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専門医のコラム 「救急医療の現場で起こっていること」

ページ番号:431-852-305

更新日:2022年1月17日


順天堂大学医学部附属練馬病院
救急・集中治療科長/感染対策室長
杉田すぎた まなぶ先生

救急医療の現場で起こっていること

 
オミクロン株による流行は世界で起こっていることと同様に、我が国でも大きな流行となっています。
練馬区では様々な対策を進めていますし、我々医療従事者も全力を挙げて区民の皆様にしかるべき医療体制を提供できるように努力しています。私は練馬区の救急医療体制の一翼を担っている立場から、救急医療現場でどのようなことが起こっているかをお話しします。

昨年のデルタ株による流行では、重症患者中心に病院には多数の入院患者がいました。多くの病床が新型コロナウイルス感染症の患者で溢れた結果、平時にはすぐに救急搬送できた重症の病気や怪我、例えば心筋梗塞や脳卒中、交通事故の患者さんが病院に到着するまでの時間が余分にかかる現象が起きていました。このままでは「本来助かるべき患者を助けられない」とギリギリの状態でした。当時は行政の取り組み(酸素ステーションの設立)や、各医療機関の頑張りにより何とか乗り切れました。しかし現場の感触は、ほぼ限界でした。

今回はオミクロン株の流行です。報道では「デルタ株より重症化しない」とされ、確かに集中治療室に収容される患者さんは少ないです。しかし爆発的に増えている新規感染者は、絶対的な数を積み上げており、市中感染が家庭内で拡がっています。既に救急現場では発熱者の救急搬送が著増しており、また家庭で感染した医療従事者が休職するため、病院内で働く職員が減っています。第5波とは違う理由で救急現場の崩壊が近づいて来ています。

皆さんにお願いしたいことはただ1つです。自分は軽症で終わるから大丈夫とは決して思わないでください。あなたが感染すると、家族や大切な人を巻き込み、医療現場のベッドだけでなく働く人を削ります。その結果、病気や怪我で亡くなる人が増えるかもしれないのです。今しばらく、マスクの装着や手洗いを徹底し、不要不急の外出を控えていただきたく切に願います。

お問い合わせ

健康部 健康推進課 健康づくり係  組織詳細へ
電話:03-5984-4624(直通)  ファクス:03-5984-1211
この担当課にメールを送る

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