練馬区立美術館開館40周年企画 シンポジウム「地域社会と美術館」を開催しました
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更新日:2026年1月1日
令和7年(2025年)は練馬区立美術館が昭和60年(1985年)10月に開館して40周年にあたる節目の年でした。そこで、地域社会におけるこれからの美術館のあり方などについて、パネリストの活発な議論を通じて一緒に考えるシンポジウムを開催しました。
開催にあたっては日本大学芸術学部、練馬区立美術館をはじめ関係各所の皆さまより多大なご協力をいただきました。
概要
日時
令和7年11月30日(日曜)午後1時30分から午後3時30分
会場
日本大学芸術学部
構成
1.基調講演
美術館運営に携わる冨田章さんと尾崎信一郎さんから、美術館が行うさまざまな活動の紹介や、日本の美術館の現状・課題について伺いました。
東京ステーションギャラリー館長 冨田章さん

冨田章さん (c)新美術新聞
鳥取県立美術館館長 尾崎信一郎さん (注:崎は「立」)

尾崎信一郎さん
2.パネルディスカッション
基調講演の講師とパネリストが、これからの美術館に期待することなどについて議論しました。
パネリスト
彫刻家 青木野枝さん

青木野枝さん (C)砺波周平
東北大学大学院工学研究科教授 五十嵐太郎さん

五十嵐太郎さん
日本大学芸術学部 学部次長、美術学科教授 鞍掛純一さん

鞍掛純一さん
練馬区立美術館館長 伊東正伸さん
静岡県生まれ。
令和5年4月、練馬区立美術館の館長に就任。
今回の区立美術館開館40周年企画シンポジウム「地域社会と美術館」をプロデュース。
司会
NHK財団アナウンサー 柴田祐規子さん

柴田祐規子さん
発言要録
基調講演
「日本の美術館の現状と未来」(冨田さん)
〈事例紹介ほか〉
○図書館建築の事例を紹介したが、図書館、美術館や博物館は歴史的文学的資料・美術的作品を後世に継承する役割を有し、同じ機能を果たしているといえる。貴重な文化遺産を後世に伝え、人々に触れてもらうためにも費用を掛けざるをえない施設。きちんとした施設・適切な管理の下で作品を保存し良い環境で見ていただくことが求められる。
〈日本の美術館の現状〉
○娯楽が多様化、ネットを通じたコンテンツに時間が割かれている。都市圏ではあまり表面化していないが、人口減少もあり地方では入館者数の減少がみられる。
○この20年ほどで予算の削減による活動の制約が顕著、作品収集の予算がない美術館も多数ある。このため寄贈に頼らざるを得ず、調査や所有者との交流にあたる学芸員に負担がかかっている。事業予算も削減や抑制的な傾向にあり、PRが十分にできないために来館者減、という負のサイクルに陥ってしまう。
○ここ数年は物価高と円安により急激に経費を圧迫。海外との費用格差により、海外からの作品借り受けなどが困難な状況にある。
○80~90年代は美術館の建設ラッシュで、現在は建物・設備が老朽化している。練馬区立美術館も40年が経過した。加えて40年も経てば社会が変化し、それに合わせた美術館、施設としなければ人が減っていくばかりになる。活動を含めて求められるものが変わっていくため、対応も当然変わる必要がある。
〈良い傾向〉
○現代アートはかつて一般に関心を持たれていなかったが、2000年代以降、若者を中心に抵抗なく受け入れられ、関心も高まっている。
○中高年齢層の美術への関心が高い。団塊の世代が退職し高齢期を迎え、美術館に足を運んで頂いている。ただ今後は少子高齢化により入館者数は先細っていく、特に地方では懸念される。
○文化的資源に関心が集まっている。インバウンド需要やコンテンツ、文化的資源の活用の意向が政府にある。良いきっかけである一方で、文化的資源の適切な保存と活用ではなく“使える”ものと捉える傾向を少し危惧している。
〈日本の美術館の課題〉
○美術館の役割・求められることとして、まず「収集、保存」。次世代への継承、「宝物庫」的な役割。つぎに「調査、研究」。学芸員は研究者でもある、収集・保存を機能させる上でも重要。更に「公開と教育」。展覧会、ワークショップなどの教育普及事業による文化の普及活動。
○加えて、今日の美術館に求められる役割が3点。 「観光資源としての地域振興への貢献」、これは世界のどの美術館でも求められている。「教育普及活動による地域共生への参加」。更に「市民の憩いの場、交流の場」、かつては敷居の高い場所というイメージがあった。
〈練馬区立美術館の展望〉
○特性(強み)として、まずアクセスの良さ。抜群の立地であり重要なポイント。また図書館、公園と一体化している点。美術館をアクセスのよい「都市型」と環境の良い「郊外型」に分類しているが、両方の良さを兼ね備えている。更に、優れた企画力を有している。
○目指すべき姿は3点。「開かれた美術館、区民・都民が文化に触れる場を提供すること」。なかなか簡単ではない。中で何をやっているか、どのようにアピールしていくか。「他館との差別化を図る、優れた展覧会で美術・文化の研究に貢献すること」。これはすでに達成されていると思っている。展覧会は美術館の顔である。観覧者数ではなく、来館者に何かを与えられる、良質な企画であることが以前にも増して求められる。最後に「広報体制の強化、区・都を超え、国内・海外に積極的に発信すること」。まだやれることがあると思う。館としての価値が高まる。積極的に発信する広報体制を構築してほしい。
「地域社会と美術館―鳥取県立美術館の開館」(尾崎さん)
〈開館までの経緯〉
○1972年、県立博物館が開館。この中に美術部門があった。
○漏水など建物の老朽化、収蔵スペースの不足、古い展示ケース等の設備といった課題が顕著になり、約10年前に現状・課題検討委員会を設置した。
○日本博物館協会の「自己点検システム」により、ハード面に限界が来ていると評価。博物館の3部門「自然」「人文」「美術」のうち1つを独立させることによってスペースを生み出すこととし、その結果、「美術」を独立させることとした。
○「オープンネス」をブランドワードとして方向性を明らかにし、美術館のミッション・ステートメントをまとめ、スタートした。
○運営方法、建設の手法は検討の結果PFIとし、民間活力を活用し事業者と県が一緒に運営することとした。
○PFIにあたり要求水準書を作成、事業者の担う部門の事業水準を公表し、建築部門と運営部門の提案をそれぞれ求め、公開プレゼンとした。提案時点で、ほぼ完成時の施設・運営の絵姿が示されていた。
○建物70億、運営70億を20年間で支払う方式とし、予算を平準化した。
○建設期間中も、毎月の建設現場見学会、ロゴ・シンボルマークの選定に係るシンポジウムの開催や公募、開館に先立つボランティア募集・説明会など、美術館への関心が途切れないように常に「情報公開」をモットーとし取組を進めてきた。
○建物にもオープンネスを反映。大きな窓から光が差し込む構造で、市民の方が気軽に入って談笑や読書ができるフリーゾーンも設けた。
〈ウォーホル「ブリロの箱」5点/3億円の評価〉
○収集方針に「戦後美術を代表する作品」を掲げていたが、購入に唐突感があったのか、県の発表当初は何の反応もなかったがネットで取り上げられ、一気に意見が寄せられた。
○「なぜ購入したのか」の説明がなかったことが批判の要因と考え、説明会を最終的には60回行った。
○説明を重ね、また様々な形で露出したことから、「批判」から「関心」の対象へと変遷した。この説明の過程が地域社会と向き合う時期だった。
○展覧会としても、作品単体ではなく、ウォーホルのコーナー設置や芸術と広告を背景とした作品の紹介など、展覧会に落とし込んでいった。現在はブリロの箱についてのアンケートを実施している。
〈地域との関係が重要〉
○プロジェクト当初から「オープンネス」をブランドリードとし、取り組んできている。
○説明の必要性を痛感、地域の理解や応援、ともに行うことが重要。
ディスカッション
◆五十嵐さん
○グッゲンハイム美術館やアブダビ美術館など、建築的にも優れた美術館が多い。日本においては、金沢21世紀美術館はエンターテイメント性をもった、まちの中に美術を創るような美術館で、衝撃的だった。八戸美術館は、市民活動を主に展開している。
○平田さんの設計は三層構造になっている。シェードが大きな特徴。これまでもワークショップをして市民とのコミュニケ-ションを取ってもいる。区のコンセプトとも合致した建物になっており、期待したい。
○地域と密着しつつ、都市型の美術館としての形を見せてほしい。
○尾崎館長の話にあったように、何をやろうとしているのかを伝えるための積極的な情報発信に努めてほしい。開かれた美術館を目指すこととあわせて進めてほしい。
◆青木さん
○鉄を切って溶接して作品を制作している。一つの技術を持つと、世界が広がると考えている。そこで、障害のある子どもたちのワークショップを行っている。
○養護学校(当時)に通う生徒が数日間で作品を作り上げた。その作品を青森県立美術館で展示できたことが素晴らしかった。当初は市民センターでの予定であったが、美術館で実現することができた。
○盲学校の子どもたちは触ることで鉄を感じ、作品を感じていた。障害のあるなしに関わらず、体験をする機会をたくさん作ってほしい。
○ワークショップを通じて、彫刻、創作が言葉ではないコミュニケーションの手段になるという実感を持った。
◆鞍掛さん
○日大芸術学部と美術館は同じ区内にある。美術館の前にある美術の森緑地には、以前はあまり使われていない噴水池等の設備もあり、駅近くの立地だが入りにくい雰囲気だった。若林館長の時に美術の森緑地の再整備を提案し、実現につながった。
○日芸から美術館までのあいだの場所や、大学施設と美術館の2拠点でのコラボなど、可能性はたくさんある。大学と美術館のつながりを継承して取り組んでいければ良い。
◆伊東さん
○大学と美術館との協働、10年くらい前まではN+N展という展覧会をしていた。再整備後にはまた一緒にやりたいと相談している。人材育成の面でも連携を図っていきたい。
○開かれた美術館の活動があって、平田さんの設計・建築が活きる。地域の文化芸術拠点として、館内の活動だけではなく、社会に開かれていることが求められる。ハードのみならず収蔵品の公開や、現在進行形の展覧会の企画など、鑑賞者や作家に対してもオープンさが重要と考える。
○美術館が地域の財産となり、地域に根差す。更に世界につながる活動としたい。
◆冨田さん
○美術館は、収蔵という「囲う」感じから、現在は広げる・開かれる方向に進んでいる。またそうすることで、たくさんの人の理解を得られる。
○練馬区立美術館には、内部で美術館と図書館が自由に行き来しやすいものになり、またまちへとつながっていくものになってほしい。
○美術館がセンターになって、区全体にアートや文化を広げていけるようになってほしい。ぶれずにやってもらいたい。
○建築にふさわしい活動を期待する。多くの美術館が老朽化という課題を抱えるなか、他館のお手本になるような美術館になってほしい。
○美術館が開かれていることはもちろん重要だが、常設展示を含めて作品を見せることの重要性も大切にしてほしい。
◆尾崎さん
○市民にとってふらりと入りやすく、日常と美術館がつながっている。地域の美術館にとって地域との関係は死活的に重要だと思うので、そのような敷居の低い美術館を目指してほしい。
○実体験として、初めて美術館に行った時の驚きと羨望は忘れられない。若い人に、美術館を知ってもらうことが大事。また身近にあって触れられることは恵まれている、ということを知ってほしい。
主催等
主催:練馬区
後援:日本大学芸術学部
チラシ

ちらしの画像データ(表)

ちらしの画像データ(表)
シンポジウム「地域社会と美術館」チラシ(両面)(PDF:1,666KB)
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