1ページ 表紙  男女共同参画社会をともに考える「ムーブ」58号  令和8年4月1日(年2回発行)  練馬区  DVかもと感じたら  ひとりで悩まないで、まずは相談 2ページ パートナーとの対等な関係づくりのために、DVについて考えてみませんか。  DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者、事実婚のパートナー、交際相手など、親密な関係にある人(または親密な関係にあった人)から振るわれる暴力のこと。  DVには様々なかたちがあり、気づかないうちに被害者や加害者になっていることもあります。相手を“ 怖い”と感じたり、支配されていると感じたり、少しでも違和感があったら、パートナーとの関係性を考え直しましょう。 DVの主な種類 身体的暴力 ・殴る・蹴る ・髪を引っ張る ・物を投げつける ・首を絞める など 心理的暴力 ・大声で怒鳴る ・無視して口をきかない ・人前でバカにする ・外出を禁止する など 性的暴力 ・性行為を強要する ・ 避妊に協力しない ・中絶を強要する ・見たくないポルノなどを見せる など 経済的暴力 ・生活費を渡さない ・外で働くことを許さない ・お金をとりあげる ・お金を借りたまま返さない など 年齢や性別に関わらず被害に遭うことがあります。 3ページ  チェックリストで、現在の状況を確認してみましょう。  一つでも当てはまる項目があれば、DVの可能性があります。  これらはDVです。気をつけて! ・大きな声で脅かし、殴るふりをして威嚇する ・話しかけても無視し、口をきかない ・大切なものをわざと壊す ・失敗や様々な問題をすべて「お前のせいだ」と言う ・思い通りにならないと、不機嫌になったり、怒鳴ったり、執拗に説教したりする ・「バカ」「ウザイ」など傷つくことを言ったり、髪型や服装、体型などをけなしたりする ・友人や家族と会うことを制限し、LINEなどを細かくチェックする ・他の異性と話すと怒ったり、連絡先を消去させたりする ・どこにいるのかを常に知ろうとしたり、報告させたりする ・避妊に協力せずに、相手の意に反して中絶または出産を強要する ・嫌がっているのに裸の写真を撮影する ・「誰のおかげで生活できるんだ」と言う ・必要な生活費を渡さず、許可がなければ買い物ができない ・仕事を続けることや、辞めることを強要する ・「別れるなら子どもを取り上げる」と言う デートDVって何?  交際相手との間に起こる暴力を「デートDV」といいます。  交際経験のある女性の約5人に1人、男性の約8人に1人が被害に遭っていて、若い世代にとって珍しくない問題です。 これらはデートDVです ・友人と会うのを嫌がる ・別れるなら死ぬ」と言って、別れるのを嫌がる ・性行為を断ると怒る ・デートのお金をまったく払わない など 面前DVと子どもへの影響  子どもの目の前で行われる「面前DV」は、子どもへの心理的虐待にあたります。 DVを目撃した子どもは、暴力の原因が自分にあるのではないかと不安を感じたり、暴力を止められなかったことに無力感を感じたりして、自己評 価が下がることもあります。また、いつDVが起こるのか分からず、常に緊張を強いられた状態となります。  暴力を目撃することによるダメージは非常に大きく、子どもに様々な心身の症状が現れるほか、脳の発達にも悪影響を及ぼします。 4ページ 被害者支援に取り組む方へのインタビュー DV被害者支援団体 ぶどうの木 代表 森 史子さん プロフィール  女性自立支援施設の元職員。かつてDV 被害者だったメンバーとともに地域でネットワークをつくり、DV 被害者支援活動を行う。 DV 被害から「自分」を取り戻す DV被害者が安心できる居場所をつくりたい  配偶者から暴力を受けている女性たちが、安心して過ごせる居場所でありたいと願い、臨床心理士や女性相談支援員など、専門的な経験をもつ仲間とともに、平成19年(2007年)6月にサポートグループ「ぶどうの木」を立ち上げました。  それまでは、シングルマザー支援や婦人保護施設(現:女性自立支援施設)の職員をしていました。行政の支援が一区切りしたものの、お金・仕事・育児・離婚調停など、数多くの問題を抱えているのに、相談できる相手を見つけられず、不安で孤独を抱えて生活をしている女性を支援したいと思ったのです。 安心して自分の経験を語り合える場  「ぶどうの木」では、①グループ集会(ぶどうの木サロン) ②個人相談 ③同行支援 ④勉強会 ⑤母子プログラムなど、多岐にわたる活動をしています。  ぶどうの木サロンは、月3回3~4時間ほど、10人以下の少人数で、自由に経験を語り合います。情報交換やアドバイスをしたり、必要な社会資源につないだりすることもあります。メンバー同士が支え合う関係も生まれます。  「笑顔で帰ってもらいたい」そんな思いから、誰もが話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。すると、みなさん本当によく話してくださるんです。自分のことを語り、同じような立場のDV被害者の話を聞くことで、「苦しんだのは自分だけじゃなかった」と気づきます。そして、違った視点で自分の過去を捉え直し、自分の力を再確認することで、自分で決断し、問題を解決する力を取り戻していきます。  この場は、参加者自身がつくり上げる自助グループです。DV被害者だった方が、支援する側に回ることもあります。当事者ならではのアドバイスが受けられます。 被害に気づきにくい精神的DV  最近では、DVをテーマにしたドラマが放送されるなど、社会の認知が進んできました。10年前までは、身体的暴力を受けた方や、生活保護が必要となる方が多く見られました。しかし現在は、社会的地位が高い配偶者から、精神的に支配されるケースも増えています。  高収入なのに生活費を十分に渡さない、 使い道を細かく管理する、「お前は何もできない」と社会とのつながりを遮断させる・・・。自尊感情を削られ、 外に出ることができなくなっていきます。身体的暴力と異なり、精神的暴力は目に見えないため、自分がDV被害者だと気づかない人も少なくありません。 我慢せずに話すことで、自分の人生を取り戻してほしい  家族にも、友人にも、誰にも言えず、1人で長くDV被害に苦しんでいる人もいるでしょう。「本当にこのままでいいのか」と一度立ち止まって考えてみてください。 「ぶどうの木」には、同じ経験を乗り越えてきた仲間がいます。配偶者から自由になるためのアドバイスを受けられます。我慢したり、あきらめたりしなくていいんです。まずは、「ぶどうの木」や行政に、話をしに来てほしいです。そこから、人生を取り戻す一歩が始まります。 5ページ 加害者プログラムに取り組む方へのインタビュー 一般社団法人プルーブ 代表 田中 剛太さん プロフィール  一般社団法人アウェアでのDV 加害者プログラムおよび被害女性プログラムのファシリテーターを経て、2023 年4 月PROVE を設立。DV 加害者更生教育プログラム全国ネットワーク(PREP-Japan)運営理事。 DV 加害者への教育を被害者の支援につなげる DVを繰り返さないための教育「加害者プログラム」  DVのない社会を目指して活動している民間団体「アウェア」で、DV加害者プログラムを担当していた4名のファシリテーターが独立し、令和5年(2023年)に「一般社団法人PROVE」を設立しました。  DVをやめたいと思っている男性を対象に、暴力を克服するための教育プログラムを行っています。あくまで「DV被害者支援の一環としての加害者プログラム」であり、「加害者支援」ではありません。DVを「ジェンダーに基づく暴力」と捉え、暴力に至ってしまう価値観や考え方を変え、被害者に対して責任を取っていくことを目指す、 グループワークによる教育プログラムです。並行して、パートナーである被害女性を対象とした女性支援プログラムも実施しています。 DVを認め、ジェンダー平等を学ぶ  プログラムは原則として週1回2時間、オンラインで5~10名のグループワークを実施しています。男女ペアのファシリテーターが進行し、まずは自分の行為がDVであったことを認めることから始めます。これがなかなかできない男性が多く、「原因は相手にある」「ただのケンカだった」など、暴力を矮小化・否認・正当化・責任転嫁する傾向があります。参加者同士で話し合いながら、DV行為を認め、その価値観や考え方がどこから生まれたのかを振り返り、ジェンダー平等を学ぶことで、パートナーと対等・平等な関係性を目指す価値観を構築していきます。  また、パートナーの女性とも面談を行い、これまで怖くて言えなかったことや、加害者の変化の様子を聞き取ります。どういう暴力があったか「暴力シート」を双方に書いてもらい、見比べることで、本人たちが気づかなかったDV行為を知ることもできます。  プログラムでは、基本的に実施期間や回数は定めておらず、パートナーが「もう一緒にいても平気」と安心できたときが卒業です。 DVをやめることと、居場所づくり  DV加害者の傾向として、パートナーへの関心が薄い人が多いと感じています。「相手が何を大事にしているのか考えたことがなかった」という声をよく聞きます。「稼いでいる自分が一番偉い」「妻や子どもは所有物」と思っていて、 対等という意識がない。その価値観を変え、 パートナーの話を聞き、家事や育児を分担し、ケアし合う関係へと変わってほしいと思います。  自分がパートナーを支配してきた事実と向き合うよう、 時に厳しく迫る一方で、安心して内面をさらけ出せる「居場所」を提供することも大切にしています。そのバランスが難しいですね。 加害者が変われば、被害者支援の新たな一歩となる  DV加害者は決して特殊な人たちではありません。男女問わず、誰もが多かれ少なかれ、彼らと同じような価値観や考え方を持っています。それらを理解し、手放す「学び落とし(unlearn)」の不断の実践こそが、加害者プログラムの精神です。  誰もが互いを尊重し合い、自立した人生を生きることのできる社会を実現すること。それが、加害者プログラムが目指すことなのです。 6ページ DV相談から支援につながるまで 状況に合わせて様々な相談先や支援につなぎ、各機関が連携して対応します。 DVの被害を受けた時 DVか分からない、どうしたらいいか分からない、相談したい ・男女共同参画センター ・えーる相談室 ・ねりまDV専用ダイヤル ・総合福祉事務所 ・DV相談プラス(国) など 気持ちの整理、解決に向けた支援や情報提供 パートナーから逃げたい ・総合福祉事務所 ・警察 シェルター等への一時保護、離婚やその後の生活に向けた支援や情報提供 パートナーが近寄ってこないようにしたい ・警察 加害者への警告 ・男女共同参画センターえーる相談室 ・ねりまDV 専用ダイヤル ・総合福祉事務所 保護命令の申立て(地方裁判所) 手続きに関する支援 「保護命令」とは  加害者から身体的暴力や生命等に関する脅迫を受けた被害者からの申立てにより、裁判所が加害者に対し、被害者へのつきまといをしてはならないことなどを命じる制度です。保護命令には、「接近禁止命令」と「退去命令」などがあります。 自立した生活に向けて 経済的支援を受けたい ・総合福祉事務所 制度の案内、各種申込手続き 生活の拠点を確保したい ・総合福祉事務所 公営住宅情報提供、施設入所支援 仕事に就きたい ・ハローワーク(国) ・東京しごとセンター(都) キャリアカウンセリング、職業紹介 子どもの転校や手当などを相談したい ・学務課 ・保育課 ・子育て支援課 転校や入園の相談、各種手当受給手続き 国民健康保険の手続きをしたい ・国保年金課 国民健康保険の加入手続き 離婚や親権、養育費などを相談したい ・法テラス(国) ・区の法律相談 法的な助言、法的手続きの援助 7ページ DV相談と支援の事例 ケース1 DVかどうか分かりませんでしたが、相談してみました  身体的暴力はないけれど、夫の無視や冷たい態度が続き、恐怖を感じていました。自分が受けている行為がDVなのかどうか分かりませんでした。最初に相談したとき、相談員から「よく相談してくれましたね。何でも話してくださいね。」という言葉をかけてもらいました。その言葉に救われ、今も定期的に相談を続けています。  少しずつ気持ちを整理したり、生活を立て直すための具体的な方法を相談したりしながら、離婚を含めてこれからの生活を考えています。 ケース2 自分と子どもを守るために勇気を出して相談に 夫から殴られたり、物を投げられたりする行為が激しくなり、身の危険を感じるようになりました。夫は、子どもがいる前でも平気で暴力をふるうため、子どもへの悪影響も心配でした。  自分と子どもを守るため、思い切って相談しました。その後、シェルターに避難し、今は子どもと一緒に安全な場所で過ごしています。法的な手続きや住まいの準備を進めながら、子どもと安心して過ごせる環境を整えています。 ケース3 追い詰められた気持ちを聞いてもらえました  妻からの暴言や強い言葉で責められ、心身ともに疲れ切っていました。さらに、収入をすべて管理され、生活費も制限される日々に不安を感じていました。  相談していいのか不安でしたが、思い切って相談窓口に電話しました。生活のことや子どもの養育費などについて相談にのってもらいました。じっくり話を聞いてもらうことで気持ちの整理ができ、今は別居して安心できる暮らしを始めています。 法律豆知識 令和8年4月から、共同親権と法定養育費に関するルールが改正  民法等の改正により、父母の離婚後も子どもの利益を確保するため、子の養育に関するルールが改正されました。 共同親権  これまで民法では、離婚後の親権者は父母のどちらか一方に定められていましたが、両方の親が親権を持ち続ける「共同親権」か、従来の「単独親権」か、どちらかを選択できるようになります。ただし、DVや虐待などがあり、父母が共同して親権を行うことが困難と認められる場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。 法定養育費  新たに「法定養育費」の請求権が設けられ、離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子一人当たり月額2万円の養育費を請求できるようになります。 8ページ ひとりで悩まず相談してください 秘密は厳守します。安心してご相談ください。 国(内閣府) DV相談プラス  0120-279-889 東京都 東京ウィメンズプラザ  03-5467-1721  毎日 9:00~21:00 ※年末年始を除く 東京都女性相談支援センター  03-5261-3110  月~金曜 9:00~21:00 ※土・日曜、祝休日、年末年始は17:00まで 警察 警視庁総合相談センター  03-3501-0110または#9110 練馬区 DVに関するLINEでの相談 練馬区ささえーるLINE  水・土曜 16:00~21:00 ※受付は20:30まで ※年末年始を除く ねりまDV専用ダイヤル  03-5393-3434  毎日9:00~19:00 ※祝休日は17:00まで ※年末年始を除く 来所相談(予約制) 男女共同参画センターえーる相談室 配偶者等暴力に関する専門相談  03-3996-9050  相談時間 月曜・第1金曜9:00~17:00、水・金曜(第1金曜除く)10:00~19:00  予約申込時間 毎日 9:00~19:00 ※祝休日は17:00まで ※年末年始、施設点検日を除く 総合福祉事務所  練馬03-5984-4742  光が丘03-5997-7714  石神井03-5393-2802  大泉03-5905-5263  月~金曜 8:30~17:15 ※祝休日、年末年始を除く 編集後記 新平委員 20代 大学生 経済学を専攻  DVとは、配偶者や恋人など親密な関係にある相手に対する殴る蹴るなどの身体的暴力なものだけだと思っていましたが、暴言や無視、精神的・経済的暴力も含まれることを知り、DVに関する理解が深まりました。また、夫婦関係だけではなく、交際関係でもDVがあるのだと知りました。 服部委員 60代 民間企業にて管理・外資系事業等を経験後、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに積極的に従事 現在はフリー 趣味はバラ栽培やDIY  本冊子では様々な視点からDV問題に触れ、チェックリストなどわかりやすい事例も掲載しています。編集を通して被害者支援だけでなく加害者への適切なアプローチの必要性も強く感じました。また被害者のみならず多くの人が考え気づくことの理解も深まりました。この冊子が安心安全に暮らせる社会への一助となれば幸いです。 藤井 委員 20代 大学生 英語やアメリカの歴史・文化を専攻 趣味は飲食店やカフェ巡り  親密な関係にある者から振るわれる暴力のことを指すDV。DVは身体的な暴行に限らず、ひと時の傷だけでは済まされないものです。だからこそ、DVがないかパートナーとの関係性を見直すこと、そして、被害を受けた場合に相談できる場所があることを、本号を通して気づいていただけますと幸いです。 高桑委員 50代 会社員にて 生活し サイクリングと 和歌を嗜む  事例知り 我慢しないで 有事には 話すだけでも 心落ち着く 力也吟 本誌は、練馬区男女共同参画推進懇談会委員と協力し、作成しています。 発行 練馬区総務部人権・男女共同参画課 〒176-0012 練馬区豊玉北6-3-1  03-5984-4518(直通) JINKENDANJO@city.nerima.tokyo.jp