ふるさと納税で練馬区の住民税が失われています!
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ページ番号:304-714-103
更新日:2024年11月11日
ふるさと納税によって流出した練馬区の住民税は年々拡大しており、この状態が続けば区の財政運営に支障をきたしかねない深刻な状況です。
いま一度、ふるさと納税について考えてみませんか。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、生まれ故郷やお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして、平成20年度に創設された制度です。「納税」という言葉がついていますが、実際には地方自治体への「寄付」制度です。ふるさと納税をすると「返礼品」として、その地域の特産品や名産品などを貰うことができる場合があります。
ふるさと納税制度の仕組み
ふるさと納税を行った場合、寄付した金額のうち自己負担額の2000円を除いた額が、国税である「所得税」と地方税である「住民税」から控除されます。
言い換えると、ふるさと納税は住んでいる自治体以外に寄付をすることで、本来であれば住んでいる自治体に納めるべき住民税が減額される仕組みです。自治体にとっては、住民の方がふるさと納税をすると、住民税が減額されるため、収入が減ってしまいます。
ふるさと納税による流出額
ふるさと納税によって流出した練馬区の住民税は年々拡大しており、令和6年度の流出額は約51億円に達すると見込んでいます。これは、特別区民税(住民税)の約8%に相当し、非常に深刻な状況です。
流出額を区が実施する事業に例えると、
- 学校1校の改築には、約50億円
- 道路や公園の維持管理には、年間で約53億円(令和5年度決算額)
- ごみ・資源の収集・運搬・処理には、半年で約58億円(令和5年度決算額)
(注釈)令和5年度までは決算額、6年度は当初予算での試算額。
ふるさと納税は廃止すべきです
現在のふるさと納税制度には、さまざまな問題があります。
住民が自分たちのサービスを自分たちで負担するという「地方自治の本旨」に反します
- 日本国憲法第92条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
- 地方自治法第10条第2項
住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供にひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。
都民が納めた税金は地方へ配分されており、ふるさとへの貢献はすでに実現されています
地方交付税の原資の5割弱は、都の住民(個人、法人)が負担しており、すでに都市間の税収格差の解消に大きく貢献しています。
- 地方交付税とは
地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方公共団体が一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するものです。本来は地方の税収入とするべきですが、国が国税として徴収し、一定の合理的な基準によって再配分されます。
一部の自治体に多額の寄付が集中
返礼品競争の過熱によって、令和5年度に全国の自治体に寄せられたふるさと納税の総額は約1兆1175億円となり、過去最高を更新しました。
しかし、多額の寄付を集めることができているのは一部の自治体に限られます。特産品や名産品などがある上位50自治体が、全国の寄付総額の3割以上を占めており、寄付の受入額には自治体間で大きな格差が生じています。
受入額 | 割 合 | |
---|---|---|
上位50自治体 | 約3,671億円 | 32.9% |
全国1,788自治体 | 約1兆1,175億円 | - |
(注釈)総務省資料「令和5年度受入額の実績等(外部サイト)」から作成。
ワンストップ特例により減収額が拡大
ワンストップ特例は、より簡単な手続きでふるさと納税をすることができるように、平成27年度から導入された仕組みです。この仕組みにより、確定申告が不要な給与所得者等は、寄付先の自治体が5団体以内であれば確定申告をしなくても、ふるさと納税による税金の控除を受けることができるようになりました。
しかし、ワンストップ特例を利用すると、国税である所得税から控除されるべき額についても、地方税である住民税から控除されます。つまり、ワンストップ特例を利用しないときには国の減収になる額まで、地方の減収になっています。ワンストップ特例の導入後、ふるさと納税による練馬区の住民税の流出額は、急激に増加しています。
所得が高い人ほど有利な仕組み
所得が高い人ほど受け取れる返礼品の上限額が高くなり、事実上の節税対策となっているため、公平性の観点からも問題があります。
収入金額 | 自己負担額2,000円で行える ふるさと納税の額(A) |
受け取れる返礼品の上限額(B) ((A)×30%) |
事実上の節税額 ((B)-2,000円) |
---|---|---|---|
500万円 | 28,000円 |
8,400円 | 6,400円 |
1,000万円 | 144,000円 | 43,200円 | 41,200円 |
2,000万円 | 536,000円 | 160,800円 | 158,800円 |
(注釈)総務省「ふるさと納税ポータルサイト(外部サイト)」に掲載の数値から作成。
ふるさと納税を行う方が、家族構成「夫婦(配偶者に収入がないケース)+子2人(大学生と高校生)」かつ給与収入のみの場合の目安の金額。
減収に対する国からの補てんがない
多くの自治体では、「地方交付税」という仕組みによって、ふるさと納税による減収額の75%が国から補てんされています。しかし、練馬区をはじめとする東京23区は「地方交付税」の不交付団体となっており、国からの補てんが一切ありません。
(注釈)地方交付税=地方自治体間の財源の均衡を図ることを目的とした、国の財政調整制度。
区の取組み
国に制度の廃止を求めています
ふるさと納税制度にはさまざまな問題があるため、練馬区は東京23区の区長で構成される特別区長会や東京都と力を合わせ、率先して国に、ふるさと納税制度の廃止を含めた抜本的な見直しを求めています。要望内容の詳細は、下記のページをご参照ください。
返礼品競争に加わる考えはありません
本来、自治体は行政サービスの質で他自治体と競い合うべきですが、現在のふるさと納税制度は、高額な返礼品を用意するなど多額の寄付を集めるための競争と化しています。
こうした状況は、自治体間の競争のあり方を歪めるものです。練馬区は返礼品競争に加わる考えはありません。
練馬区は寄付を募る上で、返礼品は用意していませんが、区の取組みに賛同・協力いただける方から、例年、多くの寄付を頂戴しています。いただいた寄付は、寄付者のご意向に沿った形で、区政のさまざまな分野で有効活用しています。今後も、多くの方から応援いただけるような事業の実施と寄付メニューの検討に努めます。寄付手続き等の詳細は、下記のページをご参照ください。
いま一度、ふるさと納税について考えてみませんか
そもそも住民税は、生活に身近な子育て、教育、福祉、医療、防災、まちづくりなどの行政サービスに必要な経費を、その地域の住民が負担し合うためのものです。しかし、現在のふるさと納税制度は、住んでいる自治体に納めるべき住民税を他の自治体に移転させる仕組みになっています。
区民の方のふるさと納税が増えるほど、区の住民税は流出し、行政サービスに必要な貴重な財源が失われてしまいます。この状態が続けば、今後の行政サービスの提供に支障をきたすことになります。
お問い合わせ
企画部 財政課 財政担当係
組織詳細へ
電話:03-5984-2465(直通)
ファクス:03-3993-1195
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