第2章 商工業の現状と課題
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更新日:2010年2月1日
1 現状
(1)産業構造の変化
練馬区は昭和30年代の高度経済成長期から人口増加を示し、農地等の宅地化にともない住宅都市として発展してきた。
現在の区の用途地域を見ると、住居系が89.0%、商業系が7.9%、工業系が3.1%となっている。
平成13年事業所・企業統計調査(速報値)によると、区内の事業所が23,478か所、従業員が181,514人となっていて、平成8年と比較すると事業所数で7.6%の減、従業員数で3.9%の減となっている。
平成11年事業所・企業統計調査により区内事業所の構成を見ると、サービス業(24.9%)、小売業(21.5%)、飲食業(11.9%)を合わせると全体の58.3%を占め、区民の日常生活を支える産業が高い比率を占めている。この中で小売業の商店数の推移を平成11年商業統計調査で見ると、昭和57年と比べて29.7%減、平成9年と比べると7.4%減となっている。さらに区内小売業全体の年間販売額は4,616億円であり、平成9年と比べると7.3%減となっている。
また区内消費の概ね2分の1が区外流出している状況がある。平成10年練馬区区民意識意向調査によると、食料品、日用雑貨、身の回り品など(最寄り品)は区内での利用が多いが、高級衣料品、家具、電化製品など(買い回り品)は区外の大型小売店、百貨店などを利用することが多い。よく行く百貨店の場所は「池袋」が67.1%でとびぬけて多く、「新宿」(14.4%)、吉祥寺(14.1%)となっている。
平成12年工業統計調査によると、業種別の状況では、「衣料・繊維製品」や「出版・印刷」において工場、事業所数が多くなっている。また事業所数の推移を見ると、昭和58年と比べ、47.8%の減となり大幅に減少している。さらに平成7年と比較すると事業所数で5.6%の減、従業員数で8.5%の減、製造品出荷額等で13.0%の減となっている。
(2)事業所の規模
平成13年事業所・企業統計調査(速報値)によると、練馬区は従業員20人未満の事業所が全体の92.2%を占め、そのうち5人未満の事業所は全体の66.0%となっており区内の事業所の規模は概して小さい。
商業、商店街
・平成11年商業統計調査によると、練馬区の小売業の一店当たりの面積は72.28平方メートル、一店当たりの従業者数は6.0人、従業者一人当たりの年間販売額は1,646万円となっており大型小売店を主体とした駅前商業集積が形成されている豊島区(116.11平方メートル、7.5人、3,275万円)、新宿区(116.47平方メートル、8.7人、3,266万円)、武蔵野市(127.55平方メートル、7.5人、2,146万円)と比べると小規模の店舗が多い。
工業
・平成12年工業統計調査によると、区内の事業所数は1,121か所、従業員数は8,295人、製造品出荷額等は1,240億円であるが、事業所のほとんどは中小零細規模であり1事業所当りの平均従業員数は7.4人と近隣区よりも少なく、1従業者当りの製造品出荷額等は1,495万円で23区では下位にあり生産額は高くない。また従業員数が1~3人の事業所が607か所で約半数(54.1%)を占める。
(3)厳しさを増す経営環境
産業を取り巻く環境は、長引く景気の低迷、生活様式の変化、価格競争の激化などにより依然厳しい状況が続いている。
商業、商店街
・景気の低迷の中で消費者の低価格指向などを受け、低価格競争を経営課題としている中小小売業が多い。
また消費者の生活様式や生活時間帯の変化により、大型小売店やコンビニエンスストアでは営業時間や営業日数の拡大が進んでいる。
・規制緩和の流れの中で大型小売店の進出が見られ、区内の店舗面積が1,000平方メートルを超える店舗は平成14年12月現在47店舗あり、500平方メートルを超える店舗と合わせると71店舗となっていて、平成11年と比べると12店舗の増加となっている。
・平成13年度東京都商店街実態調査によると、商店街が抱えている問題点の第1位は「後継者が不足している」が52.8%で半数の商店街が問題点としており、後継者不足が深刻化している。また空き店舗については都内商店街の61.8%が有ると回答している。空き店舗の増加によって商店街の魅力が低下し、活気が失われる恐れがある。
工業
・平成12年度練馬区工業実態調査によると、事業所の経営者(代表者)の平均年齢は58.5歳であり、製造業は59.8歳とより年齢が高くなっている。また後継者が決まっている事業所は33.1%で、後継者がいない事業所とほぼ同数である。
・今後の経営方針については現状維持という事業所が42.4%と最も多く、現在の事業を拡大する(24.0%)と続き、新たな分野に進出する(7.6%)、新たな事業分野に転換する(1.2%)という事業所が少なく新しい分野への進出意欲は低い。
・情報化(IT)が急速に進展している中で、インターネットを利用している事業所は37.4%、ホームページを持っている事業所は17.8%となっているが、規模の小さい事業所ほど利用が少なく情報化を進める意向を持っていない割合が高く取り組みが遅れている。
(4)生活支援型産業の可能性
高齢社会の進行に伴い、要介護、虚弱高齢者の増加が予測されている。さらに高齢者のみで構成されている世帯が増加している。
平成13年の練馬区高齢者生活実態調査によると、「夫婦世帯」が36.3%「ひとりぐらし世帯」が10.8%となっている。これを平成8年の調査と比べると、ともに増加しておりこの傾向は今後も続くものと考えられている。また平成9年就業構造基本調査によると、東京都における女性就業者数は昭和40年以降連続して増加し、平成9年には266万7千人と調査開始以来最大となっており、女性の社会進出が進展している。
こうした社会状況の中で介護関連サービスや、家事代行サービスなどの生活支援型産業の需要が高まってきており、さらに拡大する可能性がある。
2 課題
(1)商業、商店街の課題
・個店の魅力づくり
長引く経済停滞の中にあって、店舗数、年間販売額はともに減少を続けており商業、商店街は大変厳しい状況にある。
中小企業庁の平成12年商店街実態調査によると、商店街が今後取り組む必要のある事業の第1位は「個店の改善・活性化」(62.8%)である。
商店街の活力の源泉は個店であり、消費者ニーズの多様化や大型小売店などとの競争の激化の中にあって消費者を引きつけるためには、購買層の対象を明確にしてその顧客の満足度を向上させる商品やサービスを提供するなど、その店の個性を打ち出すことが必要である。
個店の魅力を創りだし集客力を高めることが、商店街の活力再生の重要な課題である。区はこれまで地域社会の生活基盤としての商店街に着目し、主に商店街を対象に振興を図ってきた。しかし商店街が活力を取り戻すためには、経営者の意欲的な取り組みにより、消費者ニーズに対応し顧客を引きつける魅力を持つ個店を増やしていくことが必要である。
・商店街の魅力づくり
店舗数の減少や大型小売店の増加などにより、地域住民の日常生活を支える商店街の機能が低下している。また商店街は、地域のにぎわいを創りだし地域文化を伝承するなど地域コミュニティの核としての機能をより高めていくことが期待されている。これらの機能を向上させ大型小売店とは異なる商店街の魅力をつくりだすには、不足業種の解消や生活情報の発信、生活支援型サービスの提供、地域課題への対応など地域住民の生活基盤としての商店街づくりを地域住民とのパートナーシップの確立を図りながら進めていく必要がある。
またこうした地域住民の生活基盤としての商店街づくりに商店街全体として取り組むためには、商店街組織を強化していく必要がある。
商店街組織を強化するためには、商店街や商店主が個々の後継者を育成するとともに、魅力ある提案ができ実行力のあるリーダーが増えることが必要である。また様々な商店街活動への取り組みを通し、商店会員数の増加や地域との連携の強化を図ることが求められている。商店街活動の活性化が進む中で、商店街振興組合や事業協同組合など法人化を図ることも課題の一つである。さらに、安全で快適な買い物の場としての商店街づくりをまちづくり事業などとの連携を図りながら行うことが求められている。
(2)工業、生活支援型産業の課題
・経営の革新
産業構造の変化、情報技術(IT)の進展や環境への関心の高まりなど、工業を巡る経営環境は大きく変化している。こうした変化に対応して、区内事業者は製品の企画、開発力の重視など時代に即した経営の革新を進めていく必要がある。また企業間交流を促進して情報や人材のネットワークを形成し、情報技術(IT)分野や環境、リサイクル分野など新分野への進出や、取引先の拡大を図ることが必要である。
・起業者の育成と新事業の創出
事業所数が減少する中で、地域経済の発展には起業者の育成や新事業の創出など新しい力が必要である。都心に近い住宅都市という練馬区の立地環境に適合した情報関連などの知識集約型産業の振興が求められている。また生活様式の多様化や少子高齢化あるいは核家族化などに対応した生活支援型産業の新しいビジネスモデルの構築が必要となっている。
・練馬を特徴づける産業の振興
練馬区に立地する工業や区内で作られている製品の多くが区民や事業者にあまり知られていない状況がある。地域産業の振興のためには、漬物産業、伝統工芸やアニメ産業などの区内の優れた技術や製品をPRし地域との交流を深め、広く認識されることが必要である。
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