練馬区教育振興基本計画  中間見直し (素案) 令和6年(2024年)12月 練馬区教育委員会 第1章 計画の基本的な考え方 1 計画の中間見直しの趣旨 区では、令和4年3月に、令和4年度から令和8年度を計画期間とする教育振興基本計画(以下「計画」といいます。)を策定しました。 計画では、令和6年度以降の新たなビジョン・アクションプランの策定に合わせて、中間年に見直しを行うこととしています。 本計画では、令和6年3月に策定した「第3次みどりの風吹くまちビジョン」(以下「第3次ビジョン」といいます。)と整合を図るとともに、教育施策をめぐる状況の変化を踏まえて、令和8年度までの主要な施策の方向性を示します。 2 計画の位置付けと中間見直しの基本的な考え方  区では、平成27年4月の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改定に伴い、平成28年2月に「練馬区教育・子育て大綱」(以下「大綱」といいます。)を策定しました。さらに、子どもを取り巻く環境の変化に加え、新型コロナウイルス感染症により新たな課題が生じたことから、令和3年3月に大綱の改定を行いました。 また、令和6年3月に、区の基本計画として、今後の区政運営の方向性を示す第3次ビジョンを策定しました。第3次ビジョンでは、教育施策について「戦略計画4 夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成」の項で目標と取組の方向性を示しています。また、第3次ビジョンに合わせて、令和6年度から8年度までの3年間の具体的な取組を示す「アクションプラン(年度別取組計画)」を策定しました。 本計画の中間見直しに当たっては、第3次ビジョンと大綱で示されている目標や方向性に基づき、重点施策の主な取組については、アクションプランと整合を図ることを基本的な考え方とします。   3 計画の目標と取組の視点 目標 夢や目標を持ち困難を乗り越える力を備えた子どもたちの育成 【取組の視点1】教育の質の向上 子どもたちが困難を乗り越え、さまざまな課題を解決するためには、基礎的・基本的な知識や技能を確実に身に付けるとともに、考える力、判断する力、表現する力を育成することが重要です。 「コロナ後」の新しい教育のあり方を念頭に、子どもたちの学びを保障し、一人ひとりに応じたきめ細かな教育をさらに進めることが必要です。 【取組の視点2】家庭や地域と連携した教育の推進 家庭教育は教育の原点です。豊かな人間性や人としてのよりよい生き方は、家庭生活の中で育まれ、地域社会での様々な人々との交流により身に付けることができます。 そのために、家庭教育を支援し、地域社会や関係機関、学校と一体となって子どもたちの健全育成を進めることが必要です。 【取組の視点3】支援が必要な子どもたちへの取組の充実 子どもたちが、生まれ育つ環境や障害の有無に関わらず、等しく公平に、質の高い教育が受けられる環境を整えることが大切です。 いじめは、人間として絶対に許されない人権侵害です。また、不登校などにより、子どもたちが夢や目標に向かって学ぶ機会が失われることがあってはなりません。迅速で的確な対応が必要です。 4 計画の推進体制 本計画は、各施策の推進や取組の実施に当たり、定期的に実施状況の把握・点検を行い、その結果を計画の見直しに反映させていきます。 具体的には、計画を着実に推進していくため、PDCAサイクル により、目標の実現に向けた取組を行います。とりわけサイクルC【CHECK】「結果の点検・評価」は、アクションプラン(年度別取組計画)の年度末進捗状況の点検・検証や教育委員会における「教育に関する事務の管理および執行の状況の点検・評価」の仕組みにより、その結果を区議会へ報告し、区民の皆様に公表のうえ、年度ごとの計画の進捗の点検・評価を行います。 5 計画の期間 本計画の期間は、大綱の対象期間に合わせて、令和8年度までとします。 (今回は中間見直しのため、目標年次は踏襲します) 第2章 施策の体系 本計画では、大綱に掲げられた3つの「取組の視点」および8つの「重点施策」に基づき、52の主な取組を体系化しています。   第3章 教育施策の具体的な展開                                                        取組の視点1 教育の質の向上 子どもたちが困難を乗り越え、様々な課題を解決するためには、基礎的・基本的な知識や技能を確実に身に付けるとともに、考える力、判断する力、表現する力を育成することが重要です。 「コロナ後」の新しい教育のあり方を念頭に、子どもたちの学びを保障し、一人ひとりに応じたきめ細かな教育をさらに進めることが必要です。 重点施策1 学力・体力・豊かな心が調和した学びの充実 【取組内容および主な取組】 1 小学校就学前の幼児教育を充実します。 幼児期の教育は、教育基本法において生涯にわたる人格形成を培う重要なものであると示されています。幼稚園および保育所等は、幼稚園教育要領や保育所保育指針において、幼児教育を行う施設として位置付けられており、乳幼児の望ましい成長と発達を見通した適切な支援を行っていくことが重要です。 現在、区内の7割を超える幼児(3歳児から5歳児)の幼児教育を私立幼稚園および私立保育所等が担っていることから、私立園(所)における取組を充実させていく必要があります。幼児教育の充実に資するため、それぞれの特性を踏まえた支援を進めます。 区独自の幼保一元化の取組として、年間を通して9時間から 11 時間の預かり保育や3歳未満児の子どもの保育を行う私立幼稚園を「練馬こども園」として認定しています。保護者の就労形態やニーズの多様化に応えるため、引き続き拡大を図り、練馬区ならではの幼保一元化を目指します。 また、区立幼稚園と私立幼稚園の保護者負担の経済的な格差是正に配慮しながら、適切な助成を行っていきます。 区立幼稚園については、園児数が減少している一方、障害児保育や3歳児以降の預け先として一定のニーズも存在しています。今後の園児数の推移を踏まえ、区立幼稚園あり方検討委員会を設置し、適正規模だけではなく障害児保育や3年保育などについて議論していきます。 (1) 私立幼稚園・私立保育所等への助成  ○ 私立幼稚園の運営に対する助成や教職員研修会に対する補助等、教育環境整備への支援を行います。  ○ 私立認可保育所等の運営に対する助成をはじめとして、施設の開設や改修などに対する施設整備補助を行います。 (2)私立幼稚園等園児保護者負担の軽減   ○ 私立幼稚園等に通う園児の保護者の経済的負担を軽減するため、入園料や保育料等の一部を助成します。 (3)区立幼稚園の今後のあり方の検討【アクションプラン掲載事業】  ○ 区立幼稚園は園児数の減少、障害児受入数の増など、園を取り巻く状況の変化を踏まえ、今後のあり方を検討し、検討結果に基づいた実施計画を策定します。 2 幼稚園・保育所・小学校が連携して、育ちと学びの連続性を大切にします。  幼児期から児童期への変化を乗り越える力を養い、育ちと学びの連続性を保つため、幼稚園・保育所・小学校の連携を強化し、就学前教育から小学校教育への円滑な接続を図ります。   (1)幼保小連携の推進  ○ 幼稚園・保育所・小学校の関係者で「練馬区幼保小連携推進協議会」を設置し、幼児教育・保育と小学校教育との連携のあり方について、協議を行っています。  ○ 幼児期から児童期への接続を一層円滑に進めるため、平成 30 年度に「ねりま接続期プログラム」を策定し、教員研修や授業等でプログラムを活用してきました。令和5年度には、就学前教育と小学校教育の関係者が5歳児から小学1年生の2年間の架け橋期を一体的に捉え、子どもの発達段階や学びの連続性などの共通の視点を持った架け橋期のカリキュラムの検討・開発、実施、検証、改善に取り組むことを支援する手引書として「ねりま幼保小の架け橋期プログラム」に改定しました。  ○ 教員・保育士対象の研修や意見交換の場の設定、保護者向けリーフレット「もうすぐ1年生」や外国人児童・保護者のための小学校入学ガイドブックの周知など、様々な取組を実施しています。 3 小学校と中学校の一貫教育を進め、義務教育9年間を見通した教育を実践します。 小・中学校間を円滑に接続し、児童・生徒の発達段階に応じた指導を進めるとともに、小・中学校の教員の相互理解を深めて義務教育9年間を見通した教育活動を実践するため、全ての区立小・中学校において小中一貫教育を実施しています。 平成 23 年4月に開校した施設一体型小中一貫教育校「大泉桜学園」では、義務教育9年間を見通したカリキュラムのもとで教育活動を行っています。 また、「大泉桜学園」以外の小・中学校をグループ分けし、全グループで小中一貫教育の研究・実践を進めてきました。これらの取組の検証と成果をもとに、各グループで、目標とする中学校卒業時の生徒の姿を共有し、その実現に向けた系統的・連続的な教育活動を行うため、9年間を見通した取組プログラムを作成し、小中一貫教育の更なる推進を図ります。 (1)小中一貫教育の推進  ○ 各学校で選出した小中一貫教育クリエーター(推進教員)を中心とし、組織的な連携が可能な体制を構築しています。 小中一貫教育グループにおいて、これまでの取組の成果を検証し、9年間を見通した系統的・連続的な取組プログラムを作成します。  ○ 小・中学校間の児童・生徒の交流を継続的に実施します。 小学校から中学校への接続を円滑にするため、小学生が中学校で授業を受けたり、部活動に参加したりする機会を設けます。児童・生徒全員に配付したタブレットパソコン等を積極的に活用し、新たな交流や連携の形を検討して各グループで実践しています  ○ 小・中学校の教員が、相互の授業参観や合同研修会などを通して、生活指導および学習指導についての情報交換や協議等を継続的に実施します。  ○ 大泉桜学園や各小中一貫教育グループにおける研究の成果を他グループと共有する機会として、練馬区教育実践発表会を開催します。 内容をリーフレットにまとめて保護者や地域にも発信します。 (2)旭丘・小竹地域における施設一体型小中一貫教育校の整備  ○ 旭丘小学校・旭丘中学校を施設一体型小中一貫教育校「(仮称)みらい青空学園」として改築します。保護者や地域の代表および学校長等で構成する小中一貫教育校推進委員会や地域説明会などを通して、引き続き、保護者や地域の意見を聞きながら取り組んでいきます。 4 子どもたちの心を育む人権教育、道徳教育を推進します。 人権教育は、「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」として、「国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することができる」ようにすることを趣旨としています。学校教育においては、児童・生徒が「障害者理解」や「男女平等」などについての理解を深め、人権感覚を十分に身に付けられるよう、人権教育を推進していきます。 また、我が国では、長い歴史の中で礼儀や他人を思いやる文化が育まれてきましたが、社会が豊かになり価値観の多様化が進むにつれ、それぞれの立場を思いやり協調していくことが一層重要になりました。学校教育においては、児童・生徒の人間として調和のとれた成長を目指して、発達段階に応じた道徳教育を展開していきます。 (1)人権教育の推進   ○ 児童・生徒が人権尊重の理念を正しく理解することを目指し、各校において学校ごとに作成する人権教育全体計画に基づき、個性の尊重や男女平等などに関する教育を具体的に進めます。  ○ 区立幼稚園および小・中学校の教員を構成員とする練馬区人権教育推進委員会を設置し、研究授業、研究保育、講演会などを実施し、全ての学校(園)における人権教育を推進しています。人権教育推進委員会主催の研修を開催し、幼稚園、小学校、中学校における研究保育および研究授業を毎年度実施します。  ○ 東京都教育委員会が発行する人権教育プログラム(学校教育編)等を活用し、様々な人権課題に関する授業実践や校内研修の充実を図ります。  ○ 「練馬区児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会」の提言を受けて、練馬区独自の児童・生徒向けおよび教職員向けの「人権を基盤にした教育・研修プログラム」を作成します。また、プログラムに基づく児童・生徒を対象とした指導および教職員を対象とした研修を実施するとともに、保護者への意識啓発を図ります。 (2)道徳教育の推進  ○ 小学校では平成 30 年度から、中学校では令和元年度から、検定教科書を使って、教科となった道徳の授業を行っています。「特別の教科 道徳」を要として、各教科、総合的な学習の時間、特別活動それぞれの特質に応じて適切な指導を行い、学校の教育活動全体を通じて道徳教育の一層の充実を図ります。  ○ 「特別の教科 道徳」では、いじめをはじめとした様々な問題を児童・生徒が自分自身のこととして向き合い、考え、議論する授業を実践します。  ○ 道徳教育の全体計画・年間指導計画を見直し、検定教科書を用いた、全ての学校での「特別の教科 道徳」の特質を踏まえた「考え議論する道徳」の充実を図ります。  ○ 区立幼稚園では、各領域(「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」)を通して総合的な指導を行い、道徳、心の芽生えを培うことができるよう指導を強化していきます。  ○ 道徳の授業において、区独自の地域教材を活用します。  ○ 道徳授業地区公開講座を活用するなど、家庭・地域と連携した道徳教育の充実を図ります。 5 英語教育の充実を図り、グローバル社会をたくましく生き抜く資質・能力を持った子どもたちを育成します。 グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定され、その能力の向上が課題となっています。 小学校では、令和2年度、中学校では、令和3年度から全面実施となった学習指導要領においても、教育内容の主な改善事項として「外国語教育の充実」が挙げられ、小学校では、3・4年生に「外国語活動」、5・6年生では「外国語科」が導入されました。 区内の小学校では、3・4年生で英語を「話すこと」「聞くこと」に慣れ親しみ、5・6年生では「読むこと」「書くこと」を含めた4技能の育成が必要です。中学校では、互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う言語活動を重視するとともに、具体的な課題等を設定するなどして学習した語彙や表現等を実際に活用する活動を充実させていくことが必要です。 児童・生徒に4技能(「聞く」「話す」「読む」「書く」)のバランスのとれた英語力を育成していくため、英語教育の更なる充実に向けた取組を進めていきます。 (1)英語教育の充実  ○ 中学2・3年生を対象として英検(実用英語技能検定)の検定料を全額補助しています。生徒一人ひとりが学力に応じた目標を設定し、チャレンジする機会を与えることで、英語学習に対する意欲の向上を図ります。  ○ 令和4年度から、中学1年生を対象にイングリッシュキャンプを新たに実施しています。学習した英語を実際に活用する場面を通じて、異文化を理解しながら英語を学び続ける意欲を育成します。  ○ 中学校では、令和2年度から2年生を対象に、小学校では、令和4年度から6年生を対象に、英語4技能検定を実施しています。令和5年度から、東京都教育委員会が主体となって中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)を全学年対象に開始したことに伴い、中学校の英語4技能検定については、令和6年度をもって実施を取り止めます(小学校は継続して実施します)。  ○ デジタル教科書やデジタル教材等のICTを活用した学びおよび言語活動の充実を図ります。  ○ 英語担当教員向けの研修会や、指導教諭の授業公開などを行い、教員の指導力向上を図ります。 6 子どもたちの体力の向上を図り、食育などの健康づくりに取り組みます。 文部科学省が平成 20 年度から毎年実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によれば、近年では児童・生徒の体力低下とともに、体力が高い子どもと低い子どもの格差が指摘されており、学校教育上の大きな課題の一つとなっています。 また、幼児期から体を動かす意欲や習慣を育成することも求められています。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による児童・生徒の運動量の減少が体力低下に影響を与えています。学校体育を通じて児童・生徒の健康増進および体力の向上を図るとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として取り組んだオリ・パラ教育の成果を活かし、様々なスポーツを経験させることによって、運動に親しむ習慣を身に付けさせ、運動能力の向上を図っていきます。 共働き家庭の増加や核家族化などの社会環境の変化に伴い、食生活のあり方が大きく変化し、家庭において望ましい食習慣や食に関する知識を習得することが難しくなってきています。そのため、学校・家庭・地域が積極的に児童・生徒の食育を推進する必要があります。教材として学校給食を活用し、児童・生徒の食に関する理解を深めるとともに、望ましい食習慣の形成を図ります。 (1)学校体育等の充実  ○ 児童・生徒の更なる体力の向上および健康の保持増進が必要となっています。そのために、運動に親しみ運動能力が高まるように学校体育の内容を充実していきます。 また、幼児期から運動やスポーツに親しむ習慣や、運動への意欲を育成するための取組を検討します。  ○ 遊びを通じた体力づくりや、自己の体力や技能の向上を確認できる活動を授業の中に位置付けることなどにより、生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するための素地を培います。  ○ 休み時間中の運動の取組や、運動部に所属していない生徒への運動の場の創出などを通じて、全ての児童・生徒の運動機会をより多く確保します。  ○ 校長、副校長、主幹教諭等の教員で構成された体力向上検討委員会を開催し、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果分析をはじめ、児童・生徒の健康増進および体力の向上を図るための取組を検討し、推進していきます。 (2)児童・生徒の食育の推進  ○ 区では、食育基本法に基づき、同法が目標とする、健全な心身を培い、豊かな人間性を育むための「食育」を推進することを目的に、平成 19 年度に「練馬区立小・中学校における食育推進計画」を策定しました。平成 28 年度には計画期間を5年間とする第3次計画を、令和3年度には第4次計画(令和4年度〜令和8年度)を策定し、継続的に取組を推進しています。  ○ 本計画は、「練馬区立小・中学校における食育の目標」を達成するために、学校における食育の充実」、「学校給食の充実」、「学校・家庭・地域が連携した食育の推進」の3つの基本方針を定め、具体的な取組内容を掲げています。  ○ 校長、副校長、主幹教諭等の教員と、食に関する専門性を有する栄養教諭、栄養職員等とで構成された食育推進チームを全校に設置し、本計画および食に関する指導の全体計画に基づき、着実に食育を推進しています。  ○ 地場産物(キャベツ、練馬大根等)を使用した全校一斉の学校給食を提供するなど目の前の食材を「生きた教材」として活用することで、食文化や食料事情等への理解を深められる取組を積極的に行っています。 7 タブレット端末などを活用した ICT 教育やオンライン学習を通して、子どもたち一人ひとりに届く教育を実現します。 練馬区学校ICT環境整備計画に基づき、令和元年度に全普通教室に大型提示装置(電子黒板)や実物投影機、教室用パソコン等を配備しました。 また、コロナ禍による国のGIGAスクール構想の加速化により、区では計画を前倒しして、全区立学校の児童・生徒に対し、令和2年度に一人一台のタブレットパソコンの配備を完了しました。学習者用デジタル教科書については、令和4、5年度に英語等一部の教科において、文部科学省の検証事業に参加し、6年度から本格導入しています。 今後は、より効果的な授業が行えるよう、教育内容、通信環境を強化充実していく必要があります。 また、時間や場所の制約がない電子図書館の導入により、子どもたちが学校や自宅等で気軽に様々な書籍と触れ合える機会を提供します。小・中学校のWi-Fi化工事完了後から一度に何人も同じ本を読むことができるコンテンツを導入し、朝読書や調べ学習等に活用します。 (1)ICT を活用した教育内容の充実【アクションプラン掲載事業】  ○ 令和7年度の教科書改訂にあわせて、指導者用のデジタル教科書を導入し、効果的な学習を行います。  ○ 学習者用のデジタル教科書の導入等に備えて、学校内のネットワークをWi-Fi化(無線化)し、通信環境を強化します。  ○ 児童生徒用・教員用タブレットパソコンを更新し、運用課題を踏まえ、扱いやすく、壊れにくいものにします。 (2)電子図書館の実現に向けた取組の推進【アクションプラン掲載事業】  ○ 全児童生徒へ配備しているタブレットパソコンを使って読書活動等を推進します。 8 学校図書館を活用した探究的学習や読書活動の充実を図ります。 平成 26 年7月に学校図書館法が一部改正され、平成 28 年 11 月には文部科学省から学校図書館の整備充実を図るため「学校図書館ガイドライン」が示されました。令和2年度から小学校、令和3年度から中学校で全面実施となった学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の実現が重要視されており、学校図書館の図書資料等を活用して調べ、まとめ、発表する学習活動にこれまで以上に取り組んでいくことが求められています。そのため練馬区では、適切な蔵書管理を行うとともに、学校図書館の利活用が一層進むよう全区立小・中学校の学校図書館に蔵書管理システムを導入しました。 また、令和7年3月に策定した第五次練馬区子ども読書活動推進計画に基づき、学校と区立図書館との連携の充実等、子どもの読書活動推進に向けた取組を進めています。学校と区立図書館とが連携を進め、全学校の学校図書館の資料を充実させることで、学校図書館の機能を強化し、探究的学習や読書活動の充実を図ります。 (1)学校司書の全校配置【アクションプラン掲載事業】  ○ 学校図書館が担う「読書センター」「学習センター」「情報センター」の3つの機能の充実を図ります。  ○ 学校図書館の活用により、情報活用能力を育成し、発達段階や子どもの興味・関心に応じた学びを充実することで、児童・生徒の「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指します。  ○ 平成 29 年度に学校図書館管理員または学校図書館支援員を全ての区立小・中学校の学校図書館に配置し、令和4年度からは学校図書館管理員に一本化することで業務内容を統一し、学校図書館の運営支援を強化してきました。  ○ 令和7年度からは、学校の教職員と協働して、さらなる運営の充実を図れるよう、学校図書館管理員に代えて司書資格等を有する派遣職員を学校司書として全校に配置します。  ○ 区立図書館と連携し、団体貸出、図書館情報や区立図書館の学校支援サービス等の提供により、学校における探究的な学習や読書活動の充実を図ります。 【その他の取組】 1 区立幼稚園の保育事業の実施  ○ 区立幼稚園において、在園児を対象に教育時間終了から16時50分までの預かり保育を引き続き実施します。 2 未就園児への支援  ○ 地域の未就園児やその保護者を対象に、幼稚園・保育所等で行っている子育て相談、園舎・園庭の開放や在園児との交流などの子育て支援の取組を継続して実施します。 3 学校選択制度の 活用  ○ 区立中学校選択制度により、生徒・保護者の意思を尊重するとともに、一人ひとりの個性や能力を伸ばすことができる個々の生徒に適した教育環境を提供していきます。 4 個に応じた指導の充実  ○ 児童・生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう、各学校の実態に即し、習熟度別少人数指導やティームティーチングによる個に応じた指導を充実させます。 5 学力調査の実施と活用  ○ 学習指導要領の目標および内容が、児童・生徒にどの程度定着しているかを把握するため、学力調査を実施し、その分析結果を授業改善に活用します。 6 体力調査の活用と分析  ○ 小学1年生から中学3年生までを対象とした新体力テストを実施してその結果を分析することにより、体育授業の改善等を進めます。 7 学校保健の充実  ○ 学校医、学校歯科医および学校薬剤師と連携し、児童・生徒の感染症対策、アレルギー対策、生活習慣病予防、口腔衛生の向上および薬物乱用防止等を推進します。 8 学校給食の充実  ○ 安全で安心な学校給食の提供、栄養管理、衛生管理、食材の安全確保、給食室の補修・改善などにより、学校給食の充実を図ります。  ○ 食物アレルギー対応や児童・生徒への給食指導など一層きめ細かな対応を行っていきます。 9 学校における読書活動の推進  ○ 朝読書など、各学校における多様な読書活動を推進するとともに、目的に応じて図書資料から情報を得るなどの児童・生徒の主体的な学習活動を展開します。  ○ 学校では、団体貸出の活用など区立図書館と連携した 教育活動や授業を計画的に実施します。 10 読書に親しむための施設や設備の充実  ○ 幼稚園および保育所等の図書室・図書コーナーならびに学校図書館の施設、設備、図書資料の充実を図ります。   ○ 区立図書館の大規模改修時等に合わせて子ども向けコーナーを充実するなど、利用しやすい環境を整備します。 11 環境教育の推進  ○ 児童・生徒が環境について総合的に学ぶことができる 教育を推進するために、体験を通じた環境教育を推進します。 12 キャリア教育の 推進  ○ 望ましい職業観・勤労観を培うために、発達段階に応じたキャリア教育を、義務教育9年間を通して進め、児童・生徒が、自分自身の生き方を考え、将来に向けた夢や希望を持てるようにします。 重点施策2 教員の資質・能力の向上  【取組内容および主な取組】 1 子どもたちの良さや伸びようとする力を引き出す教員を育成します。 教員は、子どもたちの心身の発達に関わり、人格形成に大きな影響を与えます。教員が、次代を担う子どもたちを健全に育成していく役割を十分に果たすためには、その資質・能力を継続的に向上させていく必要があります。 そこで、職層や経験年数に応じた研修の実施や、意欲と能力のある若手教員の育成など、教員の資質・能力の向上に取り組みます。 (1)若手教員の育成の強化【アクションプラン掲載事業】  ○ ベテラン教員の大量退職、35 人学級編制の実施等に伴い、新任教員の大量採用が見込まれます。経験の少ない教員に対する校内研修が計画的に実施されるよう、各学校の取組を支援します。  ○ 経験の少ない教員への個別指導・助言を行う教育アドバイザー(退職校長)の配置を順次拡大します。  ○ 教員の職層や経験年数に応じた研修を充実させるとともに、自主的研究活動を奨励します。 2 授業力や生活指導の力はもちろん、いじめ・不登校をはじめ、様々な問題に対応する力を身に付けるため、研修等により教員の資質・能力の向上を図ります。 教員が身に付けるべき力は、授業力だけでなく、生活指導力・進路指導力、外部との連携・折衝力など多岐にわたります。 また、いじめ・不登校や急速に普及した ICT の活用など多種多様な課題への対応力が求められています。そこで、教育委員会が実施する各種研修の内容の改善・充実を図り、教員の対応力向上を図ります。 (1)教育課題に応じた教員研修の充実  ○ 新たな教育課題への対応力を身に付ける教員研修の質や内容の向上を図るとともに、国や東京都が実施する研修の受講を勧奨します。 3 ICT 機器を有効に活用して効果的に学べる授業を実現するために、教員の機器の活用能力の向上を図ります。 ICT を効果的に活用した学習を進め、児童・生徒一人ひとりに応じたきめ細かな教育活動を推進するためには、教員の ICT 機器活用能力の向上および学習活動の一層の充実が必要です。特に、教員間の活用能力の差が生じないように、教員全員がICT 機器を活用した効果的な授業ができるよう取組を進めます。 (1)教員全体の ICT 活用能力の向上【アクションプラン掲載事業】  ○ 「教育 ICT 実践事例集」等の活用により、効果的な実践事例を全校で共有します。各校で選任した全校の ICT 活用推進リーダーに対し、校内への還元研修を目的とした活用事例の研究や活用研修を実施しています。各校ではリーダーを中心とした校内・各地域の研修体制を構築していきます。 また、リーダー相互の連携を図り、情報を共有し合い、各校での取組の進展を図ります。  ○ ICT 支援員によるサポート体制等を整え、教員の ICT 活用能力向上を図ります。  ○ 各校においてICT活用推進計画を年度ごとに策定し、ICTを活用した授業や校務の効率化を実施します。 4 教員が子どもたちと向き合う時間を増やします。 教員の指導力向上を図る必要がある一方、学校を取り巻く環境が複雑化・多様化し、教員に求められる役割が拡大する中、教員の業務量の多さが課題となっています。区においては、教員サポート人材や部活動指導員の配置、学校徴収金管理システムの導入などの取組を進めてきましたが、国や都において、外部人材の活用や ICT の推進等による教員の負担軽減のための更なる改善策の検討が進められています。 こうした動向を踏まえ、教員の事務処理等の業務負担を軽減し、教員が子どもたちと向き合う時間を確保し、児童・生徒一人ひとりに応じた指導の充実を図ります。 (1)教員の働き方改革【アクションプラン掲載事業】  ○ 小・中学校の教員の負担軽減を図るため、教員をサポートする人材の配置を拡大します。  ○ 中学校の部活動において専門的な技術指導を行う「部活動外部指導員」の配置を継続します。校外の大会への引率等、顧問教員に代わって技術指導以外の活動もできる「部活動指導員」の配置を順次拡大していきます。 (2)部活動の地域移行【アクションプラン掲載事業】 ○ 国は令和5年度から7年度までの3年間を休日部活動の地域連携・地域移行の改革推進期間と位置付けました。休日部活動の地域移行を検討するため、関係部署を交えた検討会議を設置します。 (3)ICTを活用した校務改善【アクションプラン掲載事業】 ○ 学校内ネットワークをWi-Fi化し、校務用パソコンの一斉更新に合わせて、利用環境を見直します。また、これまで所定の用紙で保存していた指導要録・保健帳票の諸表簿を電子化するなど、成績管理や教材準備等における学校業務の効率化を進めます。 【その他の取組】 1 校内研修・研究の 充実と成果の活用  ○ 指導主事等が訪問し、学校ごとに行う教員の指導力向上を図るための校内研修・校内研究を支援します。 2 実践的な教員研修の実施  ○ 区が独自に実施する教員研修をより実践的なものにします。 3 学校教育関係団体への助成  ○ 区立小・中学校の児童・生徒が参加する音楽鑑賞教室などの連合行事や、教職員の研修を実施する小学校教育会、中学校教育研究会などの学校教育関係団体への助成を行います。 4 授業改善推進プランに基づくPDCAサイクルの確立  ○ 基礎学力の定着を図るため、各学校において、児童・生徒の実態を踏まえた授業改善推進プランを作成し、年間を通したPDCAサイクルの確立による授業の見直しや指導方法の改善を進めます。 5 教育活動における外部人材の活用  ○ 多様な知識・経験等を有する外部の人材を積極的に活用し、教育活動の充実を図ります。 6 教育課程の工夫  ○ 教育課程の適正な編成・実施・評価・改善に向け、各校への指導・助言体制の充実を図ります。  ○ 教育の質の向上および授業時間数の確保等を目的として、各校の実態に応じた教育課程の工夫を支援します。 7 学校徴収金管理システムの運用  ○ 学校徴収金の保護者からの集金および事業者への支払を管理するシステムの運用により、事務の効率化を図り、教職員の負担を軽減します。 重点施策3 学校の教育環境の整備 【取組内容および主な取組】 1 学校の建物や設備の改修・改築を計画的に進め、子どもたちの学ぶ環境を整えます。 練馬区には区立小学校が 65 校、中学校が 33 校の合計 98 校があります。これらの多くは昭和 30 年代から 50 年代の人口急増期に建設したもので、その半数以上が築 50 年以上経過し老朽化が進んでいます。児童・生徒にとって安全で快適な教育環境を保持するため、計画的に改築・改修を進めていく必要があります。 (1)小中学校の改築等の推進【アクションプラン掲載事業】  ○ 区立施設の総合的なマネジメントの方針である「練馬区公共施設等総合管理計画(平成 29 年3月)」に基づき、その個別計画として「練馬区学校施設管理基本計画(平成 29 年3月)」とその具体的な取組を定める「練馬区学校施設管理実施計画(平成 31 年3月)」を策定しました。その後、小学校における35人学級編制の拡大、築50年を経過した学校に行った長寿命化の適否の調査や、避難拠点の運営上課題がある2階以上に設置した体育館を1階に配置した場合のシミュレーションの結果等を踏まえ、練馬区学校施設管理実施計画の中間見直しを令和6年3月に行い、改築、長寿命化改修等に取り組んでいます。  ○ 築 50 年を超えた学校施設については順次、長寿命化の適否を判断しています。長寿命化に適する施設は、原則として、築 60 年を目途に改修を行い、目標使用年数を 80 年としています。  ○ 学校施設の改築については、「80 年(長寿命化に適さない学校は 60 年)を迎える学校」を基本とし、学校の適正配置、小中一貫教育校の設置等の検討状況を踏まえ、総合的な観点から概ね年2校ずつ改築実施校を選定していきます。改築にあたっては新たな教育需要への対応とともに、学校施設の標準化を行い、シンプルかつコンパクトな施設を目指します。 長寿命化改修を実施する学校施設についても、概ね年1〜2校程度、順次、着手していきます。  ○ 令和6年3月に策定した「練馬区公共施設等総合管理計画〔実施計画〕(令和6〜8年度)」では、令和6〜10年度に改築・長寿命化改修に着手する学校を年1〜2校ずつ選定しました。 (2)小中学校体育館等の空調設備の整備【アクションプラン掲載事業】   ○ 児童・生徒の熱中症対策とともに、学校は災害時における地域の避難拠点としての役割を担うことを踏まえ、既存の小・中学校体育館に空調設備を整備します。併せて、体育館改築時にも同様に空調設備を整備します。今後は、老朽化の進む普通教室の空調設備の更新や中学校武道場への空調設備の整備に取り組みます。 (3) 小中学校トイレの改修【アクションプラン掲載事業】  ○ 児童・生徒にとってより快適な環境を整備するため、小・中学校のトイレ改修(便器洋式化、床ドライ化、配管取替、バリアフリー化等)を進めます。平成 29 年度までに全小・中学校の1系統目の改修を終了しました。今後は、未改修の2系統目以降のトイレについて整備を進めていきます。 2 区立学校の適正配置に努め、学校規模によって教育内容に差が生じないようにします。 集団活動や行事が活発に行われ、児童・生徒が様々な人との関わりの中で学び、成長していくためには、学校には一定の児童・生徒数と学級数が必要です。 過小規模校では、集団生活の良さが生かされにくく、交友関係が固定化しやすくなります。 また、教員は学級数に応じて配置されるため、教員が少ないことにより授業改善の取組や部活動が制限される場合があります。 一方、過大規模校では、教室・体育館・運動場などの施設面に余裕がなく、少人数指導などの学習面や運動会などの行事面で支障が生じることがないよう、配慮する必要があります。 今後の児童・生徒数の動向や施設の改築時期、35人学級編制の実施、小中一貫教育の取組等を踏まえ、学校の適正規模を確保し、児童・生徒が良好な教育環境の中で学び、成長することができるよう、学校の適正配置を進めていきます。 (1)区立学校の適正配置【アクションプラン掲載事業】  ○ 「第二次区立小・中学校および区立幼稚園の適正配置基本方針」で示す区立小・中学校の適正配置の考え方に基づき、実施計画を策定のうえ進めていきます。 3 教育活動に支障がない範囲で学校施設を有効に活用します。 学校施設は教育施設であるとともに、地域において最も身近な公共施設です。学校施設と周辺の区立施設を複合化することにより、区民サービスの向上や区全体の改築・改修費用の抑制を図ります。 一方で、今後の児童・生徒数の動向や児童・生徒一人当たりの校地面積、校地の形状など学校ごとに違いがあることから、改築の際に学校運営や教育活動に配慮して周辺区立施設との複合化を検討します。 (1)学校施設と周辺区立施設の複合化  ○ 学校運営や教育活動に配慮して、学校と周辺区立施設の複合化を検討します。 4 一人ひとりに応じたきめ細かな教育を実現するため、学級編制等のあり方について、国等の動向を注視しながら検討を進めます。 一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制と、安全・安心な教育環境を整備するために、公立の小学校の学級編制の標準を 40 人から 35 人に引き下げる改正法が令和3年4月に施行されました。令和3年度に2年生を 35 人以下とし、5年間かけて段階的に6年生まで引き下げ、令和7年度には全ての学年で 35 人学級となる予定です。増加する学級数に応じて、必要となる普通教室数を確保していきます。 (1) 児童数の推計に基づく普通教室の確保  ○ 法改正を踏まえて、今後の児童数について複数年にわたり推計を行い、その結果を踏まえ、普通教室を計画的に確保していきます。  ○ 推計の精度を高めるため、推計方法を必要に応じて見直します。 【その他の取組】 1 学校環境衛生の充実  ○ 換気、採光、照明および水質等の学校環境を適正に保つため、学校環境衛生基準に沿った検査を実施します。  検査の結果により学校薬剤師による指導や助言を受け、改善を図ることにより学校環境衛生を一層充実させます。 2 みどり豊かで環境に配慮した学校づくりの推進  ○ 学校の緑化を推進するとともに、環境への負荷が少なく、快適で、みどり豊かなうるおいのある学校環境を整備していきます。  ○ 屋上緑化、壁面緑化など、児童・生徒がみどりに親しみながら緑化意識を育むことのできる学習環境を目指していきます。 3 校具等の更新  ○ よりよい教育環境を整備するため、机や椅子等の学校運営上必要な校具等について、老朽度の高いものから順次新しいものにしていきます。 取組の視点2 家庭や地域と連携した教育の推進 家庭教育は教育の原点です。豊かな人間性や人としてのよりよい生き方は、家庭生活の中で育まれ、地域社会での様々な人々との交流によって身に付けることができます。 そのために、家庭教育を支援し、地域社会や関係機関、学校と一体となって子どもたちの健全育成を進めることが必要です。 重点施策1 家庭教育への支援 【取組内容および主な取組】 1 学校や教育委員会がオンラインの活用を通じて様々な情報を家庭に提供するなど、多様な家庭教育支援を行います。 家庭教育は、子どもの基本的生活習慣や、他人に対する思いやり、善悪の判断、自立心や自制心、社会的なマナーなどの「生きる力」の基礎を育む上で重要な役割を果たすことが期待されています。一方、少子化や核家族化の進行等、子どもや子育てをめぐる環境が大きく変化する中で、悩みや不安を抱える子育て家庭の増加や、家庭における子育て機能の低下が指摘されています。子どもの健全な育成を進めるために、家庭の教育力の向上や保護者の子育ての悩みの軽減につながる取組を実施していきます。 (1)家庭教育支援事業の実施  ○ 家庭教育支援事業に係る関係部署で構成する家庭教育支援事業推進会議を設置し、家庭教育を支援していくための事業を実施しています。  ○ 児童生徒用タブレットパソコンなど、オンラインを活用した家庭教育支援の情報発信を行い、保護者と子どもが共に学ぶ機会を提供します。  ○ 保護者対象の講演会を開催し、保護者が抱える様々な子育ての悩みや不安の解決や解消を図ります。  ○ 5歳児の保護者が就学に向けて抱えている不安や心配を解消できるよう、オンライン配信による講演会を行います。  ○ 「教育だより」では、家庭に向けての提案や家庭内での話題となるような内容を掲載しています。 2 家庭と、学校・教育委員会が協力しながら、問題を解決できる体制を強化します。 近年、育児不安など児童相談件数は増加傾向にあります。その背景には、少子化や核家族化などによる育児の孤立化や、経済的な問題などの社会環境が年々厳しくなっていることがあります。ネグレクト(育児放棄)などの児童虐待、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもへの対応のように、学校の対応だけでは解決困難な問題を抱えている家庭もあり、そうした家庭を支援するためには、学校・教育委員会をはじめ関係機関が連携して対応していく必要があります。 引き続き、子どもに対する総合的かつ切れ目のない支援を効果的かつ効率的に展開するため、教育・保育・福祉・保健等を所管する関係機関相互の連携を強化していきます。 (1)関係機関の連携の強化  ○ 要保護児童対策地域協議会を通じ、子ども家庭支援センター、学校教育支援センター、学校、こども発達支援センター、総合福祉事務所、保健相談所、幼稚園、保育所等の連携を強化し、子育て家庭への総合的な相談・支援体制の充実を図ります。  ○ 児童虐待は、早期発見・早期対応が重要であることから、学校や保育園などへの巡回支援体制を強化し、不登校や身体状況などの虐待の兆候を早期発見し、情報の共有、適切な対応へつなげるため、関係機関相互の連携体制を強化します。 【その他の取組】 1 家庭教育の奨励  ○ 地域で活動している団体等に企画・運営を委託し、「子育て学習講座」、「ねりまイクメン講座」等を開催しています。家庭や地域における子どもの教育等について学習する機会を提供することで、家庭教育を奨励していきます。 重点施策2 学校運営や教育活動における家庭や地域との協働 【取組内容および主な取組】 1 子どもたちの安全を守るため、学校・保護者・地域の連携をさらに強化します。 近年、全国で登下校中に児童が連れ去られたり、スクールバスを待っていた児童と保護者が切り付けられ、命を落とす痛ましい事件が発生しています。 また、練馬区においても児童・生徒に対する不審者情報が年間100件以上寄せられています。 児童・生徒が安心して学校生活を送れる環境をつくるには、行政による取組だけでは限界があり、学校、保護者、地域との連携が不可欠です。このため、引き続き、授業時間中や登下校時における安全対策に取り組むとともに、より地域等と連携した児童・生徒の安全対策を実施していきます。 (1)学校安全対策の充実【アクションプラン掲載事業】  ○ 保護者を中心とした地域の方々と教職員を対象に、教育委員会配置の学校防犯指導員による不審者対応訓練を行っています。また、万が一不審者が学校に侵入した場合でも被害を出さないよう、警察と連携した110番通報訓練、非常通報装置(学校110番)を使用した訓練や刺股等の防犯器具を使用した訓練を行っていきます。この取組を充実することで、児童・生徒の安全対策に関する地域の方々と教職員の知識・関心を高め、学校、保護者、地域と連携し、地域社会全体で子どもの安全を見守る体制づくりを推進します。  ○ 不審者の発生により重点的な見守りが必要とされる学校について、民間警備員を派遣し、登下校時の見守りおよび周辺の巡回を行い、児童・生徒の安全を確保します。  ○ 全小学校 65 校の通学区域に 325 台、全中学校 33 校の通学区域に 66 台の計 391 台設置した防犯カメラを活用するとともに、学校・保護者・警察等と合同で行っている通学路点検に子どもの視点も取り入れる工夫をするなど、登下校時の安全対策の充実を図ります。  〇 学校への不審者の侵入を未然に防ぐため、各校の主たる門扉に電気錠を設置します。 2 家庭・地域の学校教育への参画を促進し、地域社会との協働による学校運営を目指します。 児童・生徒への対応が多様化・複雑化する中で、学校だけでは解決することが困難な課題が増加しています。家庭や地域との連携を一層進めることで、教育活動の充実および発展を図ります。 また、多様な知識・経験を持つ地域の人材を活用した教育活動を展開することで、特色ある学校づくりを進めます。 家庭・地域と連携した教育活動を更に充実させるために、これまで行ってきた「学校・地域連携事業」のあり方を検証し、練馬区ならではの家庭や地域と協働した学校運営について研究していきます。 (1)地域未来塾の拡大  ○ 平成 28 年度から、地域の多様な人材を活用し、学校の教育活動の充実を図る「学校・地域連携事業」を実施しています。実施校には、学校のニーズを把握し、人材の発掘・調整等を行う学校支援コーディネーターの配置を開始しました。平成 30 年度には、全幼稚園・小中学校・小中一貫教育校にコーディネーターの配置を完了しました。令和2年度には、区内のコーディネーターの育成や連絡調整を行う統括コーディネーターを配置し、更なる推進を図っています。  ○ 国際理解、環境、福祉などの分野における教育指導や地域交流において、人材を積極的に活用し、各学校や児童・生徒の実態や地域の特性に応じた特色ある取組を進めます。  ○ 「学校・地域連携事業」の一環として、教員や大学生などの協力を得て、放課後等に学習指導を行う「地域未来塾」を実施しています。 (2) 地域と協働した学校運営【アクションプラン掲載事業】  ○ 学校と地域が学校の目標や課題を共有し、一体となって子どもたちを育てていくため、区立小学校2校、中学校1校で学校運営協議会制度を導入しました。また、新たに学校運営協議会制度の実証校を指定し、効果検証をしながら導入校を拡大していきます。  ○ 地域からのより幅広い協力が得られるよう、教育活動への協力を希望する地域人材を登録する「学校サポーター登録制度」(人材バンク)を拡大させていきます。 3 子どもたちが身近な地域社会で様々な体験学習ができる環境を整えます。 練馬区では、全ての小・中学校で、各教科や総合的な学習の時間等の中で身近な地域社会と連携した体験学習に取り組んでいます。体験学習は、学ぶことの楽しさや達成感を通じて主体的に学習に取り組む能力を身に付ける上で有効です。 また、家庭や地域の人々と共に子どもたちを育てていくという視点に立ち、身近な地域と連携して教育活動を行うことは、学校内外を通じた子どもたちの生活の充実と活性化につながります。 引き続き、子どもたちが人との関わりを大切にしながら、自立して社会を生きていく力を育むことができるよう、地域行事やボランティア活動への参加など、体験活動の機会を増やしていきます。また、子どもたちが地域の特色・伝統文化への理解を深め、地域に対する愛着や誇りを持つことができるよう取組を推進します。 (1)地域行事への参加の促進   ○ 各小・中学校の全ての教育活動において、実践的・体験的に学ぶ企画を適切に設定し、実感や共感を伴った学習成果を得られるよう工夫していきます。  ○ 青少年育成地区委員会の活動の活性化と地区の活動に応じた事業運営を支援するため、委員等への研修会や青少年委員会による地域懇談会の充実を進めます。  ○ 青少年育成地区委員会および青少年委員会と学校の連携を強化し、地域の特色を活かした事業を進めていきます。 また、児童・生徒が、様々な事業の企画運営に参加できるよう支援していきます。 (2)伝統・文化への理解の促進  ○ 児童・生徒が地域や日本の伝統・文化への理解を深め、郷土や国に対する愛着や誇りを持つことができるよう、区独自の地域教材を活用するなど、各小・中学校の創意工夫により、特色ある教育活動を推進します。  ○ 国語・社会・道徳等の複数の教科において、それぞれの教科の学習内容に則して地域や日本の伝統・文化に触れる学習機会を設けるとともに、相互に関連付けながら学ぶ教科横断的な学習を実施しています。また、専門家派遣事業等も活用し、子どもたちが伝統芸能や伝統的な技術などに接する場を設け、地域や日本の伝統・文化への理解の促進を図ります。 (3) 農業者と連携した体験学習の充実  ○ 練馬区の特色である、都市農業を活かした体験学習を小学校で拡充します。  ○ 都市農業の教育活動への活用を推進するために、小学校における学習モデルを作成します。希望する小学校には農業者を紹介するなどのマッチングを行い、令和5年度末に全区立小学校において農業者と連携した体験学習を実施しました。今後も、各小学校において農業者と連携した体験学習を実施します。 (4) 校外学習の見直し・充実  ○ 校外学習の安全な実施とともに少年自然の家の老朽化等を踏まえ、校外学習(移動教室・臨海学校)や校外学習施設のあり方等の見直し・充実に向けた検討を進め、方針を策定しました。令和4年度から新方針に基づき、中学1年生を対象とした臨海学校を廃止し、イングリッシュキャンプを実施しています。  ○ 小学5・6年生移動教室は、体験活動がより充実した内容になるよう検討を行い、令和4年度から新たな体験活動を実施しています。  ○ 下田少年自然の家は、臨海学校の廃止とともに、改築を含めた今後の維持管理に必要な費用等について総合的に検討した結果、令和4年度末をもって廃止しました。 【その他の取組】 1 大学との連携の強化  ○ 教員を目指す学生に対し、インターンシップ(就業体験)を今後も積極的に実施し、大学との連携を推進します。  ○ 区立小・中学校において放課後学習の補助や部活動の指導等を行う学生ボランティアの募集を推進します。 2 交通安全教育の推進  ○ 自転車の安全な利用の仕方および安全な歩行等について、定期的な安全指導のほか、保護者の協力を得て開催する交通安全教室などを通して徹底を図ります。 3 情報モラル教育の推進  ○ 全区立小・中学校において、児童・生徒および保護者を対象としたインターネットや携帯電話等の使用に関する情報モラル講習会を実施します。 4 学校安全安心ボランティア事業の推進  ○ 小学校において、保護者や地域住民に、ボランティアとして来校者への声かけなどの活動をしてもらうことにより、児童の安全性を高めるとともに、ボランティアと児童との交流を促進します。 5 緊急時連絡体制の整備  ○ 緊急時における多様な連絡手段を確保するため、区立の小・中学校、幼稚園、学童クラブおよび保育所等の保護者を対象とする保護者向け情報伝達サービス等の登録者数をさらに増やし、各施設と保護者との連絡体制の充実を図ります。 6 防災教育の推進  ○ 各学校において、児童・生徒の発達段階に応じて危機管理意識を向上させ、実践力を身に付けられるよう計画的な防災指導を行うとともに、学校防災計画を定期的に見直していきます。 7 学校応援団・開放等事業の推進  ○ 学校応援団と協働し、学校開放事業などの地域の人材を活かした事業を進めるほか、学校施設の積極的な地域 活用を図ります。 8 練馬型放課後児童対策事業「ねりっこクラブ」の推進  ○ 小学校の施設を活用して、「学童クラブ」と「ひろば事業」のそれぞれの機能や特色を維持しながら、事業運営を一体的に行う「ねりっこクラブ」を実施しています。保育を必要とする児童を対象とした「ねりっこ学童クラブ」と、実施校の児童であれば誰でも利用できる「ねりっこひろば」があり、児童の成長などにあわせて選択することができます。全ての小学生が安全で充実した放課後や長期休業を過ごすことができる環境を整備するため、「ねりっこクラブ」の早期全校実施を目指します。 9 青少年の育成と活動の機会の提供  ○ 青少年が様々な年齢の人と交流し、実際の体験を通して自立心や社会性を養えるよう、活動の機会と場を提供します。また、将来的に地域活動を担うことができる取組を、地域の団体と連携して行っていきます。  ○ さらに、若者が企画・運営に携わる事業も充実します。 10 学校経営計画に基づく学校経営の充実  ○ 各学校において、家庭および地域の意見や要望を踏まえて策定した学校経営計画に基づき、組織的、計画的、  継続的な教育活動を展開し、学校運営を改善・充実させていきます。 11 学校評議員制度や学校運営協議会制度を活用した学校経営の改善  ○ 保護者や地域の方々から意見を広く聞く学校評議員制度や地域の様々な人材との連携による教育活動および地域活動を展開する学校運営協議会制度により、地域や社会に開かれた学校づくりを一層推進していきます。 取組の視点3 支援が必要な子どもたちへの取組の充実 子どもたちが、生まれ育つ環境や障害の有無に関わらず、等しく公平に、質の高い教育が受けられる環境を整えることが大切です。 いじめは、人間として絶対に許されない人権侵害です。また、不登校などにより、子どもたちが夢や目標に向かって学ぶ機会が失われることがあってはなりません。迅速で的確な対応が必要です。 重点施策1 いじめ・不登校などへの対応 【取組内容および主な取組】 1 いじめ・不登校などに対して、未然防止・早期対応につながる効果的な取組を学校、教育委員会、関係機関が一体となって進めます。 いじめ問題への対応にあたっては、いじめは人間として絶対に許されない人権侵害であることを基本姿勢とし、未然防止・早期発見・早期対応が重要であるという認識のもと、「練馬区教育委員会いじめ問題対策方針」を策定しています。この方針に基づき、学校(園)、保護者、地域、教育委員会が連携して、いじめの防止に向けた対策を一層推進していきます。 区では、不登校児童生徒への支援に対する国の考え方や児童生徒を取り巻く環境の変化などに対応するとともに、令和3年度から令和4年度にかけて実施した「練馬区不登校に関する実態調査」の結果を踏まえ、令和5年8月に「練馬区教育委員会 不登校対策方針」を改定しました。 本方針では、「児童生徒が将来的に精神的にも経済的にも自立し、豊かな人生が送れるよう、その社会的自立に向けた支援を行うこと」を不登校児童生徒への支援の目標に掲げ、その目標に対して「安心できる学校づくり」「早期支援の実施」「多様な支援の実施」の3つの方向性から取り組みます。   (1)教育相談体制の充実   ○  心のふれあい相談員の全校配置を継続するとともに、研修を通じて教職員の専門性を高め、引き続き校内相談体制の充実に努めます。  ○ 学校教育支援センターを教育相談の拠点とし、学校教育支援センター(教育相談室、トライ・フリーマインド)、学校、子ども家庭支援センター、こども発達支援センター、総合福祉事務所、保健相談所などの関係機関の連携を推進します。  ○ 区内4か所の教育相談室(光が丘、練馬、関、大泉)において、今後も、教育相談体制の充実に努めます。  ○ 令和5年度から児童生徒用タブレット等からチャット形式で悩みをカウンセラーに相談することができる「ねりまホッとアプリ+(プラス)」の運用を開始し、児童生徒の相談環境を整えています。 (2) いじめ撲滅に向けた取組の強化  ○ あらゆる学校関係者がいじめについて考え、「いじめをしない」「いじめを許さない」気運を高めていくための各学校における取組を推進するとともに、いじめ防止の実践事例を発表する「練馬区教育実践発表会」等の内容を充実させます。  ○ いじめはどの児童・生徒にも、どの学校(園)にも起こり得るとの認識のもと、子どもの細やかな状況把握に努めるとともに、いじめが発生した場合は速やかに組織的対応を行います。  ○ 「学校いじめ対策推進教員」を校内に配置し、学校のいじめ対応に関する組織力の向上を図ります。  ○ 「いじめ防止対応研修会」を開催し、学校いじめ対策推進教員やいじめについての課題を抱える学校の教員を対象に、対応力を高める研修を行います。  ○ 平成 28 年に策定した「SNS練馬区ルール」に基づき、携帯電話やインターネットによるいじめの未然防止を徹底するとともに、「SNS学校ルール」や「SNS家庭ルール」づくりについて啓発していきます。  ○ 「いじめ防止研修資料」および「いじめ対応フローチャート」等を周知し、いじめの未然防止、早期発見および適切な対応に向けた校内研修会の充実を図ります。 (3)不登校対策の充実【アクションプラン掲載事業】  ○ 令和4年度末における不登校の児童・生徒数は1,386名でした。不登校は、取り巻く環境によっては、どの児童・生徒にも起こり得るものという認識のもと、こうした子どもたちを支援するため、保護者・教員への助言、家庭訪問、家庭・学校・関係機関のネットワークの構築などを担うスクールソーシャルワーカーを配置し、不登校の児童・生徒一人ひとりの状況に応じた支援の充実を図ります。また、学校内に学級以外の居場所をつくることで、個別支援の充実を図ります。 2 早い段階から専門的知識をもつ人材を活用して、いじめ問題の解決にあたります。 いじめ問題は初期対応が極めて重要であり、対応を誤ると問題解決が長期化・困難化する懸念があります。そこで、令和3年度から導入したスクールロイヤー制度を活用し、教員に初期対応への的確な助言を行うなど、弁護士の専門的知識や経験により、学校を支援していきます。 また、教員向けの研修を実施し、いじめ問題について教員の対応力の向上と意識啓発を図ることで、事態の重大化、長期化を防止します。 (1)スクールロイヤー制度の活用  ○ 令和3年6月に4地区に分け(練馬、光が丘、石神井、大泉)、それぞれに1名の担当弁護士を配置しました。学校からの相談に適切かつ迅速に対応できる体制を構築しています。  ○ 区立小・中学校長・園長等を対象とした、学校(園)における法律問題への対応に関する研修を実施します。 3 不登校児童・生徒の学習機会を保障するため、適応指導教室(トライ・フリーマインド)を充実するとともにICT 機器の活用を図ります。 トライ・フリーマインドでは、不登校児童・生徒の心の安定を図るための相談活動や体験活動、小集団学習などの学習支援を通じ、社会的な自立ができるよう、一人ひとりにきめ細やかに対応しています。令和6年度には学校教育支援センター石神井台を開設しました。引き続き、不登校児童・生徒の学習機会を保障するため、トライ・フリーマインドを充実していきます。 また、今後は、トライ・フリーマインドの通室や自宅から外出することが困難な児童・生徒等への学習機会を保障するため、タブレットパソコン等を利用して、令和3年度から開始しているオンライン相談・学習など、ICT機器を活用した学習支援を充実します。 (1)ICT を活用した相談・学習支援の実施【アクションプラン掲載事業】  ○ トライ・フリーマインドへの通室や自宅から外出することが困難な児童生徒等への学びの機会を充実させるため、タブレットパソコン等を利用して、令和3年度から開始しているオンライン相談・学習を充実させます。 4 不登校児童・生徒の実態を詳細に調査し、より効果的な不登校対策に取り組みます。 令和3年度から令和4年度にかけて実施した「練馬区不登校に関する実態調査」の結果を踏まえ、令和5年8月に「練馬区教育委員会 不登校対策方針」を改定しました。方針で掲げた「児童生徒が将来的に精神的にも経済的にも自立し、豊かな人生が送れるよう、その社会的自立に向けた支援を行うこと」という目標に向け、これまでの取組について分析と検証を行い、より効果的な不登校対策に取り組みます。 (1)不登校対策の見直し  ○ 「練馬区不登校に関する実態調査」の結果を踏まえ、不登校対策を見直します。 重点施策2 さまざまな家庭環境で育つ子どもたちへの支援 【取組内容および主な取組】 1 家庭環境などにより、様々な問題を抱える子どもたちや家庭に対し、福祉や保健などの関係機関が相互に協力して、一人ひとりにあった生活支援や学習支援を行います。 経済面や健康面などの様々な課題を抱えている家庭の子どもへの支援を充実します。生活困窮世帯の児童・生徒の保護者に対して、学用品・通学用品費などを援助する就学援助制度により支援するとともに、中学3年生を対象として、将来の進路選択の幅を広げ、自立した生活を送ることができるよう、基礎学力の定着を目的とした学習支援を行います。 近年、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもへの対応が課題となっています。ヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげるため、実態調査や啓発、研修に取り組みます。また、教育、子育て、福祉などの各部門が連携した相談・支援体制を充実します。 (1)就学援助の実施   ○ 就学援助制度は、国立および公立の小学校もしくは中学校に在学している児童・生徒のうち、経済的理由により義務教育を受けることが困難な児童・生徒の保護者に、学用品・通学用品費などを援助することによって、教育の機会均等を図ることを目的としています。援助の支給対象者は、生活保護法第 13 条に定める教育扶助費を受けている保護者および教育委員会がこれに準ずると認定した保護者です。 区民の利便性の向上のため、令和5年度からオンライン申請を導入しました。 (2)学習支援事業「中3勉強会」の実施  ○ 経済的な支援を必要とする家庭の中学3年生を対象に、将来の進路選択の幅を広げるとともに、自立した生活を送れるよう、基礎学力の定着を目的とした学習支援を行います。 (3)ヤングケアラーへの支援の充実【アクションプラン掲載事業】  ○ ヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげるため、学校とスクールソーシャルワーカーの連携を強化します。ヤングケアラーチェックシートを活用し、関係機関が円滑に連携できるようにします。  ○ 子ども家庭支援センターでは、ヤングケアラーコーディネーターを4地域ごとに1名配置し、ヤングケアラーチェックシート等により把握した子どもの状況を踏まえ、必要に応じて、情報共有と支援の調整を図り、支援方針を決定します。  ○ 子どもが担っているケアの負担を軽減するため、支援が必要となる家庭へのヘルパー派遣事業を拡充するほか、介護保険法や障害者総合支援法に基づくホームヘルプ・ショートステイなどを活用し、福祉・教育・子育て等の関係者が連携し、一人ひとりに応じたきめ細かな支援につなげます。 2 外国人児童・生徒が教育を適切に受けられるよう、児童・生徒およびその家庭への支援を充実します。 外国人の子どもの保護者には、就学義務は課されていませんが、子どもたちの就学の機会を確保する観点から就学状況を把握しておくことが重要です。令和6年10月時点で、住民登録のある外国人児童・生徒 1,214名のうち、およそ9割の 1,184名は公立学校や外国人学校等に就学していることを把握しています。今後も、日本人児童・生徒と同様に、外国人児童・生徒に対して就学案内を行い、就学の機会を確保します。 また、区立小・中学校に通学する児童・生徒には、区立小中学校全98校へ配備した携帯翻訳機を活用することや日本語等指導講師を学校に派遣するなどの支援を行っていますが、文化や教育に関する価値観の違いにより、保護者も含め、学校生活に対する理解が不足している場合もあります。関係機関と連携し、支援の充実について検討を進めます。 (1)就学案内や就学先確認の充実   ○ 新小学1年生と新中学1年生に対し、区立学校への入学意思を確認する通知を送付します。  ○ 在学年の児童・生徒に対し、住民票の異動手続きを行う際に、区立学校への入学意思を確認します。  ○ 在学年の就学先不明者に対し、就学先を確認する通知の回数を増やします。また、通知文書の多言語化を進めます。 (2)日本語等指導講師派遣の実施  ○ 日本語の習得が不十分で学習に支障がある海外帰国児童・生徒および外国籍児童・生徒等を対象に、日本語への不安を取り除き、学校生活への適応を図るために、小・中学校に日本語等指導講師を派遣し、個別指導を行います。また、地域振興課が実施している「こども日本語教室」との連携を図っていきます。 重点施策3 障害のある子どもたちなどへの支援 【取組内容および主な取組】 1 子どもたちや教員が障害に対する理解をより深めるよう、取組を充実します。 障害の有無に関わらず、誰もが互いに尊重し合い、多様なあり方を認め合う社会を実現するために、学校教育においても障害理解を深める取組を進めます。 子どもたちに対しては、相互理解を深めることで一人ひとりの「心のバリアフリー」の実現を目指します。教員に対しては、特別支援教育に関する研修を実施するなど専門性の向上を図っていきます。 (1)障害に対する理解の促進  ○ 交流および共同学習を充実することで、障害がある子どももない子どもも、互いを理解し、他者への共感や思いやりの心の育成を図ります。  ○ 副籍制度の実施にあたっては、ICTを活用したオンラインでの交流など、多様な手法により、交流活動を推進します。  ○ 障害のあるスポーツ選手を招いた特別授業や、障害疑似体験などを実施します。  ○ 東京都教育委員会が発行する人権教育プログラム(学校教育編)等を活用し、人権課題「障害者」に関する教科横断的な授業実践や教員研修の充実を図ります。 (2)教員の専門性の向上  ○ 特別支援教育に関する専門性向上に向けた研修の充実を図ります。  ○ 教員が特別な支援の必要な児童・生徒の対応について一人で抱え込むことのないよう、校内委員会で課題および支援方法を共有し、学校全体で支える校内体制を構築します。 2 ICT 機器を活用して、障害のある子どもたち一人ひとりに応じたきめ細かな学習支援や子どもたち同士の交流を進めます。 障害の状態や特性等に伴う学びにくさは、多様かつ個人差が大きく、個別最適な学びが必要です。ICT 機器を活用することで、障害の特性に応じた個別指導が可能となります。 また、障害のある子どもとない子どもが、学校教育の一環として活動を共にする、交流および共同学習の機会を設けることは、相互理解を深め、互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となります。交流をする際に、対面による交流だけでなく、ICT 機器等を活用した交流を進めていきます。 (1)ICT を活用した学習支援および子どもたち同士の交流の推進   ○ 全区立小・中学校の児童・生徒に一人一台のタブレットパソコンを配備し、特別支援学級には大型提示装置(電子黒板等)・実物投影機・教室用パソコンを設置しています。  ○ 大型提示装置を使用し、視覚的なサポートをした効果的な授業を実施します。  ○ タブレットパソコンでデジタル教材の拡大や読み上げ機能を活用する等、障害の特性に応じた活用を進めていきます。  ○ 特別支援学校に通う子どもたちと、ICT 機器等を活用した交流活動を進めていきます。 3 医療的ケアをはじめ特別な支援が必要な子どもと家庭に対し、保育・教育・福祉・保健などの関係機関が一体となって、切れ目のない支援を行います。 特別な配慮を必要とする幼児・児童・生徒の教育に関しては、一人ひとりのニーズに応じた支援を行うための体制づくりとともに、障害のある子どもとない子どもが互いに助けあえる環境の整備が必要です。 校内外の支援体制を充実させることにより、特別支援教育を推進する教育環境の充実を図り、一人ひとりの障害の種別や程度、発達段階に応じたきめ細かな指導を行っていきます。 令和3年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立しました。医療的ケア児が増加する中で、その実態が多様化しており、医療的ケア児の一人ひとりの心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要です。 区では、医療的ケア児に対し、令和6年3月に「練馬区 保育園・幼稚園・小中学校・学童クラブにおける医療的ケア児支援方針」を策定しました。   (1)学校等における医療的ケア児の新たな支援方針の策定【アクションプラン掲載事業】  ○ 平成 29 年に「練馬区立小中学校・保育園・幼稚園などにおける障害児等支援方針」を策定し、たんの吸引や導尿などの医療的行為が必要な子どもが、区立学校や保育園、幼稚園等に通うことができるよう、国に先行して医療的ケア児への支援の充実を図ってきました。  ○ 令和6年3月に「練馬区 保育園・幼稚園・小中学校・学童クラブにおける医療的ケア児支援方針」を策定し、相談窓口案内パンフレットを作成し、保育・教育・福祉等の関係機関の連携を強化しました。また、医療的ケア児等支援連携会議(仮称)教育・子育て部会を設置し、新たな医療行為の検討や支援内容の検証を行います。 (2)特別支援教育に係る新たな方針の策定【アクションプラン掲載事業】  ○ これまで、特別な支援を必要とする児童・生徒の増加に対し、特別支援学級の増設や特別支援教室の全校設置、就学相談の拡充などに取り組んできました。支援が必要な児童・生徒は増加が続いており、多様化・複雑化しています。障害児等を支援するため、新たな方針を策定し、一人ひとりの状況に応じた支援を実施します。  ○ 新たな方針を踏まえて、知的固定学級増設に向けた調整・準備、自閉症・情緒障害固定学級の新設に向けた検討・調整、就学前からの教育相談の実施、就学相談の充実などに取り組みます。 (3)校内外の協働による支援の実施  ○ 特別な支援を要する子どもたちの状況に合わせた指導を行うため、特別支援教室の入室手続き等において校内委員会の PDCA サイクルを活用し、支援内容を検討します。  ○ 児童・生徒に一貫した指導を行えるよう、校内委員会は校内の多様な人材(スクールカウンセラー、心のふれあい相談員、学校生活支援員、特別支援教室専門員など)を的確に活用するとともに、校外の専門機関(特別支援学校など)との連携を図ります。  ○ 都立特別支援学校の教員や巡回相談心理士が行う区立小・中学校の巡回相談等により、校内環境の整備や支援方法に関する助言を受けるなど、校外の専門機関と連携した取組を引き続き実施します。