首をかしげていたんですけれども、このような財務処理のあり方というのが自治体でありうるのでしょうか。
【区長】おっしゃっている意味が、なお分かりませんが、日大がそれを理由にしているんですか。自分のお金がどこにあるか分からない。そんなことあるわけないじゃないですか。そういうことを気にする人たちだったら変な言い方だけれども、そもそも、こういう撤退はしないと思いますね。それはちょっと議論が違うと思いますよ。
【記者】区長に就任して、この経過の説明を受けたときに、公務員としては、こういうやり方があるとお考えになったということでしょうか。
【区長】私は、今の現在の区長の責任において、今回、控訴しないという決断をいたしました。当時の応訴について、どう思うかについては、先ほど申し上げましたが、絶対的な正しさを前提にすればですね、それはもうちょっときちんとやればよかったという議論もあり得るでしょうけれども、それは結果論であって、私は、全体としては、当時の日大側の対応が、もしくは突然撤退したこと、区が多額の援助をしてきたこと、または、法上争う余地があったことを考えれば、総合的にはやむを得なかったと思います。ですから、公務員として考えて不適正な処理があったとは、毛頭思っておりません。
【記者】今後、同じような場面があった時も、同じように処理するということでよろしいですか。
【区長】大変失礼ながら、意味不明な質問をされても私は答えようがないのでありまして。公金については絶対に問題がないように処理をしていこうと考えております。
【記者】当時の区長から、また新しい区長になって、その新しい区長がお亡くなりになられて、当時の担当部長がもう区の外に出られて、責任者が不在の状況で、こうやって伺うのはちょっと残念なんですけれども、ただ新山部長が当時課長としていらして、部長に昇進された訳ですけれども、今回の一連の問題を50億円を区民が負担しなければならなくなった。プラスの金額も損害金もあるという状況を、どのように責任をとるおつもりでしょうか。
【区長】責任、責任とおっしゃるけれども、先ほど冒頭で、毎日新聞の記者さんがおっしゃったように、これは個人としての責任ではなくて、私は組織としての責任だと思っています。応訴したことについては、当時の責任者である前任の区長が決断をし、それについて組織として判断して従っていったと。当時、その判断に著しい不正、不適法、あるいは不当性があったならば別ですが、そうでない限りは、組織としてきちんと対応した訳でありますから、私は、個人としての責任を追及する気はありません。
【記者】区民には、この60億円近くの支出を受け入れてほしいという先ほどの言葉は。
【区長】あなたのおっしゃっていることは矛盾しませんか。このうち50億円は返すんですよ。どっちみちいずれかは返さないといけない。争いがあったのはいつ返すかだけであって、そこはぜひ、間違いないように報道していただきたいんですが。急に新たな50数億円の債務がふって湧いたわけではなくて、私どもがお詫びしているのは遅延損害金の部分についてであって、50億円はどっちみち返さなければいけない。それは当時の区も日大も同じように認識をしていたんです。ただ、結果として遅延損害金が発生したことについては、区民に対して、私は申し訳ないと思っています。
【記者】今日の区議会の医療特別委員会でも出ていたんですけれども、当時区の幹部の方たちの委員に対する説明というのは、50億円は本来支払う必要はないものだということをおっしゃっていたと思います。それは、今日も議員の委員の人からもそう言っていたのではないかという質問が何回かあったことをこちらから申し上げておきます。私自身も当時取材をしていて、そのような説明を当時の副区長の職を離れていた方とか、皆さんから伺っていました。もらったものなのか、それとも借りたものなのか、本当はどうなんですか、というところは、今でも関心があるところです。内容は理解しました。
【副区長】申し訳ないんですけれども、先ほど部長がご説明申し上げた資料の中でも、今回の裁判の主な争点というのは、2ページの(2)にございますけれども、まずは、この保証金の返還義務の発生時期がどうなのかというのが争点で、そのうえで、これをすべて返すのかというところで、私どもとしては、信義則違反、そして債務不履行ということを主張してきたものでございます。結果として(2)、(3)は認められず、50億円についてもすべてお返しするということになったものでございます。当時、平成3年当時ですね。医師会立の病院が経営破綻したときに、債務を区がある意味肩代わりしなければならない状況がございました。その50億円をどうやって捻出するかというところで、日大との合意のうえで、日大から預かった保証金を当時使ったということでございます。ですから契約が満了すれば、区としては、当然返すべきものという認識があったことは間違いございません。ただ今回こういう形で応訴したことについては、契約の期間満了、私どもとしては、契約期間満了前に突然撤退したことに伴う損害、信義則違反があるだろうということで、お返しすることはできないという主張をしてきたところでございます。
【記者】平成3年当時、財政調整基金はどのぐらいあったのでしょうか。財調の残高。
【副区長】よろしいでしょうか。平成3年当時の財政調整基金は、64億円でした。ですからこの64億円をもし、この病院の債務処理に充てたとすると財政調整基金がほとんど底をついてしまうということで、区の財政運営上、支障をきたすような事態であったということでございます。
【記者】地元、練馬新聞の斉藤です。今回は結局、結論から全体を見ますと、当時のトップであった、志村区長のミスリードと、やはり読みが甘かったんじゃないかという感じが区民としてはいたします。従いまして、現在の前川区長には全然責任はないわけでございますけれども、これからの責任の果たし方としては、専門委員会でも大分ありましたけれども説明責任と結果責任について、どう対応していくかということが、前川区長に問われていると思うんですね。説明責任については、区報とか議会を通して説明していくわけでございますけれども、結果責任について、一言申し上げておきたいと思います。やはり、ずっと志村区長のリードのもとでやっぱり、あがってきたのは、代理人の弁護士だと思うんですよ。このお二人。お二人さん、野口さんと石川さんという方がおりますけれども、僕はこの二人の読みが甘かったんじゃないかという見方をしているんですよ。専門家としてこういう結論になるのは読めると思うんですよ。亡くなった方には訴訟できないわけなので、損害賠償は発生しませんけれども、やっぱりこの弁護士2人に対する検証というか、必要が僕はあると思うんですよ。こういうミスリードと言いますか、ミスリードに対する読みが甘い、甘かった。区長のリードは必ず負けますよと、従いまして、将来必ず負けの判決が出ますよというサジェッションがなぜできなかったかという反省、やっぱり弁護士に対する責任をちょっと問題にしてもいいのではないかと思って、今日は全体の印象を聞いておりました。弁護士に対するチェックについて、区長はどう思っておりますでしょうか?
【区長】私は、今回の庁内の委員会を運営する過程の中で、2人の弁護士さんも来てもらってご意見を聞きました。今斉藤さんもおっしゃったこともえん曲だけれども、聞いてはおります。彼らが言うには、争う余地は十分にあったと判断しているとのことであります。それがあったのか、なかったのか、私は法律の専門家ではありませんから、客観的な判断はできないわけですけれども。彼らは彼らでちゃんと職務を果たしたのかなと思います。私は自分の責任としては、今回の判決に対して、できるだけ速やかにですね、区民の損害を最少にして、結論を出すことが、私の責任であると、それが第一です。当然先ほど、申し上げたように、午前中の委員会で部長たちが答弁したように新しいビジョンの中で、頑張って病院の誘致、それから、建設等努力をしますけれども、それは第二であって、第一は今申し上げたとおりのことだと思っています。そういう意味で、今回は速やかに対応しようと思って、こういう判断をして今回に至ったとそう考えております。
【記者】都政新報の小南と申します。よろしくお願いします。あの当初区が想定していた50億円の返済時期なんですけれども、30年間の契約が終わったあと、日大がもし、撤退すると言い出した時に、返還する予定だったのでしょうか。それとも30年間経過したら、日大がそれ以上運営を続ける予定でも返済はする予定だったのでしょうか。そこのところをお願いします。
【地域医療担当部長】基本協定書および公有財産貸付契約書、この文面上だけでみれば、30年間満了、そこで撤退という話であれば、明らかにそこでお返しするということになります。ただし、継続も可という、契約の更改が引き続きできるという規定がございます。そうなった時に、基本的には保証金も付随していくものだろうと考えておりました。ただその保証金について、また、どういうふうに扱うかというのは、それはまた協議だと思います。ただ残念ながらそこまで至らなかったということです。
【記者】産経新聞の牛田です。新山部長のお答えの関連で伺います。30年間満了したら、返すものだと。ただ病院運営を続ける限りは保証金も付随するものだと。その答えを日大に返したときに、日大側が病院運営を続ける限りは、永遠に保証金は返ってこないんだと思ったことから、撤退だとなった。そこの流れについては、今振り返ってどのようにお感じでしょうか。
【地域医療担当部長】今のお話はないと思います。私どもが光が丘病院ですとか、医学部さんと話をしている過程の中では、それについては、また、協議をするんだという風にお答えしておりましたし、それから、光が丘病院さんとか、日大の医学部の事務局ともですね、以前から50億円の扱いについては、協議をやってきたところでございます。ただその過程の中で、先ほど申し上げましたように、今の契約の文面上からは、直ちにお返しするとか、そういうことはできませんよ、ということと、当然契約が引き続いていけば、この保証金も付随していくものだけれども、ただそれについては、契約書の中にございますように、疑義が生じた場合、協議するとか、そういったことがございますから、その中で当然ですね、契約を更改する際には、その保証金の問題というのは、改めて議題になったという風に考えております。
【記者】分かりました。当時50億円を支払うという形をとっていれば、大学病院が撤退するということにならなかったということについては、今の結果についてはどうお考えですか。結果支払うという前提になったということで申し訳ないんですけれども、お聞かせください。
【地域医療担当部長】まず、その50億円がですね、区の方がそれに応じなかったことがもとで撤退することになったということは、ないと思います。なぜならば、この保証金の扱いについては、日大さんの方から、平成21年9月に支援要請があった際に、この保証金50億円を担保にして、毎年5億円ずつ無利息で貸します。担保ということですから、もし、お返しいただけないということであれば、変な話10年たてば50億円、自然とお返しするという形になるわけです。しかも利息はない。そういったことから、なかなか契約上の文面だけではですね、それまでにお返ししますといったことはなかなか言えませんけれども、具体的な提案としては、保証金を返還する余地を残しながら、協議というか支援の話を差し上げてきたということでございます。ですから50億円を返さなかったことが撤退の理由ということはありえないと思います。
【記者】その区の真意というのは、医学部とか事務局だけではなくて、理事会にも届いていたとお感じでしょうか。交渉した立場として、いかがでしょうか。
【地域医療担当部長】私どもは実際にですね、平成22年2月10日に、医学部ではなくて、日本大学のいわゆる、本部の総務部長さん以下がお見えになった時には、昨年の、当時22年の2月から振り返れば、21年の11月の理事会で撤退することを決めていたと、決めたというお話でございました。そういうことでですね、私どもが直接、日本大学の本部とそれまで交渉というのはありませんでしたけれども、当然、交渉していただいていた医学部の事務局ですとか、あるいは光が丘病院については、これは日本大学の意向を受けて、私どもは交渉、協議を続けてきたものという風に、考えております。
【司会】それではこれをもちまして会見を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
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