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練馬区災害対策条例(案)逐条解説

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  5. 練馬区災害対策条例(案)逐条解説

ページ番号:267-875-859

更新日:2010年2月1日

練馬区災害対策条例 逐条解説

練馬区防災懇談会

 本逐条解説は、この災害対策条例(案)を練馬区防災懇談会で区民と区の職員が真摯に討議し、力を合わせて作り上げてきた過程での論議を踏まえて、作成されています。

〈全体の構成について〉
 この条例(案)は前文・総則・震災対策・水害等対策・委任・付則からなっています。練馬区の地域に最大の被害をもたらすものが、大地震であるとの認識から、震災対策を強調した構成になっています。

第1章 総則

 この章は、原則として、災害対策一般に関する事項を定めています。

(目的)
第1条 この条例は、区の地域に発生する災害の、予防・応急・復旧および復興対策について、区民・事業者・区が行わなければならない、必要な事項や施策の基本を定めて、災害への対策を総合的かつ計画的に進め、区民・事業者等の生命、身体および財産を守ることを目的とします。

 第1条での「災害」は、第2条にあるように、通常の「災害」の概念より広いものです。ここでは、区民・事業者・区と、主としてこの条例で活動などが規定されている災害対策の実施主体が網羅されています。これらの業務内容は、区の業務を除いて、他の法令によって定められることの少ない、区民や区民が自主的に組織する区民防災組織および事業者の災害対策業務です。事業者とは、区内でなんらかの業務を行う個人・法人・団体をいい、一般的には商店・企業・学校等で、例えば帰宅困難者対策などの特別な災害対策が必要となります。

(定義)
第2条 この条例において災害とは、地震災害(以下「震災」といいます。)、水害、火災、その他のうち、原因を問わず区民の救護や避難を伴うもので、区長が指定するものを言います。

練馬区では、区民がなんらかの被害を受け、家人・隣人・地域・行政による救護が必要な場合や、区民の避難が必要である出来事に関して、この条例により「災害」として取り扱います。条例に書かれている地震災害、風害、水害、火災の他に、大規模な事故が発生した場合や、近年問題となっているN(放射性物質)B(生物)C(化学物質)その他を用いたテロ行為などが行われた場合などには、緊急対応は専門の機関が行いますが、最終的な区民の救護・避難対策は基礎自治体である区の役割と位置づけています。
 区長による指定は、規則・要綱などに定めた基準に基づいて行います。

(区の役割)
第3条 区は、区民の安全を守り、災害対策を進める責任があり、次の各号に定める事業をおこないます。

各種災害対策のうち、区が責任を分担する分野について列挙しています。
区が責任を分担する業務については、いわゆる「努力義務」規定ではありません。原則として「○○を行います」「○○します」という「実施する」ための規定です。

(1)区は、安全なまちづくりや区民防災組織および区民防災ネットワークの育成・支援などの災害予防対策を行うとともに、被災者の援護等の応急対策や、復旧・復興事業を行います。

この第3条第1項第1号に上げられている事業は、区が責任を持つ災害対策のうち、最も基本的で重要な事業です。この条例を契機に、これまでの「防災住民組織」を、練馬区民の防災組織にふさわしい名称である「区民防災組織」に変更します。「区民防災ネットワーク」は、例えば、既存の区民防災組織や災害要援護者の組織およびそれを支援する組織等が、災害要援護者等を支援するための幅広い結びつきを形成するような場合をさし、このような結びつきについて、区が区民防災組織と同様に育成・支援するものです。他には第5条第2項、第19条第2項、同第3項第3号で、記述しています。

(2)区は、区立小中学校を災害時の避難所と防災拠点をかねる避難拠点に指定します。区長が指名した避難拠点要員は、災害時に必要性を判断して、避難拠点を開設し、避難拠点運営連絡会と協働して運営します。

 第2号は、練馬区の災害対策の特長である「避難拠点」について定めています。行政と地域の区民防災組織の「協働」が、特長的な事項です。「協働」とは、互いの持ち味を生かしながら、協力して仕事をすることによって、1+1が2より大きい効果があるような、同じ目的のために一緒に働くような場合に使用します。

(3)区は、防災訓練や研修等を通じ、職種や職域に関わらず、必要な災害対応能力を有する区職員を養成します。

 区の職員の基本的職務の一つに、災害対応があります。しかし、このような意識や能力は一朝一夕にできるものではなく、組織的な養成が必要であることを、この第3号で定めました。これまで、緊急初動要員の養成は行ってきましたが、今後は養成の対象を、全職員に広げて行くことになります。

(4)区は、災害対策を総合的に行い、防災機関等との連携と協働を図るために、別に条例で定める練馬区防災会議を設けます。

災害対策基本法で設けることが定められている防災会議について、別に条例で定めていることに言及しています。またこの会議の目的が、「連携と協働」にあることを、あきらかにしています。
防災機関には、国(自衛隊等)、都(警察、消防、上下水道等)、民間(電気・ガス・通信・鉄道等)、医師会等が含まれます。

(5)区は、練馬区防災会議により、練馬区地域防災計画を定め、計画を随時見直し、必要に応じて修正します。

修正にあたっては、この条例の趣旨に沿った内容になっているか、区議会、区民により検証され、その意見が反映されなければなりません。
第4号と同じく、法定事項である地域防災計画について、この条例で定めることにするほか、災害対策の詳細な事項を定めている防災計画において、この条例の目的が果たされているかどうかを、防災会議に参加している防災機関だけではなく、区議会や区民によって検証され、意見が反映されることが必要であることについて定めています。

(6)区は、消防団の活動や団員の確保が円滑に行われるように支援します。

 区は、地域の災害対策の要(かなめ)である消防団について、その活動などへの支援を行うことを定めています。

(7)区は、災害時に備えて、団体や法人等と協力協定を結びます。

災害時には、被災者の救出・救護および支援活動を、区民・防災機関だけでなく、企業や各種団体などの持つ力も合わせて、はじめて効果的に行うことができると考えられます。そこで、区は、それらの団体や法人等と、あらかじめ協力協定を結び、防災訓練などを一緒に行うことによって、災害時の活動が円滑に行われるようにします。

(区民の役割)
第4条 区民は、常に自己と家族の安全を図り、災害に備え、対処するように努めます。

一人ひとりの区民の、災害対策に関する役割について定めています。いわゆる「自助」の努力として自己と家族の安全を図ること、災害への備えを進め、災害が起きたときはそれに対処するよう、区民の努力義務について述べています。

(区民防災組織とその役割)
第5条 区民は、相互支援の地域コミュニティづくりを進め、次の各号に掲げる区民防災組織をつくります。区民防災組織は、災害の発生に備え、日常の活動や防災訓練を行います。災害が発生した場合は、被害の拡大防止や被災者の救援を行い、自分たちのまちは自分たちで守るよう努めます。

いわゆる「共助」の部分について述べています。また、以下の条文において、これまで「要綱」で定めていた「区民防災組織」について、条例で定めています。

(1)区民は、一定の地域を単位に、居住する区民の総意によって、地域での消火、被災者の救出・救護等を行う防災会および市民消火隊を組織します。

防災会、市民消火隊について定めています。

(2)防災会・町会・自治会等の地域団体、学校関係団体等が結集して、避難拠点運営連絡会を組織し、区職員と学校職員からなる避難拠点要員と協働して、被災者救援活動を行います。

避難拠点運営連絡会について定めています。

(3)区民は、区の全域または各地域において、総合的または特定の災害対策に関する活動のために有志がつどう区民防災組織を作り、相互扶助や支援活動を行います。

区民有志がつどう区民防災組織とは、例として防災を目的の一つとして持つ各種NPO・ボランティア団体などを想定しています。

2 区民防災組織は、区の全域または各地域において、相互に、また災害要援護者や支援組織と共同して、区民防災ネットワークを形成します。

災害対策活動を効果的に進めるため、今後かたち作られて行くであろう区民防災ネットワークについて定めています。区民防災組織相互の地域的または全域的ネットワーク、区民防災組織と災害要援護者の組織やその方々を支援する組織との地域的または全域的ネットワーク等が想定されます。区民防災ネットワークは、災害要援護者の支援にも重要な役割を果たします。

3 区民防災組織は、避難拠点毎に消防団、事業者、防災機関、協定団体・法人等とともに、地域での連携と協働の仕組みを形成し、連帯して地域での災害対策活動を進めます。

 「地域での連携と協働の仕組み」は、区内で災害時に活動する区民防災組織やそれ以外の組織・団体等が、地域の「防災拠点」である避難拠点を単位として、平素から会議や訓練などを通じて形成する、連携と協働の仕組みをいいます。災害時の活動が円滑に行われるようにすることを目的としています。

(事業者の役割)
第6条 事業者は、災害に備えて、利用者・顧客・従業員などの安全を図り、地域との連携を進め、また事業が継続できるように準備します。

区内で事業を営む者(公私の企業、学校等)が、災害に備えて行わなければならない事柄について定めています。第一に、利用者(学生等を含む)・顧客・従業員などの安全を図ること。第二に、地域との連携を図ること。第三に、災害のリスクを考えながら、災害にあっても自らの事業を継続することができるよう「危機管理」(リスク・マネージメント)を行うように、事業者の「義務」として述べています。

2 災害が発生した場合は、自衛消防隊等の活動により事業所内外の二次災害を防止し、事業の性格に応じて、地域の復旧・復興に貢献するように努めます。

災害が発生した場合の、事業者の努力義務について述べています。自衛消防隊は単に事業所の中だけで活動するのではなく、近隣の災害に対処しないと、結果として自らの事業所が被害をこうむる可能性が大きいのです。また、それぞれの事業の性格に応じて、地域の復旧・復興に貢献する努力義務があることを述べています。

(災害に関する情報の共有)
第7条 区は、区民・事業者・区民防災組織等が、災害および地域に関する情報を共有できるように、条件整備を行います。

条件整備の具体的方法には言及していませんが、いわゆるITを活用したものが中心になっていくと考えています。また一行目の「等」は、防災機関を含んだ広い範囲にするために付けています。

(守秘義務)
第8条 災害対策を行う区民・事業者・区民防災組織等は、災害の事前対策や災害が発生した際に、個人の情報を取り扱うことを考慮して、その情報について適正に管理して、個人の秘密を守る義務を負います。

公務員等は、平常時・災害時を問わず、その職務に伴う個人情報の取り扱いについて、罰則などを伴う守秘義務が定められています。自主的に事前事後の災害対策活動に携わる人々も、罰則がともなうことはありませんが、同じように個人情報を守る義務を負うことをあきらかにしています。

(他の自治体への救援)
第9条 区は、他の自治体の地域で発生した災害への救援について、自治体間協定や、東京都・国等の調整に従って行います。区民等は、自らの日頃の訓練・準備の成果をもって、可能な支援に努めます。

他の自治体の地域に災害が発生して(練馬区では静穏である場合)の、救援について、区の救援計画と、区民等の自主的な支援についてあきらかにしました。協定がある場合を除いて、区のような自治体が行う一般的救援活動は、広域自治体や国の調整無く随意におこなうと、被災地に混乱をまねく心配があります。大災害発生当初の救援は、消火・救出や医療が優先されるべきです。

第2章 震災対策

(地震と震災に関する知識の普及と啓発)
第10条 区は、震災に関する科学的研究をおこない、または国や東京都がおこなった研究の成果を用いて、防災機関や区民防災組織等とともに、区民・事業者等に大地震の知識、震災の特徴等の知識を普及し、震災に備え被害を軽減する方法について、周知・指導します。

区はこれまで、主として東京都が行った被害想定や地域危険度想定を参考にして、災害対策を策定するとともに、区民にその成果を周知してきました。今後は、これらを更に練馬区の地域に適合した内容とする必要があります。また区は、単に知識の「周知」にとどまらず、防災機関や区民防災組織とともに、区民に事前対策として震災に備え被害を軽減する方法(例:消火の備え、家具の固定、ガラス飛散防止、住宅の耐震性確保、区民防災組織への結集)を指導します。

(安全なまちづくり)
第11条 区は、密集した市街地の改善や、狭あいな道路を拡幅・整備するために、各種制度を利用・開発する等、区民とともに安全なまちづくりを進めます。

時間や経費がかかりますが、「安全なまちづくり」は、「安全な住まいづくり」と並んで、災害から人々を守る最も効果的な対策といえます。これまで区は、対象地域の区民とともに、密集した市街地の改善(練馬地区、江古田北部地区、北町地区)に取り組んできています。これ以外にも、「駅周辺および幹線道路沿いの密集市街地は、再開発・地区計画などの手法により、建物の不燃化、道路の拡幅、オープンスペースの確保など、逃げないですむまちづくりを進め」、「また、今後新たな密集市街地の発生を防止し、良好な環境を保持するため、適地については土地区画整理事業の手法等を活用し市街地整備を推進」〈練馬区地域防災計画(平成14年修正)より〉する必要があります。また区民の理解を得ながら「狭あい道路拡幅・整備事業」を展開しています。今後も、これらとともに都市計画や区画整理など、安全なまちづくりを進めます。

(安全な住まいづくり)
第12条 区は、区民が安全に居住できるよう、住宅・事業所などの安全化に向けた指導・啓発を行い、耐震診断や耐震補強に関する支援制度を整備して、住宅の防災性を高める施策を進めます。

阪神・淡路大震災では、死亡した被災者のおよそ9割が自宅で被害を受け、その9割以上が即死(家屋・家具の下敷きによる圧死)したとされています。(中央防災会議、重川委員報告他)このことは、防災関係者の間ではある程度知られていますが、いまだに一般的には、知られていません。震災発生の時間帯や、その他の状況によって被害発生の状態は異なると想定されますが、住まいや事業所などの耐震化や安全化が、被害を軽減することは明らかです。そこで、住宅等の安全化に向けた指導・啓発を行うとともに、これまで必ずしも十分と言えなかった耐震診断や耐震補強に関する支援制度を、区民が利用しやすいように改善します。区が、今後、指導・啓発を行うにとどまらず、耐震診断や耐震補強の重要性を、区民が具体的に知ることができるようアドバイスできる体制をつくり、そして耐震診断や耐震補強を進めることの強い公共性に配慮して、それらを支援する制度を整備することが、求められています。

(連携と協働の仕組みづくり)
第13条 区は、各種防災訓練や日常活動を通して、相互支援の地域コミュニティづくりを促進し、また区民防災組織、事業者、消防団、防災機関等による地域での連携と協働の仕組みづくりを支援し、地域の人材や物的資源を、災害対策に活用できるようにします。

第5条で、区民防災組織の側からとらえていることを、区の側から、最大限の災害対策活動能力を必要とすると想定される震災対策という枠組みを通して、とらえているものです。
区の各地域には、災害対策をになうことができる防災機関(消防・警察等)、自主的な組織(区民防災組織、それ以外の組織)、事業者(会社、商店、学校等)があり、また災害対策に自主的に参画しようという個人がいます。区は、各種防災訓練や日常活動を通して、これらの人材や保有する物的資源を、災害時にお互いに活用できるようにします。このような例の一つですが、阪神・淡路大震災の際に、普段から近隣の火災にも対応するよう消防署によって指導を受けていた西宮市所在の自衛消防隊のいくつかが、自ら所管する建物の近隣で生じた火災を消しとめ、まちが焼失することを食い止めました。また、神戸市でも企業の自衛消防隊が、延焼火災の防止に重要な役割を果たしたところがありました。

2 区は、前項の連携と協働の仕組みづくりにおいて、区外からの応援者を活用できるようにします。

これは、いわゆる「ボランティア」等が、区外から救援活動に参加しようとする場合を想定したものです。区全体としての「ボランティア・コーディネート」の枠組みを用意し、区内の各地域では避難拠点等において「ボランティア・コーディネート」を行う事ができる人材を養成すること等がこれにあたります。

(人材づくり)
第14条 区は、地域の防災対策を担うことのできる人々を、出来るだけ多く育てます。その際、区民防災組織および消防団等の、地域の人材による教育力を活用します。特に次世代を担う小中学校の児童生徒については、学校教育等の場でも、防災教育を行います。その他学生・生徒については、区内の各教育機関と連携をとりながら、地域の防災対策に協力できる人材育成に努めます。

練馬区の各地域では、区民防災組織などの、区民による自主的な災害対策活動が行われています。震災時の、同時多発災害への対応を万全にしていくために、更に多数の区民の参加が必要です。そのためには、区民への防災教育が大切ですが、消防署や区等のスタッフには限りがあります。そこで、区民防災組織や消防団等の地域の人材による教育活動も必要です。また、若い元気な人々も、災害対策活動に参加できるよう、小中学校等での防災教育を行いますが、学校教育の場では、「防災に関する安全教育」として実施されていくことになります。また高校・大学などにおいても、教育ができるように努めます。(この条例では、通常区の行う事項に、いわゆる「努力義務」の規定は、ありません。しかし、区立以外の教育機関で実施するものであるため、これについては「努力義務」としました。)

(区民一人ひとりの震災対策)
第15条 区民は、日頃から住まいの耐震性の向上や、家具の固定等の自宅内の安全化を図るほか、消火の備え、食料・水等の備蓄、隣人との友好関係の構築など、一人ひとりが震災に対する備えに努めます。

第4条で一人ひとりの区民の、一般的な災害対策に関する役割について定めました。ここでは、最も激しい被害が想定される震災に備えるための、具体的「努力義務」について定めています。

2 区民は、災害に立ち向かう姿勢を持ち、大地震の発生に際しては、地域での出火防止・初期消火等や、家族や隣人・地域での安否確認、救出救護を行います。自分の身に危険が差し迫ったときには、必要に応じて地域の安全な場所や避難拠点等に避難したうえ、必要な災害対策活動を行います。

震災が発生した場合の、区民の行動について、時系列的に述べています。特にこの項では、「大地震即避難行動」という誤った「常識」ではなく、冷静な判断で必要な活動を行い、その上で「必要に応じて」避難し、避難先でも災害対策活動を行う責務があることを述べています。なおこの条例において、区民の責務一般については「努力義務」規定としていますが、震災発生後の行動については、その行動の重大性に配慮して「行う」規定にしています。

(区民防災組織の震災対策)
第16条 防災会、市民消火隊は、地域において、防災機関とともに、消火・救出・救護等を行います。また区民のリーダーとしての役割を果たします。地域の状況の把握に努めて、必要に応じて避難誘導を行います。

2 避難拠点運営連絡会は、主として避難拠点において被災者の救護にあたります。また区の避難拠点要員と協力しながら、区の災害対策本部との連絡や地域の情報の収集や発信に努め、地域における災害対策活動の連携と協働のまとめ役となるように努めます。

区民防災組織(防災会・市民消火隊・避難拠点運営連絡会)の、震災時の行動について記述しています。震災が発生した場合の、防災会・市民消火隊などの地域での活動の役割は、消火・救出・救護が重要であり、避難誘導は「必要性」がある場合だけとなります。一方避難拠点では、被災者の救護を行いながら、地域の情報を収集・発信し、地域での大きな連携と協働のまとめ役になる努力が必要とされています。

(避難拠点等の整備)
第17条 区は避難拠点等に、被災者を救助するための物資を備蓄し、必要な緊急初動要員を配置します。区は、避難所および地域の災害対策の調整や情報収集・提供場所としての機能をはたせるように、避難拠点等を整備します。

主として緊急初動期の実効性を確実にするための、避難拠点等の整備について述べています。現状で、ある程度整備が進んでいるのは、避難拠点である小中学校(103)、情報拠点である出張所等(16)です。無線設備などの一部整備は、保健相談所(6)と土木出張所(4)です。区の保有、運営する施設については、今後災害時に果たすべき機能に応じて、順次必要な整備を行います。具体的な整備内容は、時代とともに変化しますので、記述を割愛して、防災計画等にゆだねることにします。

(災害時医療と医療救護)
第18条 区は、医師会等との協定により、負傷者の手当て等の医療救護を行います。

現行の災害救助法の定めにより、区長が都知事の委任を受けて、区医師会等とともに医療救護を行うことを述べています。災害救助法による医療救護は、災害によって通常の医療体制が不足または一時的に稼動せず医療を受けられない場合、災害によって保険証や現金などが失われて通常の医療を受けられない場合などに、公費で医療を受けることができるようにするものです。

2 区が指定する後方医療機関で災害時医療を行うほか、指定した避難拠点等では、軽症者の治療等の医療救護を行います。

この目的のために、災害時医療を行う医療機関のほかに、あらかじめ指定した「医療救護所」を準備して、震災発生後直ちに軽症者の治療等(場合によっては中等症の治療も)、主として外傷の治療を行うこと述べています。

3 避難者が多い避難拠点では、速やかに医療救護体制を確立します。

避難者の多数滞在することが確実となった避難所(避難拠点等)では、広域的医療チームの応援を受けるなどして、内科や災害時の精神的な問題等に対処する医療救護体制を、できるだけ早く確立します。

(災害要援護者対策)
第19条 災害時に特別な配慮や援護を必要とする人々である災害要援護者の安否確認や支援等は、災害対策を行う全ての組織にとって、重要な任務の一つです。

災害要援護者は、かつて「災害弱者」と呼ばれ、阪神・淡路大震災以降、これらの方々を災害時に支えることが、重要な課題となっています。その大部分は、普段から配慮や援護を必要としており、災害時には更に一層それらを必要とする方々です。多くの障害者・身体機能の低下した高齢者などの人々が、それにあたります。しかし、障害や身体機能の状態が一様でないことから、配慮や援護、支援のあり方も、一様ではありません。これらの方々のうち、ある方々は日常からいろいろな支援を受けていますが、災害時にそれらの仕組みが一時的に機能低下したり、一気に上昇するニーズに追いつかないなどの問題を緩和する行動・施策が、「災害対策を行う全ての組織にとって、重要な任務」になると想定されます。

2 各地域では、区民防災ネットワークと地域での連携と協働の仕組みを活用して、区民防災組織等が、災害要援護者の支援を行います。

地域で災害要援護者の支援を行うには、専門家・専門機関・当事者団体や支援組織等の連携と協働が必要となります。それらの全てを含めたネットワークの活用が必要となります。
一例としては、聴覚に障害のある方々や支援組織等と、それらのみなさんが比較的多く住まわれている地域の避難拠点で、防災訓練を行いながら、連携の方法を生み出していく予定です。

3 区は、災害要援護者について、次のような事前準備と・震災発生後の対策を行います。

この項目は、災害要援護者対策に関して、区が行う災害対策上の事前準備と災害発生後の対策について、述べています。

(1)平常時から安否確認、救出・救護体制の確立をめざします。

 日常的な支援の仕組みを、災害時にもできる限り継続して実施できるようにしておかなければならないことを前提として、平常時から、災害が発生した際の安否確認、救出・救護体制の確立のために、行政内部や区民・NPO・ボランティア等の協働の仕組みの確立をめざします。

(2)避難拠点等の中に、災害要援護者が利用しやすい場所を確保します。

「等」とあるのは、区立小中学校である避難拠点だけでなく、例えば区民館・地区区民館・地域集会所等において、避難した災害要援護者が利用しやすい場所を確保することが求められるであろうからです。「災害要援護者が利用しやすい場所」とは、求められるものが一様ではないでしょうが、バリアフリーであったり、畳の床であったり、その他災害要援護者が必要とする条件を満たす必要があります。

(3)震災が発生したときは、区民防災ネットワークを通じて、災害要援護者の支援のため必要な情報の収集および提供を行います。

(4)震災が発生した後に、福祉施設等の協定法人の協力を得て、災害要援護者にとって居住環境がよく、支援を受けることができる避難先を、速やかに開設します。

この項目は、「二次避難拠点」について、定めています。二次避難拠点は、単に居住環境が良いだけでなく、支援を受けることができる点が重要です。また環境や支援内容が、それぞれの災害要援護者の特性にふさわしいものであることが必要なことは、いうまでもありません。そのために、福祉施設等との協定によりあらかじめ予定しておくものです。

(帰宅困難者対策)
第20条 区は、通勤・通学等で遠方に出かけている区民が大地震発生時に困らないように、区民に対して自らの帰宅困難対策を行うよう周知します。

これは、区民が「帰宅困難」になることを想定して、その対策を周知するものです。東京都の行った想定によると、ある条件の下では、震災による帰宅困難者が371万人発生するとされています。これらの方々が、できるだけ困らないために、練馬区からの通勤通学者の1人でも多くの人々が、自衛策を準備するよう、東京都が発表している「帰宅困難者心得10か条」などを参考に、「区報」や「私の便利帳」などにより、帰宅困難対策を周知します。
これは、区民が行う災害対策の一つですが、全区民ではなく外部に出かけている区民に限られるため、まとめて帰宅困難者対策に位置づけています。(参考:平成12年国勢調査 流出人口232,520人)

2 区は、区内事業者・集客施設・学校等での帰宅困難者対策を指導します。

都心の区では、すでに行われていますが、練馬区においても、それぞれの事業者等が、帰宅困難者をできるだけ作らず、また帰宅困難となった場合も、従業員等が困らないような対策をとるように指導します。
(参考:平成12年国勢調査 流入人口 85,656人)

3 区は、区内各種事業所や区民防災組織の協力を得ながら、都心部で帰宅困難となり、練馬区内を通過して徒歩等で帰宅する人々を支援します。

幹線道路沿いの避難拠点や公立施設、各種官民事業所において、被災情報、交通情報を提供し、給食・給水や簡単な休憩などの支援ができるように、準備や訓練を進めます。
これは、区としてとるべき「都心部で帰宅困難となり、練馬区内を通過して徒歩などで帰宅する人々」への支援として、何を準備しておくのかについて述べています。
練馬区は、民間団体である「帰宅難民の会」の訓練に呼応し、区民防災組織等の協力を得ながら、2000年以来、自治体としてはいち早く帰宅困難者支援訓練に、実験的に取り組んできました。この条例を機に、災害時に役立つように、更に帰宅困難者対策を進めます。

(飼育動物対策)
第21条 動物を飼育する区民は、飼い主の責任として、災害時にも支障ないように、適切なしつけ、必要な物品の備蓄などに努めなければなりません。

動物を飼育する飼い主の責任を、災害時にも全うする努力義務について述べています。自宅は無事でも、ライフラインに支障があった場合でも、何日か困らないだけの準備が必要です。また自宅が全半壊・焼失して、居住できずに、やむをえず動物を同行して避難先に向かう場合の準備も必要です。このような飼育動物の「同行避難」は、まだ災害対策として十分確立していませんが、飼い主の責任として、自衛行動や地域の災害対策としての取り組みがおこなえるように努めることが必要です。
2001年9月1日に行われた練馬区・東京都合同総合防災訓練においては、大泉北中学校での防災訓練の中で、地域の「ペットコミュニティー」により、「同行避難訓練」が取り組まれました。2 区と獣医師会等は、被災した動物の救護や、飼い主が災害により飼育できなくなった動物の一時預かり等、必要な対策を行います。
区と獣医師会は、阪神・淡路大震災、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害等の教訓を考えて、全国に先駆けて災害時の協力協定を結びました。(判明している限りでは、渋谷区に次いで2番目)震災の場合は、まず獣医師会会員の手により救急措置等が行われます。飼育動物の救急や保護は、原則として飼い主の責任です。しかし、飼い主が被災により入院、死亡、不明あるいは動物が飼育できない場所に避難せざるを得ないなどの場合に、その動物を一時預かるなどの、必要な対策を行うことにしています。
また、これらの活動にはボランティア団体などの参画も想定されるので、「等」としています。

(震災応急・復旧体制)
第22条 大地震発生直後は、区民防災組織、協定団体・法人等が、必要に応じて自ら災害対策活動に立ち上がり、震災の発生に対応します。

緊急初動期の災害対策は、災害対策本部や上部機関等の指示・判断をまたず、自ら判断して人命救助や応急救護を行う必要があります。防災機関や区民防災組織の活動はいうまでもありませんが、原則として区からの要請を受けて活動する協定団体・法人等においても、同様の例外規定により、自ら活動を開始します。

2 区は、大地震が発生した場合、避難拠点や区役所等において直ちに緊急初動体制をとり、速やかに災害対策本部を設置します。

災害対策本部は、防災機関や避難拠点等からの被害情報や災害対策情報を集約して共有化を図るとともに、応急・復旧対策を進めます。
大地震が発生した場合の、区の動きを、時系列に沿って説明しています。大地震とは、おおむね震度5弱以上の地震をいいますが、この震度は今後の経験により修正される場合があります。

(震災復興対策)
第23条 区は、震災により重大な被害を受けたときは、震災復興本部を設け、各防災機関、区民防災組織などとともに、協力してまちの復興、生活や事業の復興に取り組みます。また復興に取り組む際には、区民、区民防災組織、区議会等の意見を十分反映して行います。
2 区は復興事業を円滑に進めるために、震災発生の有無にかかわらず、復興に関する手順・手続き等を定め、震災の復興に関する条例を制定していきます。

震災復興本部および復興事業に関して記述しています。阪神・淡路大震災の教訓を考えて、条例制定などの事前準備や市街地の復興だけでなく、生活や事業の復興に取り組むこと、区民等の意見を反映することを示しています。

第3章 水害等対策

(水害等に関する知識の普及)
第24条 区は、区民・事業者等に対して、練馬区における水害等の特徴や、防御方法等の知識を普及し、被害想定と避難経路・避難場所などの情報を提供します。

水害については、区内でしばしば被害が生じています。特に近年は、都市型水害と呼ばれる局地的集中豪雨が多発しています。他の自治体においては、地下室等への浸水で死亡された例もありました。
このような知識を普及し、情報を提供することにより、区民・事業者等が、自ら水害等に備えることが可能になります。なお被害想定(浸水予想図等)に基づき、それに避難経路・避難場所などを盛り込んだものを「ハザードマップ」などといい、区はそのような形で区民に情報を提供することになります。その他の災害、大事故等についても、これらの防御方法等の知識を提供します。

(防災機関と区民防災組織等の協働)
第25条 区は、水害等に関する危険性が比較的大きい地域に居住する区民が、区民防災組織等に結集して、防災機関と協働して、水害等に対処できるよう、地域での水防訓練を実施し、日常活動を支援します。

区などの防災機関は、当然全力で水害等に対処しますが、地域の区民防災組織も自主的な活動で、被害の防止や次の条文にある被災者の保護への協力等をおこなうことが大切です。そのために、水防訓練を行い、区民防災組織の日常活動を支援します。
水防訓練には、防災機関だけでなく、地域の区民防災組織の参加を呼びかけていて、少しずつ参加していただくようになりました。

(被災者の救護)
第26条 区は、水害等が発生し、被災者が生じた場合には、救護を行います。

水害等が発生し、被災者が出た場合は、救護を行うことを定めています。水害等の場合は、動員や要請等により救護の体制を立ち上げますが、これは半ば自動的に被災者の救護体制を立ち上げる震災の場合と異なっています。この違いは、練馬区において想定される両者の被害の有様の違いによるものです。

(安全性の向上)
第27条 区は、水害を防止するために、東京都の関係部局とともに、河川等の整備・改修を行います。

水害防止には、河川等の整備・改修が不可欠です。「等」とあるのは、総合治水対策として行っている雨水浸透設備のような流出抑制施設や下水道等の全てを含みます。

(応急体制等)
第28条 水害等が発生し、もしくは発生する恐れがある場合は、水害等応急対策本部を設け、必要に応じて災害対策本部に切り替えます。

区は、水害等が発生する場合の体制について、条例と地域防災計画で定めています。水害等に対処する体制と、震災に対処する体制とでは、似ているところと違うところがありますが、相互に関連しています。特に、小さい災害に対処することは、ある意味では大災害への「防災訓練」的意味もあります。

(準用)
第29条 水害等対策について、必要な場合は、「第2章 震災対策」の各条項を準用します。

水害等の対策について、例えば「被災者が多数の場合の避難拠点の利用」「医療救護の実施」「災害要援護者対策」「飼育動物対策」等のように、第3章水害等対策に無い対策であっても、必要に応じて第2章の各条項を準用することになります。

第4章 委任

(委任)
第30条 この条例の施行に必要な事項は、規則により定めます。

この条例では、なるべく具体的な内容を定めるよう努力してきましたが、区の災害対策の基本的事項を定めるという性格から、どちらかというと抽象的な内容が決められています。それを補って行くのが、規則です。またこの条例については、規則のほかに、地域防災計画のなかに具体的方針を記述することになります。

 付則
この条例は、平成○年○月○日から施行します。

危機管理室 危機管理課 庶務係  組織詳細へ
電話:03-5984-2762(直通)  ファクス:03-3993-1194
この担当課にメールを送る

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