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専門医のコラム 「コロナ禍で妊娠出産を無事に乗り切るために」

ページ番号:750-526-668

更新日:2022年3月1日

順天堂大学医学部附属練馬病院 産科・婦人科診療科長
荻島おぎしま 大貴だいき先生

コロナ禍で妊娠出産を無事に乗り切るために

ご懐妊おめでとうございます。新しい命の誕生を想うと嬉しい気持ちになりますね。一方で、連日のコロナ関連のニュースに不安を覚えている方も多いのではないでしょうか。WHOがパンデミック宣言してから約2年が経過します。当時は未知のウイルスであり、ワクチンや治療薬が無かったために不安も大きかったと思います。ワクチンの急速な開発と普及、治療薬の登場、また、現在流行中のオミクロン株は、感染性は高いものの重症化率は季節性インフルエンザよりも低い傾向があることもわかり、正しい知識を身につけ、正しい感染予防を行うことが安心したマタニティライフを過ごす上で大切と考えます。

一般的に、妊婦さんが新型コロナに感染しやすいことはなく、妊娠中に感染しても重症化率や死亡率は同年齢の女性と変わらないこともわかってきました。日本産科婦人科学会と日本産婦人科感染症学会に2021年4月までに登録された妊婦61例中、重症2例(人工呼吸、ECMO各1例)、酸素投与を受けた患者6例、軽症53例であり、母体死亡や子宮内感染は1例もありませんでした。本邦では妊婦さんの重症化リスクは海外ほど高くないようです。

ワクチン接種は感染防止や感染拡大に有効です。諸外国では多数の妊婦さんに接種が行われ、副反応の程度や頻度が非妊婦と変わらないこと、胎児や母体に対する致命的な有害事象が無い事からワクチン接種は有益性が上回るものと考えており、特にmRNAワクチンは接種後に流早産、胎児発育遅延、先天奇形、新生児死亡が生じる確率は非接種者と変わらなかったと報告されています。

2021年8月に千葉県にて、中等症感染で自宅療養中の妊婦が早産となり、出生児を救命できなかった痛ましい事例がありました。万が一感染した場合はかかりつけ医や管轄保健所に相談、対応し、必要時は速やかに医療措置ができるしっかりした体制を整えております。

新型コロナウイルス感染症は医学的な心配と同時に社会的な不安も大きくなります。国と産婦人科医は母性健康管理指導事項連絡カード(外部サイト)新規ウィンドウで開きます。を通じて働く妊婦さん達を支援しております。感染に不安やストレスを感じたり、通勤や働き方でお悩み、お困りの妊婦さんは、かかりつけ医にご相談ください。

最後に、オミクロン株の母体、胎児への影響は季節性インフルエンザと同程度と考えます。しかしながら、現在、結核と同様の二類感染症に分類されている新型コロナウイルス感染症では、感染拡大防止の観点から分娩時間の短縮を図るために分娩様式を帝王切開にする施設が多く、出産後も一定期間が赤ちゃんと離ればなれになってしまいます。これらを防ぐ意味でも日頃の各人の感染予防がきわめて大切と考えます。きちんとした知識をもって、二度とはない楽しいマタニティライフをお過ごしください。

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お問い合わせ

健康部 健康推進課 健康づくり係  組織詳細へ
電話:03-5984-4624(直通)  ファクス:03-5984-1211
この担当課にメールを送る

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