平成28年 第二回定例会
ページ番号:527-653-885
更新日:2016年6月8日
動画の概要 前川区長記者会見 平成28年第二回定例会
日時
平成28年6月8日(木曜) 午後3時~午後3時50分
区長発言
それでは私の方から最初にざっと所信に沿って考え方を説明します。ざっとお話しをします。まず区政改革であります。私は、申し上げるまでもありませんが、32年間一人の市民としてずっと暮らしてきました。練馬区を転出するかという話しをしたこともあったんですけれどもどうしても出れなかったと。なぜかと言うと、魅力があって環境が大変いいと。立地もいい。そういう魅力に惹かれて、ずっと感謝しながら暮らしてきたんです。ただ正直言って、区政に満足していたかというと、一市民としては無責任な面も含めて多々あって、もう少し先進的にできないのかなと、もっと開かれた区政に出来ないのかなとずっと考えてきました。私はたまたま機会を頂いて区長になったわけですが、そこが私の出発点でありますから、ひとりの市民として感じてきた疑問に応えること、ここを外す気はありません。市民感覚で行政を見直して、サービスを向上させることが改革の目的であります。
練馬区というのは、ご存知のとおり二つの大きな困難があります。一つは超超高齢社会がどんどん進んでいくと。行政需要が膨大になっていくわけです。子育て支援のニーズもどんどん増大していくと。それはほかの22区と共通であります。それに加えて練馬区はさらに大きな負担を抱えているのは、これまでいろんな事情で、都市計画道路が、特に西部地域が都市計画道路が圧倒的に少ない。鉄道空白地域もあると。これを解決しなければ練馬区の発展、区民生活の安定はありませんから、この二つを並行して進めなければいけない、これが大変な課題であります。今回の区政改革計画もこれを出発点にしています。市民感覚で見直すことと、練馬区が直面する二つの大きな課題にきちんと応えること。そのために、当然ながら、目的は市民感覚で行政を見直しサービスを向上させることであります。あとは見ていただければわかりますが、昨年6月に区政改革推進会議を設置して12回開催しました。途中で「練馬区のこれからを考える」区政改革に向けた資料データ集を公表して大変ご好評をいただきました。例えば保育所の問題、こども医療費の無料化の問題、みどりの問題、いろんな問題についてデータを区民の皆様に明らかにして、そこで議論を進めてきました。そしてこの3月に推進会議から提言を受けて、5月に区政改革計画の素案を策定したのであります。これから区民の皆様と話し合いを重ねながら、議会とも相談をして10月に成案にしていく予定であります。今月から、説明会を8回開催し、区民の皆様のご意見を伺います。未来を語る会はそのうち4回やりますが、これについては私自身が出席をして意見交換する予定であります。
つぎを見ていただくと、区政改革計画は、資料をご覧になれば分かるのですが、大きく3つの方策に分けました。方策の1、私がそもそも区長になったのは、先ほどお話ししたように、市民感覚で行政を見直したいというのが大きな動機であります。区民参加と協働は私にとって原点であり、また目標でもあります。そのために「区民参加と協働の区政」を大きな柱の一つにしました。それを元にして、練馬のみどりを守り育てたり、あるいは福祉を充実したり区民参加を充実していこうというのが私の出発点であります。都市文化、それから来年の区独立70周年も同じ形でやろうと思っています。つぎに方策の2。区民サービスの向上と持続可能性の両立をしなくてはいけない。これは大変なんですね。これから財政的には厳しい時代を迎えますから、その中で子育ての支援をやらなくてはいけない。高齢者の福祉も充実しなければいけない。障害者の方についてもこれまで以上に私は充実したいと思っています。地域医療もある。いろんな形の問題がありますが、これをただ目先の人気取りをやるつもりはありません。うけることだけやるのは簡単ですけれども、そうではなく長い目で見て区民サービスが向上して、持続可能な形でやっていこうと思っています。そのために方策の3、区役所の総力をあげて財政基盤を確立し、組織風土を変革し、外郭団体も抜本的に見直していこうと、そう考えています。
つぎに、この間いろんなことをやってきたので参考までに現在の体系をお示ししておきます。去年3月に策定した「みどりの風吹くまちビジョン」、ここが出発点です。私が区長になって1年間検討した成果をまとめたものです。ここでは大きな政策の体系と方向を示しています。これに基づいて実行計画のアクションプランを平成27年6月に策定した。今回の区政改革計画は、このビジョンに掲げた政策をどうやって実現するのか、例えば区の直営でやるのか民間委託でやるのか、そういったことも含めて、あるいはどういう体制でやるのか、そしてまた、それに絡む範囲で政策内容の見直しも一部やっています。例えば、保育であったり、みどりだったりとかは、かなり見直しを進めております。そういう意味では、区政改革計画とビジョンと合わせて、アクションプランもそうですが、合わせて一体をなすものとお考えいただければと思います。時期のアクションプラン、来年度策定予定ですが、財政計画も、公共施設等管理計画、人事戦略、情報化基本計画、こういったものを28年度中に策定して、具体的に実施していく。そういう手はずにしていきたいと思います。当面の大きな問題を若干お話しします。
待機児童対策であります。これは記者会見をしてお話しをしましたのでご存知だと思います。私は区長就任以来、子育て支援を戦略計画のトップに掲げています。保育所待機児童対策に積極的に取り組んできました。都内最大の定員増3年間で2657人、これは日本一だろうと思っています。それから、単に数を増やすだけではなくて、区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」も開設をして、926人の定員枠をつくった。これにより3歳以上の待機児童はほぼ解消しました。5年間で4600人増やしたんですけれども、全国でも例のない積極的な取り組みにもかかわらず、待機児童が出てしまった。そこで来年に待機児童をゼロにするというお約束を守るために、新たに「待機児童ゼロ作戦」を今展開しているわけであります。概要はつぎの資料を見ていただければと思います。550人の新規整備が既定路線だったわけですが、さらに450人加えて1000人にするということであります。うち0~2歳児が800人、3歳児以上が200人です。中身は新規整備で700人、既存施設の定員枠の拡大で200人、加えて「1歳児1年保育」というのを導入しました。つぎのページを見ていただくと「1歳児1年保育」の概念を示してあります。保育所等の利用ができるまでの暫定的な受け皿を用意しています。4月から翌年3月まで利用して、その後ほかの施設へ移ることを前提としています。区立施設については、転用可能な専用室を使い、私立保育園については、一時預かり専用室と同じスペースを使います。それによって、待機児童ゼロに向けた取組について、私は議会でも何度もお話しを今回したのですが、そもそも基礎的自治体が保育所の待機児童数の減を、全部自治体の責任でやらされているのは、根本的におかしいと私は思っています。本来であれば国が体系的にやらなければいけない。ところが待機児童の捉え方そのものでさえも、国が場当たり的に対応してきた。つい最近までは、認可外の保育施設は定数にいれていなかったわけであります。認可外保育施設の保育室とか家庭福祉員とかは、それこそ40数年前の美濃部都政の時代に23区と都が共同して始めた取組であります。これは国が頑強に反対していた、当時は憲法89条違反だという議論まで国はしていました。それを押し切って23区と東京都が頑張ってつくってきたのが、認可外保育施設であります。
それに対して今になって今度は認可保育所だけが保育施設だと言い募る人たちがいます。真におかしいと私は思っています。古い国の体質と同じことを平気で言うというのはいったいなぜなのか。認可外保育施設というのは、大都市の保育需要、多様な保育需要に対応するために、23区と都が工夫を凝らして国と戦ってつくってきたものです。そういう歴史を全く忘れているというのはいかがなものだと思っております。待機児童対策というのは、本来は幼保一元化をまずやらなければいけない。幼稚園が頑強に幼保一元化に反対をする。いろんな理由がありますが、それが根本的におかしいわけで、保育施設だけではなくて、幼稚園を積極的に活用した対策をやれば大きく待機児童は減ります。それをやらせようとしないわけであります。そして根本的に保育行政だけではなくて、育児休業などの労働政策や児童手当などを含めた総合的な施策に取り組んで、保護者がサービスを選択できるようにすべきだと私は思っております。そうは言っても、そう言っているだけでは何も進みませんから、現に目の前に待機児童がいるわけですから、国に抜本的な取組を求めるんですけれども、平行して目前の待機児童解消に最大限努力しているというのが、現在の私どもであります。これを体系的にもう一度まとめますと、「みどりの風吹くまちビジョン」でも言っておりますが、多様なライフスタイル、働き方、子育ての希望に対応できるように、全ての子どもを視野に入れた総合的な子育て支援策を充実していくと。そして平成29年4月に待機児童ゼロを達成し、国に抜本的な取組を求めていく。私はサービスを選択できる社会をつくることが根本だと思っています。保育所に入れざるを得ないというのもおかしいし、保育所に入れないというのもおかしい。選択できる十分な環境をつくるのが国の役割であり、また国の財政負担の下に、我々がやるべきことをやるとそう思っています。
つぎに高齢者施策の充実であります。練馬区はご存じのとおり23区の中で一番特別養護老人ホームが多い区であります。それでもまだまだ足りないわけでありまして、国有地を活用した特別養護老人ホームを、上石神井でありますが、文部科学省の宿舎の跡地につくる予定であります。平成30年度開設、定員40人、プラスショートステイを4人考えています。こういったことと含めて、新たに介護予防事業「はつらつシニアクラブ」を開始いたします。高齢者の皆さん、どうしても家に引きこもりがちになる。それを地域の身近な地区区民館などで体力測定会をやって、そこに来てもらって、専門家からアドバイスをしてもらうのと同時に、いろんな地域団体、ボランティア団体など様々な団体がありますが、あるいは文化団体だったり、スポーツ団体だったり、それとつないでいくと。そして介護予防につなげていきたいというのが根本的な発想であります。そしてまた「街かどケアカフェ」を開設しました。谷原出張所内です。これは専門スタッフが、健康相談、介護予防体操などサービスを提供して、地域団体が、認知症カフェなどいろんなことをやっていくんですけれども、私は開設早々に行って、皆さんと意見交換して大変感動いたしました。私は若い頃、ヨーロッパに滞在して、いろんな国の社会福祉サービス、教育サービスを調べて、本も書いたこともあります。そのときつくづく思ったのは、例えばイギリスなど、市民運動はまず自分たちがやるんです。日本のように認可保育所をたくさん作っていたのは、当時は社会主義国、あと北欧3国スウェーデン・ノルウェー・フィンランドほとんどそれだけでありました。あとはアメリカもヨーロッパのその他の国は、認可保育所というのはほとんどなくて、大半はベビーシッターなり保育ママなりがやっていました。イギリスでのそういった姿を目の当たりにして、お母さんたちが何百万人も集まって組織をつくって、自分たちで子供を預かる運動をやっていると、大変感動しました。私は別にイギリスのまねをしろと言っているわけではありません。
日本は日本のいいところがあって、それはそれでいいんだけれども、何もかも全て行政にまとめるのが市民運動だという感覚がまだあるのがちょっと変だなと思っていましたから、今回この「街かどケアカフェこぶし」のオープンに行って、いろんな団体の方と意見交換して大変感動したのは、このケアカフェを拠点にして、自分たちがいろいろ活動したいと。しかも単に対象サービスだけではなくて、地域団体相互の連携とか人材育成の拠点としたいとか、あるいはここを拠点にサテライトのように展開したいとか、こういったことを本当に熱心に語っていらっしゃって。やっと日本もここまで来たのかなとそういう感慨を持ちました。こうした協働の芽を大きく伸ばしていきたい、その拠点にしていきたいと私は思っています。
つぎに都市基盤の整備に触れます。まず都市計画道路の整備であります。みなさんよくご存知でありますが、練馬区は都市計画道路の整備が著しく遅れています。特に西部地域は全体の計画に対して約3割しかできていない。区全体でも約5割であります。23区平均では約65%であります。残念ながら、都市計画道路の整備は、本来だったら関東大震災、第二次大戦後、大きく整備する、ネットワークをつくるチャンスがあったのが、いろんな事情で、あるいはそれに非常に消極的な勢力があって、なかなかできなかった。そのために都内の道路整備が著しく遅れます。やっと最近少し追いついてきましたが、それでも練馬区は、まだまだその都内全体よりもはるかに遅れております。道路の安全な歩行空間の確保、あるいは豊かなみどりをつくる。そういった機能がなければ、安定した区民生活はありえないのであります。それをぜひ区民の皆様に理解していただかないといけないと私は思っています。昨年度末、今年の3月ですが、都と共同で「東京における都市計画道路の整備方針」いわゆる「第四次事業化計画」を策定しました。私はこの共同の事業化計画に基づいて、このチャンスにまちづくりの理想をもって都市計画道路の整備に積極的に取り組んでいこうと思っております。豊かなみどりを楽しめる歩道とか、自転車の走行空間、電線の地中化などをやりながら、地域のニーズに沿った道路整備に取り組んでまいります。地図は後でご覧いただければと思います。それに関連して、大泉第二中学校と補助135号線と補助232号線の問題に触れておきたいと思います。私はいろんなご意見の方が地域にいらっしゃる中で、いろんな場所を見に行きました。外環の2を整備する場所も見に行ったし、当然ながら関越高架下も行ったし、それから当然大泉第二中も見に行ったのですが、いろんなところを見た中で、私が一番違和感を持ったのがここであります。例えば例をだすとあれですが、関越高架下などは何の疑問もない、反対する理由がいまだに分からないのですが、それは別として。大泉第二中に135号線と232号線でいわば十文字に校庭を分断すると。こういう道路整備の発想は根本的に間違っているんじゃないかと私は思いました。すぐに見直しの指示をしました。
そしてこの2年間、事務方が地道に地域に入っていろいろ検討してきて、そしてこの3月にこれを見直すための、ただ行政が一方的に押し付けるのではなくて、外部委員で構成する有識者委員会を設置して、先日発足したところであります。教育環境の保全と道路整備を両立させて、今のような規定計画のような道路計画は絶対やらないつもりであります。今後委員会の提言をもとにして具体的な整備計画素案をまとめていきたいと思っています。
それから都市基盤の整備でもう一つ、大江戸線であります。おかげさまで、大江戸線については、私が区長就任以来、最も力を入れて取り組んできた政策でありますが、先々月4月に、国の交通政策審議会の答申で、進めるべき6つのプロジェクトの1つに選ばれたわけであります。そしてまた都がすでに昨年7月に都の優先整備5路線の1つに位置付けております。これは手前味噌になりますが、都との実務的な協議が成果を挙げたものだと思っています。それがまた国を動かしたと思っております。今後は一日も早く事業着手をやりたいと思っていますが、まだこれからであります。ただ計画ができただけで、これからアセスメントもやらないといけない、都市計画もやらないといけない、課題は山積しているわけです。それをこれから地道に進めていって、特に区としては沿線のまちづくりと基金の積み増しを積極的に行っていく。今年度10億円積み増しをする予定で、合計26億円になるわけであります。これをさらに将来は増やしていきたいと思っております。
今とりあえずの課題をいくつかお話ししました。私は区政改革計画でもお話ししたように、常に念願としているのは、広く区民に開かれた区政の推進、私が一市民として感じてきた疑問を打ち消せるような区政にしていきたいと思っております。区民と区が問題意識を共有して、将来を見通してともに知恵を絞ることが基本であろうと思います。一番問題になるのは行政の縦割りですので、それを超えたいろんな工夫をしていきたいと思っているんです。後は読んでいただければわかりますが、今までも私は福祉からまちづくりまで全ての行政分野、若者から高齢者まで全ての世代、そして各産業分野にわたって、区内のあらゆる地域で積極的に話し合いをやってまいりました。中にはいろんな方がいますから、腹の立つことも始終あるわけですが、それは当然のことだと思って、今後ともやっていこうと思います。今後ともできるだけ多数の区民の皆様と、生活実感に基づいた率直な意見交換を行う。ただ未来を語る会方式だけではどうしても限界がありますので、これからは小集会をたくさんやって、時間をかけて個別にじっくり話し合う機会をできるだけ増やしていきたいと思います。そこにありますように「練馬ビッグバン」であるとかすでにやっております。それから公園の樹木、街路樹の剪定などについては、事前に区民にお知らせをして、ご意見を受けて実施する方式に転換をしております。これについては現に様々なご意見を伺いながらやっておりますけれども、今後こういった発想をさらに発展させていきたい。そしてこういった取組をさらに進めていくためには担当も必要でありますので、協働推進課を新たに設置いたしました。若い職員を中心にして頑張っていきたい、練馬ならではの自治をつくっていきたいと思います。
最後にこの区民参加と協働というのは、どうしても行政にいたものですから、どちらかと言うと生真面目に、区の政策課題について議論する場が中心だと思って、それはそれで間違いではないのですが、それだけでもないのかなと思うようになりました、区長になって。やっぱり一方で楽しみながら区政に参加して、区民としての一体感・達成感を得ていただくことも重要かなと思っております。よりどりみどり練馬のCM撮影は、この間の土曜日にやりましたが、これも引き続き充実していって練馬区のイメージアップを進めていくと。また練馬まつり、照姫まつりも充実をしますし、みどりの風練馬薪能をこの10月に開催いたします。日本でも最高のレベルであろうと思っておりますけれども、そういうものをやっていきたい。そして区独立70周年記念事業、これは来年ですけれども、広範な区民の皆様といっしょに盛り上げていきたい。できれば若い人たちが中心になって自由闊達にいろんなおまつりをする、そういう場にしていきたいと思っております。とりあえず私からは時間の関係で早口で話しましたが、概要は以上であります。よろしくお願いいたします。
質疑応答
【記者】都政新報の米原と申します。よろしくお願いします。区政改革計画の素案の中で、取組12、28ページのところで、施設のあり方の機能転換の例として、出張所の廃止、28年度末にというのがあるかと思うんですけれども、こちらただ番号カードの交付というのが前提になっているのかなという風に捉えたんですけども。
【区長】それは関係ないです。関係ないというか、もちろん結果的にはあるけれども。それと連動してやるわけでもなんでもありません。そもそも、地域の福祉というか、広い意味で区民との協働を進めたいというのが大方針であります。自主的な地域活動の拠点にして、それを根城にして、そこで地域の皆さんと連帯していきたい。それが目的です。
【記者】今回の全体的な位置づけとしては、ビジョンの実現に向けた取組ですとか体制の部分ということで。それでいきますと、タイミング的に盛り込まれなかった内容で、先々週に改正法が成立した児童福祉法の関連で、児童相談所の設置市に23区が含まれた件、あったかと思います。今の都の児童相談行政にかなり前川区長も基礎的な部分で、尽力されてきた部分だと思うんですけれども、区が児相設置市になるということに向けての、区長の受け止めと、今後どういう風に取り組まれるのかお聞かせください。
【区長】この問題は、私が区長になる前から、都と23区の区長会でやってきたわけです。この2年間、私は区長になったばかりだし、今までの経緯もあるから、あえて何も言わなかったんです。一番の問題は、困るなと思っているのは、区長さん方が、全員とは言いません、実務を知らないことであります。児相がどういうところか、現場がどうなっているのか、それをきちんと分析をしたうえで、こういう形でやるからできる、という検討を十分やって、それで移管しなくてはいけない。そこのところが、移管を受けるんだったら検討をやらないと、むしろ混乱を招くんではないか。例えば、子どもを一時保護するといっても、どうやってどこに、全区が一時保護所を持つのか、どこか限られたところが持つんだったら、どうやって入所の判断をして調整するのか。そもそも養護施設に子どもを入れるにしても、養護施設は何十もあるわけです。しかも、一つの区の中にはほとんどないわけであります。都外もあります。ただ、入れるとなったら、全部調整しなくてはいけない。23区が全部児相を持ったら、どうやって誰が調整するのかです。もし、そのために一部事務組合をつくるんだったら、都がやるのと同じじゃないですか。それよりももっとやりにくくなるだけの話しです。ただ、私はそれが駄目だと言っているわけではないです。場合によっては、練馬方式でやりたいと思っています。そういうことも含めて、実務的な協議が、検討が不十分だと、それが一番の問題だと思っています。人員とか財政の問題ももちろんあります。それ以前に、要するに問題ある子どもを見つけたと、それを処遇して相談して、いろいろな心理判定をやったり、いろいろな検査をやったり、場合によっては保護して、そして場合によっては措置しなくてはいけない。そして、将来は家庭復帰しないといけない。私は都に入って、ずっとやってきましたから、それは並大抵のことじゃないんです。今、区でやっている、子ども家庭支援センターとは違います。問題がある子を、家庭ごと全部面倒見なくてはいけない。場合によっては、警察と一緒にやらなくてはいけない。その辺りの実務の大変さというのは、容易なことじゃないと思います。23区に移管するのが駄目だというのじゃなくて、方法はありうると思うわけです。そこの実務的な検討を十分やって、都と合意してやらなければ、大混乱になると思います。
【記者】その検討が整えば、練馬区としても設置を考えなくはない、という受けとめでしょうか。
【区長】いや、私は、今のままで受けるのは反対ですけど、練馬区として、どういう児童相談行政をやっていったらいいか、場合によっては、区独自でもやろうと。ただこれは、私が頭の中で思っているだけです。これから検討しなくてはいけないので。別に、他の区の方針を鵜呑みにする気もないけど、都の方針をそのまま鵜呑みにする気もありません。そこはきちんと、今までの体験を踏まえて考えます。ただ、その辺りのところも、マスコミの皆さんにも十分伝えてもらいたいわけです。よくあるのは、区長さんの中には、そういう方もいますけど、地方分権の推進だからといって受け入れる、とんでもない話しだと僕は思っているわけです。例えば、保育所対象児童は、何十万といますよ、都内で言えば。対象児童そのものがです。だけど、この児童相談所の対象児童というのは、昔僕らが若い時には、養護施設に入る子どもたちは4,000人ちょっといました。今は3,000人ちょっとしかいない。たったそれだけしかいないんです。それが23区と多摩とに散らばっているわけです。それを、23区で全部分けて、本当に専門性が保てるのかどうか。そこのところを、ちゃんと報道してもらいたい。そうしないと、なんとなく保育所とか、福祉事務所と同じようなイメージで捉えられると、対象、数、レベルが違うんです。レベルが違うというのは、問題の複雑さ、家庭が壊れた子どもたちが基本だということを、ぜひ報道してもらいたい。そうでないとえらいことになります。保育園と同じようなつもりで、ただ移管すればいいってことになる。それを私は言っています。
【記者】日経新聞の亀です。2点、児童館の話しと大江戸線の話し、1点ずつ質問します。
この区政改革計画素案の17ページのところに「児童館の機能を見直します。」と、ここでねりっこクラブについても書いてあるのですが、他区の例とかを見ましても児童館の利用者としては、0歳、1歳、2歳の乳幼児の方とその保護者の方がよく、遊びの場だったり、交流の場ということで使っていることがあるので、どっちかっていうと中高生が児童館を使うことはないことはないけど、だんだん機能としては失われつつあるのかなっていう気がするのですが。児童館を既存の児童館から、例えば小学生の放課後に特化するとか、それより下の未就学児の方、保護者の方の交流の場として特化するのか、そういう転換みたいなことをここでおっしゃっているのかっていうことで、ちょっと確認させていただけたらと。
【区長】いや、これは逆です。私はずっと児童福祉が長いんだけど、昔はだいたい小学校の入学児童が主でした、実態としては。制度が違うけれどもそれが全てでした。ところが、だんだん子どもの遊び場とか行き場がなくなってきて、今お話しがあったように、乳幼児を母親が連れてきたり、あるいはまた、中学生、高校生の利用希望があったりと、実態は変わってきていますから、そういう形でむしろ広げた方がいいのかというのが、問題意識なんです。だから、逆に整理しようって気はありません。ただ、どこまでどうやってやったらいいのか、難しいわけです。ただ児童館に閉じ込めるとは言わないけど、囲っちゃえばいいとも本当は思わないわけです。できれば地域の中での遊びとかも組み合わせながらうまくできないのかと思っています。これはそういう意味では、逆に制限しようってことじゃなくて広げていきたいってことなんです。
【記者】すみません。大江戸線について。まちづくりのための基金を積み増した結果、今年度26億円ストックとしてあると思うのですが、今、区長は将来さらに増やすということをおっしゃいましたが、将来的には例えばいくらずつ積み増すのかとか、ストックとしてどのくらいを目指されているのか、お願いします。
【区長】これは、亀さんもよくご存知かと思います。鉄道というのは、すべて採算性が問題です。将来の利用を見ながら、初期投資と合わせて黒字転換する時点をはっきりと決めなくてはいけない。それが幸い東京は、多摩モノレールも含めて、いろんな新交通がありますけど、基本的に黒字になってきているんです。だから、私は悲観はしてないし、練馬区はもっと人口は増えるし、北の方に発展していきますから、大丈夫だと思うんです。その辺りの採算の確保、初期投資も含めた全面黒字転換とそれから単年度黒字転換、単黒です。この両方を見ながら、都と相談して、区は応分の協力をするとしたらいくら必要かということを固めていきたい。当面は基金を10億円積み増して、来年もやろうと思っています。それ以後は協議をふまえて決めていきたいと思っています。
【記者】来年も10億円というのはほぼ確定的という方針ですか。
【区長】私が決めるわけではなくて、予算で決めるから何とも言えないけど、一応私は考えています。
【記者】建設通信新聞の西山です。都市基盤整備でお伺いしたいのですが、第四次事業化計画があって、西武新宿線の鉄道の立体化の方も、社会資本総合整備計画に位置づけられたということで、対象の武蔵関駅と上石神井駅の今後のまちづくりについて、区長の今のお考えを聞かせていただければと思うのですが。
【区長】私も細部を知っているわけじゃないけど、上石神井駅付近については、東京都の社会資本総合整備計画の中に位置付けられて、都施行の連続立体交差事業の「準備中区間」となったわけであります。区は元来ずっとそういう形で考えてきて、昨年12月に区の都市計画マスタープランを発表しています。その中で、練馬区の都市構想のとりあえずの見取図を示しています。練馬区の中心核として練馬駅、地域拠点として光が丘と石神井公園、大泉学園に加えて、このマスタープランで初めて地域拠点という形で格上げしたんです。これから区内の大きなまちづくりの拠点としていきたい。そしてまた、これができるようになったのは、外環とか外環の2とか道路整備も進んで、これから進めていきますから、それと連動しながら、大きな拠点としてやっていきたい、まちづくりを進めていきたいと思っています。武蔵関駅についても、まちづくりの検討もやっぱり地域の方々と進めていますけれども、同じです。まちづくりはちゃんとやっていきたいと思います。
【記者】地元の練馬新聞の斉藤です。今回の基本計画、改革計画は、大変今までの3部作のビジョンの中で一番読みごたえのあった内容であったのではないかとみています。大変読みやすくてですね、分かりやすい。問題意識が全部書かれているという点で、一番すばらしい教科書じゃないかと思っています。しかしですね、やっぱり忙しい区民はですね、これは読まないですね、残念ながら全部は。自分の問題意識があるところだけしか読まない、おそらく。ですから、40ページに書いてあるように区長が前面に出ていって、語る会も根気強くやるしかないわけですけども。僕はもう一つ、これだけ立派なものができた。職員がおりますね、4,200人。その方々がこれを当事者意識を持ってですね、読み直すと。そういう作業が必要じゃないかと思っているんですよ。ですから、そういう意味での課外授業であるとか、職員に対する意識徹底の仕方っていうのはなんか、この素案の中の次のスケジュールの中に入っているんですか。それとも準備されているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
【区長】斉藤さんのところでも、どんどん報道していただくと助かるんです。それと合わせて、職員については、当然ながら、これをつくる過程自体が、私が何か上からつくったわけでもなんでもない。企画課だけでつくったわけでもない。全庁をあげて、職員をあげてつくったわけです。そういう過程でやっております。同時に、私は、これに限らないのだけれども、職員に問題意識を持たせるにはどうするか。それはOJTしかないわけです。オンザジョブトレーニングしかない。これをあらゆる機会を使って、例えば区政改革計画にあがっている保育所の問題で、いろいろ問題があるときは、必ず担当者も入れると。係長、担当の皆さんも入れて、その上で、議論していこうということでやっております。時々は叱ることもあるんですけど、そういう職場の現場の検討の中で、職員に広い視野を養ってもらって、問題意識を持ってもらって、実力をつけてもらう。大変迂遠のように見えますけど、私は基本的にはそれしかないと思っています。そのためには、もちろん研修でも使いますけれども、それを頑張っていくしかない。なかなか大変なんです。
【記者】区民にとって一番、区役所の変化というのは、接点で変化しているかどうかでわかるんですね。ですからその職員が、これをどうやって、こう自分の問題意識として持って行動していくか、それによってやっぱり、区民のですね、職員に対する尊敬度が違ってくると思うんですね。そうしますとねやっぱり、ああすばらしい職員で構成されてきているんだということでございますと、全然態度が違ってきますしね。やっぱり区政の、前川区長がやっている区政改革が大いに前進、かなりスピードアップするんじゃないかと見ております。ぜひ、接点での問題を大事にして、やっていただきたいなと思っております。
それから一つ、これはあまり関係ないんですけど、今年4月から3年目に入ったわけでございますけれども、区長のですね、所作を見ていますと、だいぶ昨年と行動が違ってきているのではないかという感じが、ちょっと印象があります。それはどういうことかと言いますと、区民に接するときのお辞儀の仕方とかですね、握手の仕方。全然この対応が違う。ですから今までの区長はどちらかというと、行政マンの長としてのですね、前川区長だったような感じがしますし。今年4月からはどうもなんか、政治家前川燿男、というものに近づいてきているんじゃないかと思いますんで。やはり3年目に入りましてね、あれですか、意識的に自分で政治家前川燿男になろうかという、意識の切り替えがあったんでしょうか。
【区長】斉藤さんにそうおっしゃっていただくと大変恐縮するようなことですが。私は、自分のことを言うのは恥ずかしいんですけど、だいぶ自分が変わってきたなという気がしているんです。というのは、やっぱり長い間、公務員をやってきて、組織あるいは会社でも、大きな組織の中で仕事をしてくると、見る視点が違うんです。組織の中をまず見てしまう。東京都にいたら、例えば自分の仕事だったら、知事はどう思っているか、都議会はどう思っているか、世論はどうかっていうのもあります。その中でどうやって自分の理想とすることをやっていこうかという工夫は、皆さん、新聞社の方も同じだと思うんです。区長になって一番変わったのは、いくら自分がいいことを考えても、区民の皆さんに支持してもらえなければ、何にもできないわけです。それは変わります、やっぱり。目の前にいる方々を軽視して、後で話しを聞こうとか、そんな機会は永久に来ないわけです。だから、現に目の前にいて、日々接触している区民の皆さんを大切にしたい。だから、いつもお話ししているように、区民の皆さんの投書を、全部目を通すようにしているのもそのためです。私の家に直接投書もあるんです。それをただ私が、全部直接取り上げてやったら、これはまた極めておかしなことになりますから、組織でやります。そういう意味で、やっぱり区民の声を大事にして。まさにここで言っているように、参加と協働というのは私の本音なんです。これは難しいです。難しいですけど、何とかやっていきたい。ただ区民の方にもいろいろいます。これ以上は言いません。
【記者】読売新聞の大原と申します。今回の議題とはちょっとずれるんですが、今、舛添知事が非常に都議会でも政治資金の問題で紛糾しています。前川区長としては、この問題を23区の区長としてどのように見ていらっしゃるか、ご意見をお聞かせいただけますか。
【区長】それは大変コメントが難しい。区長として言ったら、舛添さんを支持しても叱られるし、批判しても叱られるし、なかなか難しい。ただ、私は、今まで東京都にいて、いろんな知事さんを見てきました。個人的な感想だけを言うと、ちょっとセコイなという気がします、正直。ちょっとというか、私には分かりません、理解ができない。公と私を区別できないということは、そもそも分かりません。それは皆さんも同じじゃないですか。私も今、公用車を使わせてもらっている。あるいは、政治団体も作ったのかな、私自身はあまり自分でやってないので分かっていないんだけど、寄付もしてもらっていました、選挙のときには。それから出張もしています。ただ、公のお金を使って、あるいは、公の車を使って私的なことに使うというセンスは全くないです。それは当たり前だと思います。その点しか私は申し上げられないけど、それ以上つっこめないけど異様な感じは受けてます。
【記者】いろいろ報道されていますけれども、舛添都知事のですね、お金の使い方をご覧になられて、ご自身で参考というかあらためるというか、こういうのはやっぱり良くないんだなと思われるような点はございますでしょうか。
【区長】全くありません。私自身はずっとサラリーマンでやってきたわけですから、都にいる時も民間企業でも、給与だけしかもらっていません。あとは大学の教授をやったり講演会をやったり、そういう謝礼はもらいます。シンクタンクみたいなものもちょっとやっていますから、謝礼はもらいます。それ以外のお金は生まれてから一度も手にしたことがないから、そういうものがあるっていうことが、そもそもよく分からない。それは、普通の人はみんなそうじゃないですか。皆さんもそうでしょう、給料をもらっているだけであって。自分のやることを公費に回すとか、あるいはどこか他から、お金が入ってくるとか全然、私は分からない。だから、彼のやっていることを見て、自分が変えなくちゃいけないということは全くないです。
【記者】今日、一部報道で、練馬区内の中学校で組体操中に事故があったというような報道がありました。区長はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【区長】私は、これは基本的には教育委員会の問題ですから、あまりそれ以上、今のところは介入する気はありません。報告を受けているのは、教育委員会としては組体操そのものをやめるつもりはないと。つまり子どものスポーツなり体操の時間の一環として、組体操そのものは廃止しないと。ただ当然ながら、安全対策には充分留意していきたい。やるときには当然、指導計画をあらかじめつくり、全教職員でちゃんと共通の理解を持ってやるとか、当然ながら、大きな事故につながる可能性がある技をやってはいけないとか、いろんなことを決めているようです。そういう前提があって、きちんと管理をして子どもの安全が第一だということでやっていくのであれば、今の方針でいいのではと思っています。ただ、事故が起きたばかりでよく分からないんですが、なぜ事故が起こったのか、そこをちゃんと分析をしてもらって、その分析の結果、改めるべきことがあったら改めようと思います。
【記者】建通新聞社の北野と申します。区政改革計画の28ページにある公共施設等総合管理計画で、今後、区立施設の将来性を明らかにされると。この計画はいつ頃策定なのかということと、資料の62ページにある、小学校中学校の総数99校とありますけどね、こういった所がいくつか統合されると思うんですけど、その数の見通しなどがありましたら、教えていただきたいんですが。
【区長】この区政改革計画の、先ほど体系でもお話しをしましたが、今お話しがあった内容は、区政改革計画自体には全部入っていないんです。例えば職員の定数をどうしようかとか、財政規模がどうなっているかとか、それをどう確保するとか、入っていません。それは、これからちゃんとやらなくてはいけない、事務的にです。それを、早ければこの秋ですが、平成28年度中には策定していきたい。お話しの公共施設等総合管理計画もその中に盛り込んでいきたいと思っています。まだこれからです。
【記者】東京新聞の石原です。組体操の件について、追加で伺いたいんですけれども。教育委員会の方で、方針として、万が一練習中に生徒が負傷する事故が起きた場合には、原因究明をして活動内容を見直したり、安全対策を講じたりするなど措置を行うという風なものがあったと。にもかかわらず、今回練習で事故を起こしたのに、本番は実施していたと。とするとその分析はもう済んでいるのかなと思ったんですけど。その分析について教えてください。
【区長】これは組体操の実施に関する方針の中でそういっているわけです。それはまさにそのとおりであって、やらなければいけない。それも含めて私は今、詳しい話しは何も聞いていませんから、教育委員会にもちゃんと事情を聴いて、改めるべき点があったら改めようとそう言っているわけです。細部については私もそんなに何もかも知っているわけではないから教育委員会に聞いてください。
【記者】毎日新聞の五味です。また他区、隣の区の話しになるのですが、杉並区で保育園の整備について、公園を転用するということでだいぶ話題になっていますけれども、区長はどんなふうにご覧になっていますか。
【区長】コメントが難しいんですけれども。他の区のことだし、杉並区の田中良区長は私の友達でもありますし、何と言っていいかわからないのであります。一般論でいうと、杉並区を批判しているわけではないですが、私は練馬区であったらやりません、もちろんのこと。それ以上はちょっと言いようがないです。
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